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24.暴走とっきーとなぐさめる俺
とっきーの心が静まるかは分からないけど、リクエスト通りに頭をポンポンと撫でる。
とっきーの顔が少しずつ上がってきた。
俺は子どもをあやすように優しく笑いかけ、とっきーに一歩近づき両腕を伸ばす。
「ハグって……体育会系じゃあるまいし。こんな感じ?」
とっきーの方が少しだけ身長が高いけど、ほとんど変わらないから健闘を称え合っているみたいな感じだな。
これで気が晴れるのかはよく分からないけど、俺もとっきーと仲違いしたいわけじゃない。
「蒼樹 ……っ!」
「わっ!」
俺がやんわりハグをしていたのに、とっきーは壁から手をはがすとガバっと勢いよく俺をハグしてくる。
ぎゅうぎゅうしてくるので、苦しいくらいだ。
「ちょっ、くるし……っ」
「これくらいはいいよな」
とっきーは俺を放す気はないのか、首筋に鼻をこすりつけてきた。
動きがくすぐったくて、背中がぞわりする。
「くすぐったいって! やってること意味分かんないからっ。嗅いでもコーヒーの香りしかしないだろ?」
「あーマズイ。これ以上するとマジで我慢できなくなりそう」
とっきーはスンっと鼻を鳴らしてから、ようやく俺を開放してくれた。
一体……何がしたかったんだ?
とっきーの機嫌は良くなったみたいだから良かったけど、あまりの怪しさに今度は俺から一歩離れた。
「母親に甘える子どもでも、鼻はこすりつけてこないだろ」
「それはアレだ。蒼樹の匂いを堪能……じゃなくて、俺もたまには甘えてみたっていいだろ?」
「はぁ? いやまあ、甘えるのは構わないけど……」
変に気恥ずかしくなって、手のひらで首筋をかばう。
いちゃついてるカップルじゃあるまいし。
手のひらの下の首筋が少し熱を持っているみたいな気がして、そわそわする。
なんだか……気持ちが落ち着かない。
「もしかして、蒼樹も興奮した?」
「俺もってなんだよ! するわけないだろ。くすぐったかっただけだ」
「そんなに全力で否定しなくてもいいのにな。はぁ……前途多難ってこういう時に使うって思い知らされるわ」
今日のとっきーは特に情緒不安定でついていけない。
こういう時にげんちゃんがいてくれたらとっきーを止めてくれたんだろうけど、先に帰っちゃったからな。
変な方向に暴走するとっきーを止めるのは、俺一人だと力不足だ。
こういう時こそ、げんちゃんのパワーが必要な時だ。
「今日はこれくらいで勘弁してやるか。よし、帰るぞ」
「俺はもう、疲れたよ……これでやっと解放される……」
ニシシと笑いかけてくるとっきーを今度は俺がにらみつけながら、ボディバッグを手に取って背負う。
とっきーも財布と携帯をパンツのポケットに突っ込むと、俺の肩を叩いてきた。
「明日は普通に働いてくれるよな? また不機嫌になったりするなよ」
「蒼樹が必要以上に、女の子に微笑んだりしなければなー」
「だから、それは仕事上のことだからな? 分かってて言ってるだろ、もう」
「しばらくはさっきの驚いた蒼樹の顔を思い出して、俺も色々と我慢することにするわ」
ニヤニヤしてるとっきーをぶん殴りたくなる。
不機嫌になったりご機嫌になったり、どれだけ忙しすぎるんだよ全く。
まあ、イライラされるよりかはマシだから今回は俺が受け止めて我慢すればいいか。
責任者は従業員に働きやすい環境を用意して、スムーズに働いてもらわないといけないからな。
とっきーがいなくなったら、プラムコレクトはやっていけない。
だったら……少しくらいの理不尽くらい、なんてことない。
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