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第1話 俺のほうがずっとお前のそばにいたのに。お前の惚れ気話はお断りだ。
むかしむかし、あるところに狐の獣人の「こんこん」とたぬきの獣人の「ぽんぽこ」がおりました。
幼い頃から獣人の通う保育園で出会った2人は、こんこんがぽんぽこのおっとりとした性格を悪用してイタズラばかりします。
ぽんぽこは優しく真面目なたぬきなので、決してこんこんを怒ったりしません。
そんな2人もついに獣人高校を卒業し、それぞれの進路に進んでいきました。
こんこんは警察官に、ぽんぽこは保育士になるために獣人の専門学校へ通うようになりました。
時は流れて数年後、同窓会にて2人は再会します。
こんこんは陽キャ代表として幹事もしてますが、ぽんぽこは隅っこで静かにお酒を飲むだけ。近くに話せる人はいないようです。
少し気の毒に思ったこんこんが、同窓会終わりにぽんぽこを散歩に誘い夜の公園で話します。
「お前、大人になっても気が弱いんだな」
「そうかな。別に、普通だよ」
「そんなんでちゃんと獣人の子どもたち見れてんの? ちびっ子でも怪獣だらけだぞ」
こんこんの言葉にぽんぽこはくすっと笑ってから
「大丈夫だよ。僕ももう保育士の先生だから、ちゃんとしてるよ」
「ふうん」
「それよりこんこんは彼女できた?」
「は? 何、急に」
「僕、最近彼女できたんだ」
「え……」
ぽんぽこは喜んでるみたいだけど、こんこんは唖然として口を開いたまま。
「この間は遊園地にデートに行ったんだ」
「……」
ぽんぽこの惚気話は聞いててムカムカしたこんこんは、つんと無視する。
(なんで? ぽんぽこに彼女は早すぎる。俺がいるだろ。幼馴染の俺が)
こんこんの内心はぐちゃぐちゃで、素直になれません。
「こんこん怒ってる?」
「……別に」
ぽんぽこは申し訳なさそうに顔を伏せます。
「ごめんね」
「勝手に謝んなよ。お前の小さい頃からの悪い癖だぞ」
「うん……」
しょんぼりするぽんぽこを見ているのは辛いこんこんは、しょげた背中をぽんぽんと撫でました。
「お前ってほんと昔から優しすぎるよな」
「そうかなあ?」
その時、ぽんぽこが涙目になっているのを見てこんこんは慌てて謝ります。
「悪かったな。意地悪して」
「じゃあ今度ケーキ奢って」
2人して顔を見合せて笑い合う。
ぽんぽこを駅まで見送ってから、こんこんは一人思う。
「俺が先に告っとけば、あいつの初キスも奪えたのかな。あいつの周りの取り締まり、強化しねえと」
こんこんの想いはいざ知らず、ぽんぽこは自宅のある森のアパートに帰っていくのでした。
おしまい
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