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エピローグ
さて、こういうのは、翌日になれば戻るのが相場である。
貸本屋に置いてある本ではそういうお約束なのだが……。
「うそだろ、戻らないなんて」
郁はメスの身体のままだった。
昨日、かわいらしい服は台無しにしてしまったので、ローブを目深にかぶっている。
メスだと気付かれないためだ。
「……やりすぎたよね」
郁に歩調をあわせた望月がこっそりと囁いてくる。
「……やりすぎだ」
つくづく、自分は望月に甘い。
これ見よがしにため息をついただけで留めておいた。
今日は、ふたりで森の魔女の住処に向かうつもりだ。
目的はまじないの解除と避妊薬の処方を頼むつもりである。
(腰が痛い……)
郁は下半身を引きずるように、歩いたので気づかなかった。
となりの望月がふと驚いたような表情を浮かべたことに。
(黒い髪、アレキサンドライトの瞳……)
望月のとなりを、何者かがかけていった。
一瞬なので、微かにしか見えなかった。
だけど、その人物の美貌に目を奪われた。
「郁?」
「……なんだ?」
となりにいるのは少女の姿をした郁である。
(じゃあ、今見たのは……気のせい……だよね……郁がふたりもいるわけないし)
望月はそう結論づけた。
振り向くが、無論、誰もいない。
延々と太古の森の入口と眩いばかりの碧空が広がっているばかりである。
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