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癖
平凡な男子高校生である平中 優太(ひらなか ゆうた)は昔から好きなものがどうしても一つに決められないところがあった。
それもいつも全く正反対の、二つものを同時に好きになってしまう。
両親が幼少期の彼にスマホやPC、TVの動画鑑賞で勧善懲悪な戦隊モノのヒーローアニメを見せてくれた事がある。それは主役である正義のヒーロー役の爽やかなカッコよさは勿論の事、悪役のどこか謎めいた怪しいミステリアスなカッコよさも捨てがたく、自然とどちらも好きになり、気が付けば夢中になって応援していた。
公式のアニメグッズが出れば両親にヒーロー役と悪役、必ず両方のものを買ってもらうようにねだった。
最終回の戦闘シーンで今まで下っ端達に指示を出していた黒幕の悪役がとうとう倒されてしまうとわんわん泣いて、どうして悪役はヒーロー達と一緒にいられないのか、涙声で両親に問い掛けては困らせていた。
好きな色はころころ変わるが、いつも二つセットが当たり前。
白と黒、赤と青だったり。
どちらが好きかと聞かれても困ってしまう。
何故なら彼にとってどちらも同じくらい好きだから。
それが彼にとって当たり前なのだ。
欲張りだと思われるかもしれない。でも彼にとってはこれが普通なのだ。
そして彼は今、ある一つの悩みを抱えている。
「平中」
控えめに話し掛けられた声にぎくりとする。振り向くと爽やかな美形と目が合う。
「っ、あ、何、戸月(とづき)」
「いきなり話しかけてごめん。……これ……」
「あー、それ俺のだ!ありがとっ」
いつの間にか自分で落としてしまったらしい、見覚えのあるデザインのシャープペンシルが相手の開いた手の中から見えた。
相手に差し出されたそれをお礼を言って受け取る。
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