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第二章 青春ってなんだろう③

照り付ける日差しも地平線に沈んで久しくないというのに、ジトっとした湿気で汗が滲み、襟首はびしょびしょだ。 時折吹く風も生温かく、全くと言っていいほど涼しくはならない。 流行りの音楽と喧騒が遠くから聞こえるが、パチパチという焼きそばを止める輪ゴムを外す音のほうがあたりにはよく響いている。 「やっぱ、夏祭りって言ったら、焼きそばだよなぁ~」 そう言って、隣に座る太陽は頭にお面をつけて、甚平を着ている。 浮かれたその姿に、幸弘は笑いが出るが、幸弘だって甚平を着せられている。 外から見た浮かれ具合はどっちもどっちだ。 「俺は、はし巻きのほうが好き」 そう言って、自分の持っていた袋の中からはし巻きを取り出し、買ってきたお茶と他にも色々屋台で見繕った食べ物を公園の東屋にある机の上に広げる。 地域の小さな夏祭り。 屋台があり、花火があり、と本格的ではあるのだが規模は小さ目。 毎年、七月の後半に開催され、市の花火大会の前座としてにぎわっている。 二人は毎年それに屋台目的で参加し、こうして花火が全く見れない代わりに誰も人のいない公園で祭りの音を聞きながら楽しんでいた。 「というか、見たか? 上田いたじゃん。彼女といたじゃん。彼女すっげぇ、可愛かったじゃん! え、上田の癖に!」 「いたな。超絶美少女と付き合えたんだって言ってたけど、本当だったな」 「ずるい! なんで上田に彼女いて、おれはフラれたんだよ!」 お前は上田に失礼だ。 だが、言いたいことは分かるのだ。上田は基本的にデリカシーはないし、学校で見る限り、女子に対して気が利くことはない。 悪意なく「髪切ったん? 前のほうが似合ってたのに」なんて言ってしまうような奴だ。 「はぁ~あ、せっかく楽しかったのに、また彼女いない寂しさがやってきた。なぁ、ユキぃ……おれって、どこがだめだったんだ? 何でいつもフラれるんだろう」 「なんでって……いつも言ってんじゃん。付き合うまでに全力過ぎて、付き合ってからとの温度差で彼女が風邪ひくって」 「でもさ、付き合ったんだから、ちょっとは落ち着いてよくないか? 付き合うまでは、相手に好きになってほしいだろ? 付き合うって、好きになりましたよってことじゃん。なら、安心していいじゃん」 「……太陽言ってたじゃん、俺が連絡無精でいつもフラれるって。それと一緒」 「けどさ、ユキは好きとか確定してないで付き合うからじゃないの? 好きが分かってないのに、付き合って連絡返してこないなら不安になるの分かる。けど、付き合ったから、希望が持てるし、彼女も頑張るけど、結局しんどくて、怒って、ユキのこと振っちゃうんでしょ?」 どうしてここまで分かっているのに、自分の恋愛が続かない理由が分からないのか不思議だ。 「おれ、一生彼女出来てもすぐフラれる人生を送るのかなぁ……。やだな」 焼きそばをもそもそと食べながら、太陽が悲壮感たっぷりに言った。 それが面白くて、けど可哀想で、幸弘は太陽のお茶のペットボトルを開けてやることで色々と誤魔化した。 「ユキ」 「ん?」 「おれが彼女いないときに彼女作らないでな」 本当に自分勝手である。 「太陽に彼女いた時に作って、俺が続いてる時にお前が振られたら?」 「別れてくれ」 「バカだろ」 「ユキがおれをいじめるぅ!」 「いじめられてるのは俺だろ」 はし巻きを食べ終わり、たこ焼きを開ける。 足りなくても屋台がたくさん出ている通りまで数分だ。 ここには、あまり人も来ないし場所が取られる心配もない。 「たこ焼きちょーだい」 「なら、トウモロコシ頂戴」 毎年、同じことをしているというのに、暗くなっていく公園は非日常で一瞬、これが青春で良くないか? と思ったが、きっと太陽の青春には該当しない。 ふわふわと夢見がちで、こだわりが強いのが太陽なのだ。 『青春探し 夏祭り』 上田の彼女が可愛くて太陽がうるさくなる以外はいつも通りだった。 彼女との夏祭りにそこまで魅力があるかは俺には分からないけど、太陽にとっては大事なのだろうなと思った。 たしかに、女子の浴衣は可愛い。 幸弘

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