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第2話 門出を祝う演奏。
教会の礼拝堂には、ミサ等に使うパイプオルガンがある。
けれどこれは神に祈りを捧げるときに使うもの、と私は決めて使っていた。
礼拝堂の右にあるドアを開くと小さな台所があり、そこを通り抜ける。
その先にあるドアを開け私の部屋に行くと、 そこにグランドピアノを置いていた。
私が洗礼を受けたときの記念に、全財産をはたいてグランドピアノを購入したのだ。
セドの言っているグランドピアノはこれだ。
「思う存分、好きなだけ弾いていきなさい」
私は部屋の奥にあるベッドに座り彼の演奏を聞こうとすると、セドの手が服を掴み、そのまま見上げて言った。
「あのっ。それと……僕、神父様がピアノを弾いていらっしゃるところが見たいんです!!」
私は人前ではピアノは弾かない主義で、パイプオルガンを弾くとき以外は、人前では演奏しないことにしていた。
けれど旅立ちが控えているセドには、私のピアノの演奏を見せてもいい、そんな気分になっていた。
「そうですね。人前で聴かせられるほどのものではないのだけれど、セドのために少し弾きましょう」
「そうなのですか?……僕はここから聞こえてくるピアノの音、とても安心します。僕は神父様の弾かれるピアノが大好きです」
そんな嬉しいことを言ってくれるセドに私は微笑みながら、ピアノの椅子に腰を掛けた。
「何を弾こうか、リクエストはあるかい?」
「……優しい曲がいいです」
『優しい曲』、と言われたので、私が一番好きな曲を弾きはじめた。
セドは目を輝かせながら、私のピアノの音色を聴いてくれた。
「僕、ピアノの勉強頑張ります。神父様が応援してくださったら、僕はうんと頑張れます」
「応援していますよ、セドリック。けれど無理をしてはいけませんから、程々に頑張ってください」
その日から一ヶ月後、セドリックは街の音楽学校の進学のため、単身で村から街に旅立っていった。
このとき私は22歳、セドリックは12歳だった。
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