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第4章 元カレとお世継ぎ問題 第15話
結婚式は、木々の葉が赤や黄色に見事に染まった頃、厳かに執り行われた。王宮の地下二階が祭壇になっていて、式の進行は二人のどちらかの名付け親が務める。僕たちの場合は、ラトゥリオ様の名を付けた、医者のハーラ先生だ。参列者は、アストゥラ全土から、各地の首長が集まってきている。リナの叔父さんもその一人だ。アントス様、アリシア様、二人の子も来てくれた。四歳になる下の子が、ラトゥリオ様にしかつめらしく花を渡した。春から僕たちの養子になる、イレミオという男の子だ。金髪と緑の瞳はアントス様譲りで、顔立ちはアリシア様によく似ている。僕に花を渡してくれたのは、もちろんあの女の子だ。
儀式の言葉は特に決められていなくて、進行役に従って指輪の交換が行われればいい。
「ラトゥリオ陛下。我ら一同、今日のこの日を待ち望んでおりました。レオを愛し抜き、愛されて、どうかいつまでもお幸せに」
ラトゥリオ様が、僕を見て深く頷いた。
「レオ。君の並々ならぬ決意を、私たちは誰一人として、決して忘れることはない。ありがとう。恐れず人を愛する喜びを、どうか生涯をかけて陛下に教えてさしあげてほしい」
僕も、ラトゥリオ様を見てしっかりと頷いた。
「では、指輪の交換を」
誓いの印をはめるのは、ここでも左手の薬指だった。僕には、真紅の石が光る金色の指輪。彼には、青い石が光る銀色の指輪。先代の国王夫妻から受け継がれたものだ。
「二人の未来に祝福あれ。さあ、誓いのキスを」
うっ、それしないと駄目ですか。人前でしたことない……(事故的なものは除く)。顔を真っ赤にして俯いていると、和やかな拍手で催促された。ラトゥリオ様はフッと笑い、マントをさっと広げて僕を隠し、素早く口づけた。場内に、温かな笑い声と盛大な拍手が広がっていく。唯一、キスするところを目撃したハーラ先生は、僕にパチンとウインクした。
「レオ、陛下をよろしく頼むよ」
「はい!」
新郎同士、腕を組んで地下二階から階段を上がり、ゆっくりと全フロアを、端から端まで歩く。どこも花で飾られ、みんながお祝いの言葉をかけてくれる。本来は秋に咲かない花も飾られている。大地の力を持つ人たちが、魔力を出し合って咲かせてくれたのだそうだ。
四階の、大きな居間の入口には、ゾイさんが待っていた。
「陛下、おめでとうございます。レオ、本当におめでとう。陛下をよろしくね」
「ありがとうございます、ゾイさん!」
「さあ、みんな待っているわ」
バルコニーへ出ると、あの時と同じように大勢の人たちが迎えてくれた。今日はお祝いのお祭りだから、女性はみんな、小さな子もおしゃれをしている。男の人たちも、ゆったりとして楽しそうだ。
「国王陛下万歳!」
「レオ様万歳!」
「お二人の未来に祝福あれ!」
感激のあまり、涙が出てくる。僕はここで生きていくんだ。
「ありがとう、皆さん、ありがとう!」
歓声が続く中、銀の馬が翼を大きく広げ、宙を駆けてきた。僕たちの前で、すぅっと止まる。
「シルバー、君も来てくれたんだね。ありがとう」
首を撫でお礼を言うと、彼はしきりに背中を示した。
「乗れって? うーん、今かい?」
「祝いの遊覧飛行というわけか。行ってくるといい」
「いいえ。お兄様もご一緒に」
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