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第2話
駐車場に車を停車させると鞄を持ってアパートへと急ぐ。
見上げた先の部屋のカーテンから灯りが溢れていた。
ぼんやりとベランダの敷居を照らしている。
なぜだろう。
つい足が動いてしまう。
階段を一段飛ばしで駆け上がり、鞄から真新しい鍵を取り出す。
それを鍵穴へと挿し込み、捻る。
ドアノブを引くと足元に灯りが射した。
「ただいま…っ」
「お、おかえり。
早かったな」
「急いだ」
「急がなくてもいいだろ。
あれか、早く帰ってくるように言ったからか?
事故起こさない程度で良いんだぞ?」
「違う。
智哉に早く会いたかったから」
明るい部屋の中で智哉は馬鹿だなと笑った。
馬鹿なことあるか。
今日一番のメインイベントだぞ。
それこら漸く晩飯の良いにおいがしていることに気が付いた。
「美味そうなにおいがする」
「ははっ、今更かよ。
味噌汁作って、米炊いた。
あとは作れよ」
「おう。
生姜焼きとか?」
「最高じゃん」
とびっきりの笑顔に、胸がいっぱいになる。
だけど、もっと胸がいっぱいになったのは智哉が「おかえり」と抱き締めてくれたから。
智哉のにおい。
それと味噌汁の出汁のにおい。
具現化したしあわせだ。
「なぁ、なんか良いにおいすんだけど」
「学生に制汗剤借りた…」
「うわ、教師が生徒にたかったのかよ。
いっけねぇんだ」
茶化すように笑いながらも腰に触れ手は離れない。
「くさいと思われたくねぇし…」
「思わねぇよ。
好きなやつの汗のにおいだろ」
「誘われてる?
このままここでするのもロマンだよな」
「馬鹿か。
盛るな…ケツ揉むなっ」
「美味い生姜焼き作るからさ」
2人で笑い合えればなんでも出来そうな気がする。
馬鹿だろ。
馬鹿で良いんだ。
だって、しあわせだから。
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