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(六)砂漠の国フッサール王国の王宮警備隊隊長ロザックの証言
わたくしにどのような御用にございましょうか。
ああ、アスラン王子の件にございますね。この度は両国の友好に有益なお申し出をいただきまして、誠に有難うございます。末永く貴国との友情が続くことを願っております。
気が早いと仰いますか。
まだ本決まりではないとは存じておりますが、国王陛下は非常に乗り気にございます。ご存じのこととは存じますが、殿下は王位継承権を持たぬ王子でありますが故に、将来をどう過ごさせるかについては国王陛下も頭を悩ませておられるご様子です。貴国で大事に扱っていただけるのでありましたら、それに勝る栄誉もございません。わたくしとしては、今回の貴国からのお申し出は、非常に好ましいものであると受け止めております。
殿下の人となりにつきましては、ハスラーム殿下もご存じであらせられるでしょう。わたくしに改めて問うこともないかと思われますが……ただ、年齢の割に稚いお方です。正室にと望まれておられる以上、そうした振る舞いに及ばれることもございましょう。その際の扱いは慎重にしていただけましたらと存じます。
そうなのです。とても無邪気なお方なのです。
もう成人になられたのだからと申しましても、わたくしの膝に乗るのをお止めになられないのです。きっと、お母上を早くに亡くされた関係で、お寂しくしておられるのでしょう。もう少し強く窘めなければとは思いますものの、そんな殿下が不憫に感じられてしまいまして、なかなか強く云えず……。
ああ、時々一緒に木登りをしたりしております。
ご兄弟が遊び相手になられなかったお方ですので、わたくしが兄代わりの気持ちで付き合っております。とはいえ、流石にそろそろ木登りだの水遊びだのはお止めいただきたくもあるのですが、そちらもやはり強くは云えないものですから。
剣を教えはしないのか、ですか。そちらも考えはしたのですが、なにぶん殿下が人を傷付ける技術は身に着けたくないと仰るもので。
そうなのです。とてもお心のお優しいお方なのです。
それだけにハスラーム殿下が殿下に無体を働きはしないかと心配な面もございます。如何でしょうか、ザナッシュ卿。ハスラーム殿下はアスラン殿下を大事にしてくださいますでしょうか。
……有難うございます。
殿下と親しい使用人ですか? 使用人ではありませんが、私の部下で王宮警備隊の副隊長であるスルツも殿下に慕われております。是非とも話を伺ってあげてください。殿下がどれだけ素直で無垢なお方かが良くわかることでしょう。
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