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6 【5】*R18
帰りがてらもう一度イルミネーションを眺めた。賑やかな現代の灯りは楽しく、眩しくもあり、目をしぱしぱさせた。
南雲井邸のある紫環崎へ戻ると、静けさと穏やかな暗さにいっそホッとしてしまう。
見上げると満天の星がそこにあった。
玄関を通ってすぐのところで荷物を置き、コートを脱ぐ。
せっかくだから、買った室内スリッパを早速履いた。
おそろいの足元でリビングへと向かう。
荷物の片付けのことを考えながら部屋の電気を点けていると、英一に抱き寄せられた。
彼の香りに包まれることに未だ慣れずどぎまぎしてしまう。
「ヒートじゃなくても、抱いていい?」
「……シャワー浴びてきます」
嬉しそうに額へキスされた。
暖かさを惜しみつつ彼の腕の中から離れ、風呂場へ向かう。
まだ日常に戻りたくない気持ちは、俺も同じだった。
もらった時計は大切に外し、自分の部屋のよく見えるところに置いた。
互いに身支度を済ませて英一の部屋へ移動すると、ベッドへ優しく押し倒される。
任せてみれば、仰向けの身体を丁寧にほどかれていく。準備しておいたからすぐにでも抱けるのに、紳士的すぎる愛撫がかえって俺の中の羞恥心を引きずり出していた。
「も、大丈夫ですから……!」
顔を真っ赤にして言うと、「ん」と短いキスが額に返ってきた。
何かしている気配を感じた矢先、コンドームを着ける音がした。カッと目を見開いてしまう。
(オメガの伴侶とのセックスで……ゴム!?)
オメガへの侮辱……!まで考えて、いやいやいやと首を左右に振った。
冷静になれ。とっさに思ってしまったが、それは古い価値観だ。それくらいの認識の更新はあるだろ。
大体、英一は孕んで誉めてくれるタイプのアルファじゃないし、俺たちはそんな単純な関係じゃないのだ。
互いの身体や年齢を思っての彼の選択を、俺も受け入れる。
(じゃあ俺って、今から……子作りでもない……娯楽の……セックスを……?)
(いや、娯楽のセックスってなんだよ。セックスはセックスだろ)
(だって、こう、なに? 奉仕じゃないなら、どうしたらいいんだ。たぶん……奉仕と思ってやったら、英一さんは不愉快に思う……よな? い、一緒に、することすればいいんだろうけど……。本当に、許されるのか……? そんな、奔放な……)
急に悶々としてしまう。
人生でそんな機会がなかったことを思い出し、初めてのことをするような緊張に至っていた。
ただでさえ跳ねていた心臓がもっと跳ねている。
「その、照近さんって、ヒートのときじゃなくてもこうなの? 男としては、嬉しいけれど」
「あ、え、……あう」
にちりと彼の先端が俺の後孔へあてがわれる。彼の言葉の意味がわからず自分でそこを触ってみると、信じられないくらい濡れていた。
顔が熱い。沸騰してるんじゃないかと思うような熱さの涙が泣き笑いでこぼれる。悲鳴じみて叫んだ。
「すみません! すみません! もう何も言わないでください! お願いします!」
「わあ、ごめん。デリカシーなかったよね」
そう言いながらも英一は笑いをこらえきれていなかった。
声をかけられ、ゆっくりと挿入される。彼が入ってくる感覚がぞくりと甘く喉を鳴らした。
「っあ、はあぁぁ……!」
ナカの感触に包まれて英一も声を漏らしている。そのままもっと深く感じてほしくて、彼の背に両腕を回して密着する。
ピストンが始まると、俺はすぐに声を抑えられなくなってみっともなく喘いだ。
「ぁっ、あっ! 英一さんっ、あぁっ!」
(前に、あんなに感じたのっ……ヒートのせいだと思ってたのに……っ、これ、ぜんぜんっ……気持ちいいっ……!)
悶々と考えていたことが吹き飛んで、頭の中が英一でいっぱいになる。
「照近さん……っ」
彼の息遣いを聞きたくて耳を澄ませてしまう。耳で目で、感触でもっと彼を感じたくて、意識が集中していくのかわかる。
彼が俺を求めてくれていることにたまらなく興奮する。
俺が懇願したからか、英一は言葉少なに俺を攻めたてた。
気付けばすぐイかされていた。
「ぁ、……っ、あぁ……!」
英一にしがみついて余韻に浸り、ハアハアと呼吸する。
今日は歩き回ったから体力が有り余っているとは言いがたい。
彼も少し疲れているようだった。
「歳には勝てないね」
ふぅと息をつく姿を見上げて、思いついたことをおずおずと提案する。
「じゃ、じゃあ……こうしましょう」
イったばかりで気だるい身体をどうにか起こし、位置を交換するように英一を押し倒す。仰向けの彼にまたがって、邪魔な前髪をかきあげた。
「重くないですか?」
「うん? うん」
話を聞いているのかいないのか、英一は目をぱちくりさせながら眼鏡のズレを直していた。
じいっと視線を感じる。珍しい光景を見逃すまいとばかりに。
「動きますね……」
緩んだ繋がりを再び深めて、おそるおそる腰を揺らす。
英一が息を呑むのがわかった。自分で拾う快感と、他人から与えられる快感は違う。彼のような人は後者に慣れていないのかもしれない。
びっくりさせないように、緩やかに動くよう努めた。──始めだけは。
いつの間にか、ベッドがぎしぎしとうるさい。自分のせいだと頭ではわかっているのに、どうしようもできなかった。
「っは、ぁ……、き、きもちいい、ですか? ふ、っうぅ……! すみませ……んっ……腰、止まらな、ぁっ……あっ、んぅうっ」
(加減、わからないっ……! きもちよすぎてっ……、はっ、ぁ、あ……っ)
夢中で腰を押し付けてしまう。身体を揺らすたび、茹だる頭がとろとろと溶けていく。
「英一さんっ、英一さんっ……!」
切なく名前を呼ぶと、手を握ってくれた。汗ばんだ指と指が絡みあう。
「っは、ぁ、あ……っ、命がいくつあっても足りないよ。キミの大胆さには……」
恥ずかしいのは俺なのに、なぜか英一のほうが少女のように顔を赤らめていた。その表情も愛おしくてもっと見ていたい。
限界を告げる彼の声を聞きながら、共に果てる。
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