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淫楽
ピチャピチャ、と濡れた音が真っ暗な部屋の中に響く。
一人の男子が床に腰を下ろし、後ろに両手をついて荒く息を吐き、天を仰ぐ。
「……あ……っ、うぅ……っ」
肌は汗ばみ、下衣は乱れ、性の匂いを放ち、誰がどう見ても発情しているその様は滑稽だった。
(ふっ……何だ自慰もしたことねぇのか?)
彼の耳元で男の低い声が笑う。
だが部屋の中に差し込まれた月明かりは、彼一人分の影しか映さなかった。
「う、……も、やめ……」
声に向けて制止の言葉を掛けるも、自身の雄根への刺激は止まない。誰も触れてないのに見えない何かが雄根を上下に扱き上げる。
生まれて初めて与えられた快楽は、彼にとって刺激が強すぎた。
どうしてこうなったのか、床一面にバラバラに散らばった陶器の破片を見つめながら、纏まらない頭の中で考えようとする。
「無駄な抵抗はやめるんだな…………どうせお前は俺には敵わない」
久々にうまそうな獲物だ、と囁かれた言葉に自分の無能さを悟る。
「…………っ、」
少しでも気を抜けば、快楽になけなしの理性が押し流されてしまいそうだった。
──落ち着け。考えろ、考えろ…………。
歯を食い縛って頭の中で必死に思考を巡らせる。
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