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第1話

【芸能界にしがみつきたい毒舌ギャル男は因果応報でパパたちに枕営業をして死ぬまで許してもらえなくていい】 俺は色黒金髪のギャル男の見た目をした「アゲハ」という芸名のタレント。 いかにもチャラくて軽薄で無礼な陽キャで、身も蓋もない無情な正論パンチで相手を黙らせたり、突きつめられると困るような話に「なんでなんで!」としつこく食いささがったり、べつに毒舌を吐いているわけではないのだが「毒舌ギャル男」が代名詞に。 コンプライアンスがうるさい今の世で、ぎりぎりアウトにならない無節操な言動が受けて、そこそこ売れている。 このキャラは賞味期限があるから、一躍、有名になり稼ぐだけ稼いで、悠々自適な余生を送りたいところ。 そのために今の地位を安定させたうえでステップアップしたく、今日はテレビ局のお偉いさんと会食。 正直、時代遅れなバブリーなおっさんらと食事しても、退屈で不愉快なのだが、なんだかんだテレビ局の力は侮れず、揉み手ができるなら、いくらでもするに越したことはない。 「それにしても、こういう、どぎつい業界人とは、いつまで経っても肌があわないなあ・・・」とため息をついて、芸能界で唯一といっていい友人を思い浮かべた。 若手個性派俳優の華月凛だ。 幼いころから劇団所属をしてこつこつと芝居を学び、高校生になってメディア活動を開始。 経験の長さに裏打ちされた技術でもって、どんな役も別人のように演じ分け、なにより主人公を引き立たさせるのが巧み。 どれだけ主演の俳優が大根だろうと、凛が共に芝居をすることで、実力以上の魅力が引きだされると評判。 とあってイケメン俳優が群雄割拠する今の業界で、月並みな容姿ながら凛は重宝されて、主役を演じられずとも舞台にドラマに映画に引っぱりだこ。 売れっ子の部類にはいるとはいえ、本人はマイペースな芝居馬鹿だから、まったく業界に染まらず、我が道を突き進んでいた。 曲がったことが好きでないとあり、理不尽なことには真っ向から物申すため、そのせいで降板になったことも、すくなくないとか。 俺が聞いた噂のひとつに、スポンサー助平親父撃退劇がある。 スポンサーの大手企業のお偉いさんがドラマの撮影現場に見学にきたとき、グラビアアイドルの女の子にロックオン。 「きみ初めてでしょ?足引っ張ってない?」「さっき二回も噛んだけど?台本ちゃんと覚えてきたの?」と小馬鹿にしながら、肩をくっつけたり腕を撫でたり腰に手を回したり。 今の時代、スポンサーを探すのが一苦労とあって「機嫌を損ねて撤退したらかなわん」と現場の人は見て見ぬふりをしていたところ、凛がつかつかとこの助平親父の元へいき、なんの一言もなく尻を鷲掴みにしたらしい。 「なんだね、きみ!失礼だよ!」とそりゃあ先方は怒ったとはいえ「その失礼なことを、あなたも彼女にしているんですよ」と澄まし顔で返答。 「これでも分からないなら、股間をまさぐりましょうか」と触ろうとしたら助平親父はとんずらしたが、のちに報復として凛はクビにされたとか。 これが武勇伝として語られるだけでなく「空気の読めない危険人物だな」とキャスティングの判断材料にされるあたりが芸能界ならでは。 正しいことをしても煙たがられるやりきれなさがあるとはいえ、凛の仕事量が極端に減っていないのが、まだ救い。 それにしても世間の常識が通用しない、魑魅魍魎のような人間が跋扈する業界では、さぞ生きにくいだろうが、本人曰く「食っていけるだけ芝居で稼げれば、あとはどうでもいい」と割りきっているから、なんとも格好よく、羨ましいところ。 社会人から芸能界にとびこんだ俺も、どこか業界には馴染めないままでいて、その点ではもともと凛と通じるものがあったのだろう。 ただ浮わついたタレントと地に足をつけた俳優とではまるで縁がなく、もちろん共演することがなかったものの、俺は見つけてしまったのだ。 テレビ局の廊下を歩いていて、たまたま凛とすれちがったとき、リュックに好きなライトノベルのグッズ、キーホルダーが揺れているのを。 思わず足を止めて「ゆかちん・・!」と呼んでしまい、ふりかえった凛としばし無言で見つめあったのが、はじめての出会いだった。 テレビでは鬱陶しいほど陽キャなギャル男としてふるまっているも、プライベートの俺は陰キャのおたくだ。 凛にしても硬派な役者に見えて、けっこうおたく気質なラブコメライトノベル愛好家だったらしい。 仕事場へ持っていくリュックにキーホルダーをつけていたくらいだから、べつに凛は隠すつもりがなかったようだが、俺はキャラ的にも時代的にも秘密にせざるを得なかった。 ギャップ萌が狙えなくもないからキャラ的なのはともかく、時代的にはカミングアウトすれば致命的。 というのも「ハーレムものラブコメ」好きなおたくの男が通り魔になり殺人を犯したから。 べつに「ハーレムものラブコメ」が好きなせいで犯罪に走ったわけではないだろうとはいえ、マスコミやネット民が関連づけて叩き、そのイメージが世間に定着してしまい。 つまりそういった類いの創作物が好きな人間イコール犯罪予備軍と見られるようになったのだ。 「毒舌ギャル男」なんて、あまり響きのよくないキャラにしてけっこう好感度がある俺が、犯罪予備軍のレッテルを貼られたら、芸能界から追放されることまちがいなし。 そう考えて警戒していたものの、平然とキーホルダーなどのグッツを身につけ、仕事場で堂々とライトノベルを読む凛には、仕事の依頼が途絶えることはない。 二人のちがいは、秀でている一芸があるかどうか、だろう。 誇れる一芸があるうえに「食っていけるだけ芝居で稼げればいい」という心持ちでいるから、凛は必要以上に、まわりの目や評価、好感度などを気にしないでいいわけだ。 といって芸能界にしがみつき見苦しくもがいている俺を見下したり、嘲笑ったり、責めたりはしない。 まわりに知られたくないという俺の意思を尊重し、人目があるところでは絶対におたくトークをしないし、完全に他人のふりをしてくれる。 友人関係を秘密にしてることも、おかげで会うのに一苦労するのにも文句をつけず、いざ顔をあわせたら仕事の話は一切しないで、ライトノベル愛を語りあうのに興じてくれる最高のおたく友だち。 名の知れた俳優ながら、ふだんからモラルの高い常識人とあり、一般人であり口の固い友だちに会っているように心安く話ができたもので。 芸能界では浮世離れした人が多く、もともと社会性があったはずが、染まってしまうと非常識モンスターに化ける場合もすくなくない。 昔よりましとはいえ、まだまだハラスメントが当たり前に横行しているほど、この世界は世間ずれをしているのだ。 非常識代表のような「毒舌ギャル男」のキャラで売りながら、染まりきれずに迷い悩み葛藤することがままある俺だけに、いわゆる業界人とのつきあいは、ひどく苦手。 それでも熾烈な競争社会で生きのこり、のしあがってくには人脈を築かなければならず、日々、胃をきりきりさせてパーリピーポーに混ざっているだけに、どれだけ凛との交流が癒しになっていたか。 凛がいない今、そのことを痛切に思う。 会食をしているこの場所は、料亭の離れを貸しきりにしたもの。 秘匿性が高く、本館からは遠くて、叫んでも声は届かいうえ、従業員がお節介にも「もし酔いつぶれましたら隣の間に布団をしいてあるので、そちらへ」とお膳立てをしたものだから、おあつらえむきな「ヤり目」部屋のよう。 さすがに歩くハラスメントのようなバブル世代でも、不同意で俺を布団に押し倒すことはないだろうが、凛の一件を考えると「いやいやまさか!」と笑いとばすことはできない。 油断することなく慎重にふるまい、あまり酒に口をつけなかったはずが、気がつけば、全身を火照らせて息を切らし「ギャル男くーん、こっちのほうはお盛んなの?」と太ももを撫であげられ「あぁ・・だめっ・・」と肩を震わせてかすかに喘ぎを。 両隣にいるおっさんは密着して熱い吐息を吹きかけ体をまさぐり、向かい側の三人は鼻の下を伸ばしてにやつき、舐めるような視線を這わせてくる。 「これは・・・やばい雰囲気だ・・!」と背筋を震わせ、流れを変えるか、誤魔化して逃げるかしたいところ、乳首に触れそうで触れなかったり、足の付け根に指を滑らせたり、際どいところを撫でてくるのに「あっ・・んぅ・・ふうぅ・・・」と弱々しく鳴くばかり。 酒に薬を盛られたのか、おっさんに触られて体をくねらせ、悩ましく喘ぐギャル男なんて洒落にならない。 痛いほどズボンは張りつめて湿っているし、おっさんどもの固いのが太ももに擦りつけられて「はぅ、やだっ・・おっきぃ♡」と舌足らずな喘ぎを漏らしてしまうし。 「会食を台なしにしてでも逃げないと!」と焦る一方で、焦らすように触られて、視線で舐め回され「やっ、やぁ・・・やめてっ、くださぁ・・」と物欲しげに腰をふってしまう。 ギャル男にあるまじき、みっともない痴態を笑い、右のおっさんが囁いたことには「パパって呼んだら、気もちよくしてあげよう♡」と。 かっと顔を熱くして「ふざけんな!」と怒鳴りたいところ、甘い毒が回っている体は抗えないで「んっ・・はぁ・・パパあぁ♡」と令和のチャラチャライケイケギャル男にして、幼児が甘えるような声を。 とたんに服越しに乳首をつねられ、もう片方を弾かれ、ズボンのもっこりを二人に握りしめられ猛烈シコシコ、両側から舌を耳に突っこまれて「ひゃあぁ♡だめっ、パパぁ、そんな、一気にいぃ♡」とお漏らしをどっぷりと溢れさせる。 【ホラーゲームの主人公は割りとエロいが、喘ぎフェチの俺は限界だ!】 平和と自由を至上とするその大国では、変わった研究がされていた。 人が寝て見る夢を映像化するというものだ。 奇人変人で有名な研究者、ジキルが実験をはじめてから十年、映像化に成功。 ジキルと助手のイーサンしか、夢を映像化するメカニズムを理解できず、他の研究者にとっては魔法や超常現象のように思えたという。 ただ、魔法にしては難点があり、ジキル手づくりのディスプレイにしか夢は写らず、それをカメラで撮影できないし、記憶装置にのこすこともできない。 なので研究は次の段階に移行し、夢を映像化したものを記憶装置に保存するのを目指して、大国は金に糸目をつけずに支援。 全面的にバックアップする大国の方針に「夢を映像化する、記録することがなんの役に立つんだ?」とまわりは訝ったが、目的は明確にされないまま、詳しい研究内容は知れないまま、実験はつづけられ、その日が訪れた。 被験者である男の悪夢を映像化していたとき、夢にでていた悪魔たちがディスプレイから実体のある存在として溢れだしてきたのだ。 あっという間に悪魔たちは大国だけでなく全世界に猛威をふるい、人々を惑わし狂わせ共食いさせ死んだほうがましな辛苦を味わわせ蟻を蹴散らすように虐殺をした。 悪魔たちの勢力拡大は世界滅亡まっしぐらだったなれど、やつらには銃や爆弾など現代兵器が通用、誘惑や洗脳には精神病の薬が有効で、なんとか踏みとどまることが。 非科学的な存在に現代的で科学的な手段で対抗ができたうえ、悪魔の生態が知れるにつれ、さらなる希望を持つことができた。 悪魔は繁殖したり、分裂したり、人の体を乗っとったり、孕ませたり、数を増やす術を持たないのだ。 つまり、ディスプレイからでてきた悪魔をすべて殺せば、一切の禍根をのこさず、もとの平和な世界を人類の手にとりもどすことができる。 とはいえ、全世界にちらばった悪魔の総数ははかり知れず、また自殺者を含めた人口減少のスピードが早いため、根絶やしができるまえに人類が滅んでしまうかもしれない。 先行きが見通せない、やはり絶望的な状況にあったが、それでも奮い立って結束する人間たちは、悪魔の総大将、ルシファー打倒を目指す。 悪魔といっても赤ん坊並みに知能が低く、本能のまま衝動のまま考えなしに人間を襲ってくるのがすくなくない。 その能なし悪魔を巧みに操り、最大限、人間にダメージを与えられるよう戦略を練ってしむけているのがルシファー。 憎らしいほど悪知恵を働かせる総大将を叩きつぶせば、下っぱ悪魔たちはただただ無作為に暴れるだけで、その相当数を罠にかけ、爆弾などで一網打尽ができるはず。 そう見こんで、人類滅亡のカウントダウンが刻まれていくなか、主人公を含めた特殊部隊は、生きている人々を守りながら、悪魔の数を減らしながら、ルシファーの行方を追う。 というのが今、俺がはまっているアクションホラーゲームだ。 もともとゾンビパニック系が好きなのもあるが、このゲームに興味をもったきっかけは、ある噂。 「主人公、セオの喘ぎがけっこうエロい」という。 いや、このゲームはレーティングがあっても、エロゲーではない。 おそらく狙ってはいなく、大真面目にアクションホラーゲームを製作してできた、うれしくない副産物なのだろう。 まあ、主人公、セオは悲劇のヒーローとして未亡人のような色っぽさはあるが。 セオは幼いころ、悪魔に父と母、妹を殺されて、一人とりのこされた哀れな生きのこり。 そのとき助けてくれた特殊部隊の隊員、ギミー(ゲームでは隊長)に育てられ兵士として鍛えられて、家族の仇をとるためにルシファー討伐に奮起する。 いかにも主人公っぽい設定だが、家族を虐殺されるのをクローゼットの隙間から目撃してしまったことで精神が不安定。 筋肉もりもり屈強特殊部隊員で、雄々しい見た目をしながら、顔つきは繊細そうで薄幸の美青年といった表現がぴったり、ひどく寡黙で口を開いても後ろ向きな発言しかせず、死神のように陰鬱なオーラをまとっている。 部隊の士気をさげるほど根暗なれど、悪魔のクリーチャーを一目見たら豹変。 いつも目元を隠している髪をかきあげ、舌を垂らしたまま高笑いをし、火炎放射器や重機関銃をぶっ放して「ヒャッハー!汚物は消毒だあああ!」と緑の血しぶきをあげながら、えげつないオーバーキルを。 特殊部隊所属のメンタルケアを担う医師曰く「家族を皆殺しにされたとき、なにもできなかった自分を責めるあまり、人格が分裂したのだろう」らしい。 こういった世界を救う系のアクションゲームの主人公にしては、なかなか劇薬的な設定なれど、シリーズを通しての登場人物のなかでいちばん人気がある。 なんだかんだ美青年で、キャラデザも秀逸だし、悪魔と遭遇すると悪魔より悪魔的に凶暴になるのが、ふだん大人しいのとギャップがあればあるほど人は魅了されるよう。 というだけでなく理性のぶっとんだ狂戦士のように見えて、人を守る姿勢を貫いてるところが、ときめきポイントなのだろう。 幼いころ、家族を救えなかったことを後悔しているせいか、狂犬のように暴れながらも「もうだれも死なせない!」との必死さが窺えるのだ。 「自殺したい人はお帰りくださああい!」と保護対象を庇うのに徹しているし、どれだけ見境いないように悪魔を惨殺していても「むしろ敵の味方してるのかよおっ!」と仲間を笑って罵倒しつつ、身を守りやすく戦いやすい場所に誘導したり、悪魔の攻撃範囲外に退けたり。 【むごたらしき異形の者となった俺は罪深き快楽を味わいながらもやっぱり人を愛さない】 俺には中学からつきあいがある、不釣りあいな幼なじみがいる。 同い年のカケルとシズクだ。 大雑把に乱暴な分類をすると、俺は陰キャ、二人は陽キャ。 二人とも容姿も中身も月並み以上、多くの人を敬い多くの人に敬われ、社会の一員として胸を張って生き、家族思いであり、他人にも情をかけ親切。 それらのほぼ真逆といっていい俺は、彼ら以外にまともに話せる人がいない。 にも関わらず、彼らが数えきれない友人知人の誘いを断って俺に会いたがるのは、共通の趣味があってのこと。 俺らは高名なホラー漫画家の巨匠を崇拝しているのだ。 ホラー漫画家の第一人者といっていい先生は、十代でデビュー、それから五十年、今に至るまで精力的に描きつづけている。 少女漫画のタッチを劇画調にしたような奇抜な絵柄、SFチックなおどろおどろしい独特の世界観、人間の深層心理を隠喩する描写がちりばめられた複雑怪奇な内容。 夜に眠れなくなっても読むのがやめられないような、えぐい中毒性があり、熱狂的ファンは多いが、俺ら世代はあまり。 生まれる三十年前の漫画となれば、興味を持ちにくく、そもそもお目にかかる機会もほとんどないだろう。 せいぜい「名前は聞いたことがあるような」ていどの認識が当たり前だったから中学のころ、クラスに三人もファンがいる状況となり、出会えることになったのは奇跡といっていい。 生まれてこの方、同世代のファンが一切いなかっただけに俺らは磁石同士が激突するように惹かれあって、今まで仲間に飢えてきた分をとりもどすように漫画について時間を忘れ、熱中して語りあったもので。 どれだけ話しても飽きなかったとはいえ、まあ俺はたまに我にかえるようなことがあり「ホラー漫画のつながりがなければ、きっと二人に見向きにされなかったろうな」とほんのり切なさを噛みしめることも。 同世代の稀有なファンはもちろんありがたい存在だったが「友人の多い二人だから、いつ俺から離れていってもおかしくない」と身がまえていた。 加えて、もっとユニークで気が利いて魅力がある友人がいるだろうに、彼らを差し置いて自分が二人と過ごしていることに罪悪感を覚えたり。 根暗で難儀な性分な俺は二人と会ってるとき心から笑えないところがあり、そういった不安を常に抱えて「いっそ、容赦なく俺を捨ててくれたほうが気が楽かもしれない」とまで考えてしまう。 そのくせ自分から距離を置く勇気はないのだから、我ながらみみっちく面倒くさい人間だ。 友だちなんて、ましてやホラー漫画を愛好する同士なんて一生、見つからないと思いっていたから、二人と過ごす時間は夢のようだったとはいえ、実際に寝て見る夢は忌まわしいものばかり。 カケルとシズクとつきあうようになって、ホラー漫画の同じ場面を悪夢として頻繁に見るように。 学校が地底に落下し、そこに住む未知の獰猛な生物と攻防しながら、中学生たちが協力したり裏切り裏切られたり狂いそうになりながらサバイバルするという内容のもの。 はじめのほう発狂して学校をとびだした女子が、化け物じみた地底人に捕まり、生きたまま手足を引きちぎられて食べられるシーン。 俺がその女子のように拘束されて「手と足とどっちがいい?」と聞かれて「どっちもいやだああ!」と泣き叫ぶのにかまわず、手足にはじまり、体の部位をどんどん引きちぎられて食べられていき、最後に「やめろおおお!」と絶叫する顔が地底人の口のなかに放られ、頭蓋骨が噛み砕かれ、脳が潰される音を聞きながら死んでいくという。 起きたら全身汗だくになっているほど、むごたらしい悪夢とはいえ「どっちもいやだ!」の発言にはカケルとシズクへの依存ぶりが反映しているように思えて、余計に気が重くなる。 複雑な心情をどこまでもこじらせていく俺を、二人がどう受けとめているのか分からない。 表向きは、コアなファンが身近にいて感想や意見を交換できるだけで満足であり、こちらの人間性をあまり気にしていないようだった。 五十年もほぼ休まず先生は漫画を描きつづけて、膨大なその作品をすべて語るには一生かかりそうで、語らうだけで忙しかったし。 ただ高校三年になって、三人とも同じ大学を志望し、見事合格したところで変化が到来。 カケルがシズクと結ばれたのだ。 まわりが手放しに祝福するようなお似合いの二人だったし、べつに俺はシズクに恋をしていなかったし、心から「よかった」と。 どこかほっとしたのは、ずっと引け目を覚えながらも、自分から決別できないジレンマからやっと解放されると思ってのこと。 オタクが恋をすると、なにごとも恋人優先になって、趣味には見向きもしなくなるというのは、あるあるな話。 カーストの天辺にいるようなカケルとシズクが、気まぐれに最下層の俺にかまっただけで、ほんらいいるべき、リア充の輝かしい世界へと舞いもどっていくのだろう、そう思っていたのだが。 【ホラーゲームのモブは割りとエロいが、ラスボスに股を開くなんて予想外すぎる 】 そのホラーゲームはゾンビパニックのアクション系に見えて、すこしちがう。 相手はゾンビでなく、植物人間だから。 植物人間とは寝たきりの人ではなく、全身緑の肌をして葉っぱや蔦を生やして光合成をする存在。 人間は酸素を吸い二酸化炭素を吐くが、植物人間は本家の植物と同じく、二酸化炭素を吸い、酸素を吐く。 植物と人間が合体した生命体の誕生のきっかけは、世界で二酸化炭素排出量が目標に達して減ってしまったこと。 おそらく、それが原因で、二酸化炭素を餌とする植物たちが、地球全体で一斉に突然変異を起こし、人間と同じ構造になったのだ。 つまり酸素をとりこみ、二酸化炭素を排出するという。 おかげで地球全体で一気に酸素量が減り、人々は次々と窒息死。 酸素ボンベなどを使い、なんとか生き延びた人類はかつての人口の五十分の一に。 人が減ったところで全世界の植物たちの二酸化炭素放出はとどまらず、科学者の計算によると「五十年も経たずに植物も動物も人間も絶滅するだろう」と。 人間が吐いた二酸化炭素を植物がとりこんで酸素を放出し、それを人間が吸収する。 持ちつ持たれつの循環が、人間の愚策によって崩れ、人類に怒りを表明するように突然変異を起こした植物は暴走したまま、無理心中をするように破滅に向かっているようだった。 人の手で酸素をつくることができるとはいえ、全世界の植物の反乱には敵わず、とてもとても前のように日常生活を送るのはままならない。 野生の動物はとっくに全滅、生きのこった人類にしろ五十年を待たずに滅んでしまうとの計算がされたが、ある有能な科学者が、絶望的状況を打開してくれるような革新的な生物を誕生させた。 そう、それが植物人間だ。 植物より多くの酸素をつくりだしてくれ、一人いれば、大勢を生かすことができるし、数を増やして全世界に配置すれば、二酸化炭素過多な状況が改善され、元の循環をとりもどせる可能性も。 人類救済の希望となった植物人間なれど、じつは元人間。 一応、立候補した人が実験体となって、生みだされたものとされている。 滅びかけの世界で常識も倫理も法律も糞もなかったが、それでも「非人道的なのでは」と反対の声があがり「だれを植物人間にするのか、だれが決めるのか」と問題点が指摘され喧喧囂囂に議論がされた。 植物人間を有効活用して元の世界をとりもどそうという派閥と、植物人間の研究を元にべつの方法を模索して犠牲者をだすまいとする派閥と別れて、争いは激化するばかりで、ついには決別。 アメリカのある地域で生きのこりが集まって暮らしていた施設、そこから反対派は追いだされて、賛成派は拠点の防衛をしつつ、べつのところに地下施設をつくってお引っ越し。 道を分かたれてなおのこと、意地になったようにお互いを目の敵にして、賛成派は攻撃的な植物人間を開発し、反対派に襲わせて殲滅しようと。 反対派は撃退しつつ、地下にもぐって行方をくらました賛成派の拠点を見つけだして制圧、研究データーを手中にし、植物人間から発展させた研究で人類救済をしようと。 ゲームは反対派の視点で、賛成派を倒す展開。 敵は攻撃的に改造された植物人間なれど、これがなかなか厄介。 植物人間に種を植えつけられると、自分も同じように変貌して人間性を失い、元にもどることはできず、そこらへんはゾンビと似たようなもの。 明確な急所というものがなく、多少、体が欠損しても死なないから、粉々に砕いて戦闘不能にする必要が。 プレイヤーが操作するのは、反対派のリーダーにして戦闘チームの指揮官、イアン。 スポーツ刈り金髪青目、ゴリマッチョで脳筋ポジティブな典型的なザ・アメリカ人で「Go to Heven!」が戦闘時の口癖。 「Go to hell!」が「くだばれ!」だから、その意味合いもありつつ、元人間を哀れんで「天国に行っちまえ!」と銃弾を打ちこんでいるのだろう。 「何人殺れるか競争だ!」とやや不謹慎ながら、意気揚々と戦うさまが目を引いて、どん詰まりの絶望的な状況にあって、陰鬱さを吹きとばしてくれる。 ホラーゲームにしては珍しく、勢い任せの無鉄砲戦闘狂キャラで、この主人公の人気が高いことからゲームが売れているのだが、さらに注目すべき点が三つ。 ひとつ目は、水中にいるように酸素が吸えない状況での戦闘。 ふつうのアクションゲームのように体力ゲージなどに加えて、酸素残量ゲージがある。 イアンやほかの隊員は酸素ボンベを背負って戦い、残量がゼロになる前に補給をしないと死亡。 補給部隊がくるまで、ボンベの交換にすこし時間がかかること、ステージによって補給できる回数が限られていることなどなど、制約があっての戦闘はけっこう難しい。 あまり難易度が高いと、アクションに不馴れな層は避けるのだが、このゲームに限ってはミッションクリアしたときの緊張からの解放感と達成感がたまらないと好評のよう。 ふたつ目は植物人間の扱いについて。 主人公のイアンは植物人間を利用しての人類救済を認めない派閥なれど、酸素がないことには賛成派の猛攻に対抗できないどころか、日々の生活もまともに送れない。 人の手で酸素をつくりだすのでは間にあわず、結局、否定派も生きる糧として植物人間を利用しているのだ。 というわけでゲームでも生け捕りが求められる。 あるていどの数の植物人間を生け捕りにしないと戦闘のパフォーマンスが落ち、増えるほど戦闘員も比例して、士気があがったり強化されたり、いいことづくめ。 ただ、殺すより生け捕りにするほうが、種を植えつけられるリスクが高まるし、なにより植物人間否定派としては葛藤せざるをえず、サイコパスでない限り、プレイヤーは苦悩することに。 「こんなシステムをつくった制作者は鬼も泣かせるような鬼畜だ!」と泣きじゃくりながらプレイする人たちは、そのくせ、なかなかゲームをやめることができない。 潜在的エムっ気をくすぐられるのではないか?との説が流れているとはいえ、つぎつぎとプレイ中毒者が生みだされる理由は謎。 三つ目はモブの顎髭の男が「けっこうエロくね?」と囁かれていること。 彼は主人公、イアンの友人であり相棒のガルで、顎髭を生やして渋い見た目をしながらも、二人は同い年という。 腕の立つ医師兼、植物人間について研究をする科学者。 後方支援の担当かと思いきや、イアンに劣らない屈強な体つきをし、特攻する隊長に負けじと、ごつい銃器を担いで先陣を切る、なかなかの好戦的な眼鏡インテリだ。 「そこらの兵士より兵士らしく戦う医者であり科学者」という個性的でユニークなキャラなれど、なぜかゲームでは一貫して無言。 イアンのそばにいることが多いし、なくてはならない主人公の相棒というポジションながら、説明書やホームページに名前以外の詳細が書かれていないし。 【お前は俺を愛さないが、俺はお前の息子を愛している】 探偵事務所にきた女性は失踪した夫を探してほしいとのこと。 夫はオカルト専門のフリーライター、ペンネーム「オカルター」で一般人の相談や依頼によって、その人が体験した超常現象や怪奇現象などの調査をして、真偽やからくりを解明するらしい。 失踪する前に調べていていたのは、相談者の姉の失踪にまつわる不可解な事案。 相談者の姉は事故で夫を亡くし、通夜や葬式をせず、遺体を持ちだして行方をくらましたのだとか。 一年後、もどってきたなら「遺体はもう焼いた」と告げて、腕に抱く赤ん坊を見せた。 姉曰く、夫が亡くなった直後に妊娠に気づき、不幸とおめでたが同時に起こった、そのことで精神が錯乱「だれにも夫も子供も奪われてなるものか!」と思いつめて逃避行したとのこと。 なにがあったにしろ、適切に遺体の処理をしたようだし、姉の安否が確認できたのだから、しかも亡き夫の置き土産のような子供をつれて帰ってきたのなら、それでよしとしたいところ、弟の相談者は今一、歓迎できず。 赤ん坊が似ているのレベルを越えて亡き夫にそっくりで「生まれ変わったのか?」とぞっとするほどだったから。 胸騒ぎを覚えた理由はほかにもあり、相談者は姉と似たような経験をした人の話を聞いたことがあったらしい。 兄を亡くした妹がやはり、遺体を持って消えてしまい、一年後に帰ってきて赤ん坊を抱いていたという。 そう、その赤ん坊にも亡き兄の生まれ変わりのような面影が。 相談者の姉の場合は、夫の遺伝子が受け継がれているのだから瓜二つでもまだ納得できるが、まさか妹が兄と子供をもうけたというのか。 そう懸念した両親が遺伝子検査をさせたところ、九十九パーセント兄の子でありつつ、妹の血は混じっておらず。 妹に問いただしたところで「兄さんと密かにつきあっていた女の人から預かった」とかなんとか、詳しくは教えてくれず、明らかにするのが恐ろしいようで、まわりも問いただせず、有耶無耶のまま。 このことだけでも十分に奇っ怪なところ、関連があるのかないのか、その妹が失踪してから三日後、近くに住む男が忽然と消えたらしい。 近隣でつづけざま、二人も行方不明になったのだから話題になったのだが、消えた男と消えた遺体とその比較をして、まわりは眉をひそめたという。 彼らは同い年であり、見た目や体格、性格、社会的立場などの類似点も多かったのだ。 「だからどうした」の説明はつけられず、いまだに男の行方は知れないままで、謎が謎を呼んだこの一件は、今では都市伝説のように語られているとか。 友人から聞いた、この話を思いだした相談者が、警察の公表する行方不明者のリストにアクセスしたところ、姉が失踪して三日後、亡き義兄と近い年ごろ、容姿や雰囲気が似た男を見つけだした。 自分の実体験と友人の話と、偶然とは思えない、この一致が気になってしかたなく、オカルターに連絡をしたわけだ。 興味を引かれたオカルターは、相談者のような体験をした人が他にいないか、また人が死亡して間もなく近隣に住む似た人間が行方不明になるという現象が全国で起こっていないかと調査。 思ったより酷似した事例が多く見つかり、亡くなった人も、似た失踪者も男しかいないと判明。 いろいろと分かってきたところで謎は深まるばかり、こうなったら遺体と共に失踪した当人を問いただすしかないと直撃するも「あまり、しつこいと警察を呼びますよ」と完全拒否。 関係者も頑として口を開こうとせず、だからこそ余計にきな臭いと考えて調査を続行。 起承転結や教訓があるでもない、とらえどころがなく不気味な内容のテイストは、古来の怪談に通じるものがあったに、過去を遡って探ることに。 もしかして昔にも同じことが起こっており、それが現代でも続行しているのではないかと考えたよう。 関係者が口を揃えて「死んだ人間が赤ん坊として生まれ変わった?」と疑うのからして、生まれ変わりに関する伝承がないかと古い文献を読み漁ったところビンゴ。 ある地方に伝わる、仲むつまじい双子の闘神の話だ。 幼いころに親を亡くしたこともあり、兄は目にいれても痛くないとばかり弟を溺愛し、弟は兄を父親代わりに慕い、双子は固い絆を結んでいた。 が、弟と結ばれた女の神に、兄が手をだして子を成してしまう。 怒り狂った弟が襲いかかって、止めようとした兄は逆に刺殺を。 闘神ならではの避けようがない事故的な不幸だったとはいえ、兄はそう割りきれずに遺体を抱きしめて、死と生を司る女神のもとへ。 彼女は死者を赤ん坊に生まれ変わらせることができるのだが「そもそも不義を働いたお主がわるかろう」とにべもなく突っぱねた。 ぐうの音もでないところ、なりふりかまわず「自分の命を捧げてもいいから、どうか弟を!」と大泣きして土下座すると「じゃあ、わたしと同じ力をそなたに授けよう」と思いがけない申し渡し。 「とはいえ、女は無から有を生みだせるが、男は無から有を生みだせぬ。 故に有から有を生みださねばならぬのだ。 自然の摂理に反すること故、筆舌に尽くしがたい辛苦を味わうことになるが、それを罪の償いとして受けいれることが、そなたにできるか?」 厳粛な女の神の問いかけに、兄の神が、血が滲むほど額に地面に擦りつづけたことで力の授与が行われた。 蹴鞠ほどの真っ白な繭が、かすかに蠢くこと十ヶ月ほど、内側から裂けたなら、玉のような赤ん坊が。 生まれたての皺だらけの顔に、弟の面影がありありと反映されているのを目にして、兄は泣きじゃくって赤ん坊を抱きしめたという。 ここまでの内容なら「生まれ変わり」との共通点があるだけで、依頼主の件とのつながりは遠すぎるように思えるが、注目すべきはこのあとの話。 殺した弟を、赤ん坊という形で生き返らせることができ、めでたしめでたしで終わらず、禁忌を犯したとして双子の神は地上に追放された。 というのは表向きで、決して死から免れられない人間を哀れんだ女の神が、ささやかな救済措置を設けようとしてしての画策だったらしい。 山奥のある村に舞いおりた双子の神は、兄が生まれ変わりの儀式を行い、赤ん坊の弟は成長してから村の女と交わって子供をつくり、力を受け継がせた。 ほんらい、力を保有する兄が子づくりすべきところ、儀式によって体も魂も汚れてしまうため、その血を受け継がせるのは危険とあり、双子の弟と役割分担をさせたという。 弟がもうけた子供はもちろん、以降の子孫も必ず二人の男児、双子の兄弟が生まれた。 兄は人の生まれ変わりを成せる力を持ちつづけ、弟はその能力を受け継がせる力を持ちつづけ、秘境にある村は、死を受けいれられない人々の、この世では許されざる邪な願いを叶えているとのことだ。 「この世で生まれ変わりを実現できる村が、今もあるのかもしれない。 夫は本気でそう考えていたわけではありません。 この伝承にかこつけて子供を売買するような、不法で詐欺的で非道で宗教チックな裏ビジネスがあるのではないかと疑い、調べをすすめていました。 亡くなった人と似た人が失踪することについては、主軸を調べるうちに関連が見えてくるだろうと。 調査は順調だったようで、伝承に関連する村の場所がつかめるかもしれないと興奮して連絡がきた矢先に、消えしまった・・・。 今、話したことを警察や興信所でも伝えましたが、信じてもらえなかったですし、なんだかんだ、夫の失踪にはわたしに原因があるのでは?と笑われもした。 あなたくらいです、最後まで口を挟まず、笑うことなく、哀れむことなく、呆れることもなく、聞いてくれたのは・・・」 落ちついて、淀みなく語ったオカルターの妻、彼女の言葉に「調査資料を見れば、あるていど、旦那さんの人となりが分かりますから」と隙間なく文字が書かれたプリントに目を落とす。 「オカルトという怪しいジャンルの専門ライターをしながらも、憶測による決めつけや都合のいい嘘を書かず、調査の中身も包み隠さずに明かして、結果がはっきりとせずとも、つまらない内容だったとしても、ありのまま公表する。 多少、誇張したり虚飾してもよさそうなジャンルにあって、時間と手間をかけて頭と足をつかって調べあげ、誠実に記事を書く姿勢を貫いていた。 逆にそのせいで、いい加減に書く記者には辿りつけない危険な領域に踏みこんでしまい、暴かれたくない相手に気づかれ、目をつけられたのかもしれない。 その可能性がなくはないと思います」 犯罪に巻きまれたかもしれないと、遠回しなれど、伝えるのは残酷かと思ったが、依頼者は顔を伏せて「わたしも、そう思うんです・・」と目元を指でぬぐった。 精度の高そうな調査資料にしろ、妻が気丈にふるまいつつ、弱音を隠しきれないさまにしろ、冷やかしでないのは明らかだし、ほかに意図があって騙したり、罠にはめようとしてはいないのだろう。 ちょうどほかに依頼のない空白期間だったし、なにより俺のモットーは「犯罪が起こるまで腰をあげない警察がとりこぼす被害者たちを救う」なのだから、うってつけの依頼に思えて引き受けることに。 依頼者が帰ったあと、冷めたコーヒーをすすって、ため息をついたらスマホに着信が。 亡き友の妻、朝子さんからで、テレビ通話にでると「入園祝いをくれたの、和志がお礼を直接いいたいというの」と伝えられ、すぐに少年の顔が写る。 友の和繁を思い起こさせる、人懐こい犬のような顔で笑いかけ「光司しゃん、ありがとー!このズックはくと、かけっこ早くなるのー!」と走るポーズを。 「こんどの運動会、がんばれよ」と頬を緩ませると「うん!」と応じ、今日の幼稚園でのできごとをまくしたてるのに、しばらく、にこにこうんうんと耳をかたむけた。 話はつきなかったものの「和志、そろそろ夕食だから」と朝子さんが再登場。 「ごめん、かわいいもんだから、つい止められなくて」と苦笑するのに「ふふ、和志は光司さんのこと大好きだから・・・」と笑い返しつつ、物言いたげな視線。 気づかないふりをし「しばらく、こみいった仕事があるから会えないかもしれないけど」と伝えて「じゃあ、おやすみ」と通話を切った。 スマホをソファに放って、さっきの朝子さんが見せた思わせぶりな態度を思いだし、すこし苛だちを覚え、それを飲みこむように、空になったカップを煽った。 販売しているホラーBL小説と新作、5作を収録した短編集を電子書籍で販売中。 詳細を知れるブログのリンクは説明の下にあります。

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