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⑶ 大人のおもちゃの店 淫魔の森③
「コレさ、カリ首んとこ絞りないからフィット感イマイチなんだよ」
さっきのどストライクイケメンだった。
「動いてるとまくれてくるしさ」
カゴの中のコンドームを指差している。
「は、激しいんでしゅね…」
サイズ違いとかじゃないんですね。
「先っぽつまんだらつける前に破けちまったぞ」
「先っぽ?」
ん?ゴムの先っぽをどうしてつまむのかな?伸ばして装着しやすくなるとか?
首を傾げてると、彼は驚愕の表情で聞いてきた。
「…お前、成人してるよな?」
「~~!この前20歳になりました」
「そ、そうか。すまん」
僕好みお兄さんは焦って謝ってきたので、ついポロッと本音が出た。
「いえ、いいんです。僕背も低いし中学…高校生とかに見られるんですよ。今日もレジで身分証の提示パターンですよね…」
お店の人に名前とか知られるのなんとなくやだけれど、仕方のない関門だ。
僕好みお兄さんは、ディスったコンドームをカゴからつまみ出すと、代わりに淫魔店長一押しコンドームを突っ込んだ。
「コレにしとけ。そんで、俺がレジで会計してくるから待ってな」
わ、なんだ、すごいいい人だあ。
もし高校生活でこんな先輩がいたら、さぞかしバラ色の学校生活だったろうな。
まあ、僕はじっとり校舎の隅から見つめるだけのストーカーになってたかもしれないけど。
「え?いいんですか?」
僕笑顔満開になっちゃうぞ~っ。
「おう、任せとけ」
「よろしくお願いします」
「おう。あ、使い方も教えてやろうか?」
「よろしくお願いします」
「おう」
「あ?え?えぇ~!?」
「俺、菊田 龍 。お前は?」
「佐藤瑠衣 です」
龍さん(名前ゲットだぜ~)はニヤリと笑うとカゴを持ってスタスタとレジに向かった。僕は本当か冗談か判断しかねたまま後を追った。
レジにはこれまた違う種類のイケメンさんがいた。
異世界もの小説でいう所の、長身の爽やかイケメン騎士って感じかな。
黒いエプロンに(店長 佐々木)と書かれた名札が付いている。
龍さんはやはり未来から来たアンドロイドだけどね!
「いらっしゃいませ~。あ、菊田さん毎度ありがとうございます」
「…俺が常連みたいな言い方やめろ。誤解されんだろうが」
チッと舌打ちしてるよ。
龍さんヤリチンなんですかね。やっぱりナンパされたのかな、僕は。それとも冗談?
「はいはい。ご友人のお使いご苦労様です。コレいつものローションとコンドームね」
店長が訂正しながら紙袋をカウンターに乗せる。
龍さんは財布から黒いカードを取り出し精算した。
「こっちは現金でたのむ」
万札を取り出しカルトンに乗せる。
僕が選んだディルド、勧められたローション、コンドームにバーコードリーダーを当てている店長と目があってしまった。
「ご来店ありがとうございます。気に入った商品は見つかりましたでしょうか?」
「は、はぃぃ」
「ご使用方法など分からない事がありましたら気軽に声かけてください」
「は、はぃぃ」
ご使用方法って…。そんにゃ事聞けませんから~。恥ずか死ぬ~~。
「真っ赤になっちゃって。可愛いなぁ」
「おい、それは俺と使うからいいんだよ!」
何と!まさかのコレからエッチします発言!店長ニヤニヤ。
僕、淫魔の森の床に描かれた魔法陣から転移したいんですけどできますかね~?
あれ、いつの間にか精算すんでるよ。金額見てなかったよ~。
「あ、瑠衣。悪いけどコレ届ける用事あるんだわ。10分位歩くけどいいか?」
どうやらご友人の購入品を今すぐ届けなくてはいけないらしい。
僕もついて行っていいんだろうか。
セフレと流血沙汰は避けたいところだよ。
それよりも、
「僕は構いませんけど、その格好じゃ寒くないですか?風邪引きますよ?」
僕はリュックに突っ込んであるマフラーを差し出した。
マフラーは母直伝の、僕が編んだものだけどないよりはマシだろう。
「……それ、欲しい。ううん、その子猫ちゃんが欲しい…」
店長が何やら呟いている。
「サンキュ。借りとくわ」
龍さんは背を屈めて僕に首を差し出した。
巻けということだろうか。紙袋で両手が塞がってるしね。
僕がマフラーを巻き終わると、龍さんは荷物を二つ右手に持ち替え、左手で僕と手を繋いできた。
「ありがとうございました~。また来てくださいね~」
店長が笑顔で手を振ってる。
僕は小さく手を上げて龍さんと共にお店を後にした。
今度は身分証提示気にしないでこれるといいなぁ~。
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