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11 【2】
定時となりケータリング業者が撤収していった。使用済みの食器など一通りを片付け、ゴミまで持ち帰ってくれるなんてありがたい。
料理が残っている大皿はそのままになっていて、食事会は継続中である。といってもみんなほとんど満腹で、これ以上中身は減りそうにない。
「余った料理、持って帰ってもいい? しばらくこれで食い繋ぐわ」
芙美也はあまり自炊しないらしい。彼の要望を拒否する者はいなかった。
「じゃあ、タッパーの用意してきますね」
「照近さんはゆっくりしてて。俺がやるから」
俺を制止して柾諒がキッチンに向かう。棚を開けながら小言をこぼしていた。
「自分でやれよな」
「いま忙しいからー」
睨まれている当の本人は飄々と笑っている。酒を飲みながらスマホをいじる姿はとても忙しそうには見えない。
「タッパーはここにあるよ」
あちこちの棚を開ける柾諒に気付き、英一もキッチンに向かった。
アルミホイルやラップも取り出し、料理を二人でタッパーに詰める。
「あまった飯なんて、毎年捨ててたのにな」
「エコ意識が高まったのかな」
空いた皿を柾諒がシンクに置くと、英一が自発的に洗い始める。
「……当たり前みたいにキッチンの物の位置を把握してるのも、皿を洗うのも、気味悪いな」
「ご機嫌取りみたい?」
「…………」
無言は肯定だ。
不穏な空気を察知して、リビング側にいる篠と俺は聞き耳を立てた。嫁組 にとって彼らは《仲良くして欲しいぎこちない二人》であり《いざというときは止めないといけない二人》である。
「ナツメ、いつの間にか親父と打ち解けてたな」
「私とじゃないよ。あの子は照近さんと仲良くなったんだ」
「そうかも」
「なに、僕の話?」
篠の子供たちが遊ぶテレビゲームを見守っていたナツメが振り返った。芙美也のいるダイニングテーブルへ席を移動し、会話に参加する。
「実家アレルギーだったのに、今日のナツメはリラックスしてるよな」
「まーねー。事情が変わったもん」
洗い物を終えた英一は手を拭き、兄弟たちがいるテーブルに着く。
「昔に言われた通り、私は世間知らずだ。今の若者から学ぶべきだと思ってね。皿を洗うようになったのもそういうことだよ」
「ね、このオジサンおもしろいでしょ。はりきって食洗機の洗剤間違えて壊すし、今の若者は自撮りするんだよって教えたら素直に送ってくるの」
「ナツメ、いま感動するとこだから」
三男と次男は茶化す余裕があるようだった。対照的に、長男である柾諒は父親のしおらしい変化を受け入れられないようだった。
「それで俺たちが親父を許すと思ってるのか?」
ぴり、と空気が張り詰める。
英一はわざとのんきな声で答えていた。
「都合良いこと言うつもりはないよ。ただ、何もしないよりは良いと思ったんだ」
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