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第1話
最近、王都では結婚したい男ランキングなるものが流行っている。
ある新聞社が始めたのだが、意外にも市民や貴族に受け入れられたのだ。
そこには、筋肉隆々の漁師から美声の舞台俳優まで、ありとあらゆる男たちが名を連ねている。
その中でも異様な人気を誇り、ついに殿堂入りしたのが白騎士団長ルシアン・エーデルヴァルトだった。
次期公爵という地位もさることながら、実力と人望を兼ね備えた彼は、市井の老若男女に人気があった。
人は彼を清廉潔白の公爵。または騎士の中の騎士と言って称えた。
その騎士団長が、目の前で滾ったイチモツを掴み、自慰をしている姿を見て、ロイは後ろ手に小屋のドアを閉めた。
締め出された部下が慌てる。
「なんですか? どうしました? 不審者は?」
「居た」
そう応えて、どうして扉を閉めてしまったのか、自分でも不思議だった。
「……オレが話をつけておくから、先に次に行け。今日は苦情が多いだろ」
「まあ、そうなんですけど。……おせっかいもほどほどにして下さいよ」
部下の去っていく気配を見送り、視線を前に戻した。
さて、どうしたものか。
白い騎士制服と紋章は、ルシアン騎士団長であることは間違いないと物語っている。
だが、これは……。
木の壁にけだるげにもたれかかった彼の顔はうっすら上気していたし、常にきっちりと着こまれている制服ははだけられ、厚い胸板から割れた腹筋までが露わだった。
そこから立ち上る色香は娼婦も顔負けだ。
当の本人は何食わぬ顔で、自分のイチモツをしごいている。
任務そっちのけで、ロイのものがじわりと熱を持った。
「階級と所属は?」
現在の状況をものともせず言葉を発したのは、自慰に励むルシアンのほうだった。
動いている手は錯覚なのかと思えるほど、毅然とした声だ。いや、少し熱っぽいか……。
「黒騎士団第三騎士隊所属、小隊長のロイです」
かかとをそろえて敬礼する。
「そうか。私はーー」
「存じあげてます」
「……うむ。では……行ってくれ」
艶のある眼差しでそう言われる。
(これは、やばい……)
捨て置くとして、ほかの誰かがこれを見つけたら襲われることは必至だ。
騎士団長の地位が、爵位だけでなく実力ゆえと知っているが、この状況で欲情した相手に対応できるのか。
外で見張るか? それとも……。
ごくりと喉が鳴る。
自分の欲望にはもう気づいていた。
先程から目を逸らせないのだから。
「どうした……?」
場違いに、冷静な声が部屋に落ちた。
「それはオレのセリフですね。近隣から毎夜、不気味な声の霊が現れると苦情が来てるんすよ」
見目麗しい顔に、さあっと影が差した。
「……なるべく、抑える」
ロイは眉を寄せた。
「失礼っすけど……」
慎重に言葉を選ぶ。
「……そういう趣味が?」
「断じて違う!」
「なら……?」
「魔女の呪いだ」
任務で魔女の反感を買い、報復を受けたらしい。
「それで、時々こんなことになる、と。……何したんすか?」
言いにくそうな顔だけが返ってくる。
「まあ、この際、事情は置いといて。オレ、手伝いますよ。そういうの得意ですんで」
目がわずかに細められた。何かを思い出そうとしているのが分かる。
「第三騎士隊のロイだったか。聞いたことがある」
「へえ。良い噂っすか?」
「勤務態度は問題ない、と」
「……他にもありそうっすね」
一拍置いて続けられた。
「男女関係は奔放……だったか」
「はは……。オレ、帰ります?」
「いや。だからこその申し出なんだろう」
真顔でそんなことを言われ、吹き出しそうになった。
「……頼めるか?」
ロイは人のいい笑顔を貼り付けた。
「もちろん。国民のためにあるのが黒騎士団ですから」
サラリとそんな言葉が出たのは、騎士が口説きに使う常套句だからだ。
ウケ狙いのつもりだったのに、感心したような顔を向けられる。
調子が狂うが、悪い気はしない。
「じゃ、ちょっとこっちへ」
と、木箱の上へ座らせようとしたのだが。
「うっ……」
腕をつかんだとたん、ドピュッ、と白濁が漆黒の騎士服に掛かった。
ドロリとした液体がへばりつく。
初めてルシアンが狼狽えた。
「……すまない。制服を汚すとは……っ」
さっきまであれほど堂々とした姿だったのに、ロイの制服を汚したぐらいで、名誉を汚したと言わんばかりに青ざめている。
「いいっすよ。そういう呪いなんでしょ? 洗えば落ちますし」
もちろん、こんなことでお預けされてたまるかという下心あってのセリフだ。
だが、またもや感動したかのような顔で返される。
「その代わり、タメ口でもいいすか? そのほうがやりやすくて。もちろん、ことが終わるまででも」
「かまわん」
これも、いとも簡単に承諾を得た。
「んじゃ、さっそく……」
すぐさま言葉を変え、押し倒した。
「おい……待て」
彼は明らかに狼狽している。
だが逃がす気はない。
「やるからには全力でやるんで」
「どうするつもりだ?」
「こういうのは絶頂してりゃあ、落ち着くと相場が決まってるんすよ」
「ああ、だが……」
自身を彼にこすり当てた。
彼がびくりと固まった隙に、すでに開かれているズボンへ指を滑り込ませる。
息を呑む音が聞こえた。
「こっち使うのを、知らないわけじゃないっしょ?」
トントン、と後の穴をノックすると、端正な顔に驚愕の表情が浮かぶ。
十分な間をおいて、彼が聞いてきた。
「……私が、そちらなのか……?」
ニヤリと笑った。
「どう見ても」
ルシアンは何か言おうと口を開きかけたが、結局、されるがままに服を脱がされ四つん這いになった。
無防備に晒された背中と尻はしっかりと鍛え上げられていて、同業者のロイが見ても見惚れてしまいそうなほどだった。
この身体を抱けるという現実に、つい、顔が緩んでしまう。
上着を脱ぐのももどかしく、内ポケットから出した潤滑油を手にふりかける。
引き締まった足を割り開けば、吐き出された精が尻にまで垂れていて、白濁に隠されたそこは、ひどく卑猥だった。
喉が鳴る。
見ただけだというのに、ズボンの中は今にもはち切れそうなほど張り詰めている。
(どう、乱そうか……)
自身の唇を湿らせながら、後孔に手を置く。
ビクッと、背が跳ね上がった。
だが、それ以上の反応はなかった。
撫でても突いても、しおらしいほどじっとしている。
拍子抜けだ。
コレが騎士団長の胆力なのだろうか。
(……揺さぶってみるか……)
指先に力を入れると、僅かな抵抗の後、プツッと、中に飲み込まれた。
意外に簡単に。
「……もしかして、経験あり?」
「そんなわけ、……あるか」
「だよな……。なら、素質があるのかもだぜ」
屈辱であろう言葉をわざとかけた。
だが、やはり反応はない。
ならばと、指を進め、男なら感じるであろう場所をゆるく押してやる。
「ここ、気持ちいいだろ?」
その言葉にすら何も返さない。
(なんだよ。やっぱり期待はずれかよ)
貴族が慌てるさまが見たかったのに、出してる色気のわりに無反応すぎる。
抱きたい思いが薄まるわけではないが、肩透かしをくらった気分だ。
仕方ない。勝手に期待したのはロイだ。
それでもと、しっかりじっくりとほぐしあげ、指3本がすんなりはいるようにまでした自分を褒めてやりたい。
その間も彼はうんともすんとも言わなかったが……。
「痛くはねーんだろ?」
あまりに反応がなくて心配になった。まさか、自分が下手なんてことはないはずだ。
「おい。嫌なら嫌って言えよ。いい加減、萎えるぞ」
のぞき込み、腕に伏せた髪に触れると、彼はゆっくりと顔を上げた。
言葉を失った。
端正な顔は熱に浮かされたように赤く染まり、うるんだ青い瞳がこちらを見つめている。
それなのに、眉間にはしわが入り、唇は固く結ばれていた。
「……嫌ではない」
ようやくこぼした言葉は、ひどくかすれていた。
(なんだ……? 耐えてたってことか。散々いじってる間、声一つ漏らさねーように……)
そう気づいた途端、先程までの拍子抜けが嘘のように消えた。
口端が上がってしまう。
「なあ、どうしてほしい? 言ってみな」
しばらくの沈黙の後に低い声が聞こえた。
「……わからん。ただ……奥が熱い」
(へー、欲しいとは言わねーのか。……いや、言えねーのかな)
俄然、興味が増した。
明らかに欲する顔をしておきながら、本人は必死に隠してるのだから。
(……なら、どこまで……?)
「奥って、ここか?」
警戒されないように言葉を選びながら、ふたたび指を入れ込んだ。
今度は、ねっとりと動かし、第二関節ほど入ったところで折り曲げる。
「っ……!」
四つん這いの彼の指が、床を掴むように動いた。
続けて刺激してやれば、押し殺した息が次第に荒くなっていく。
小屋に彼の熱い吐息と、濡れた音が充満してい。
(もう十分か……)
指を回して引き抜くと、彼の喉の奥からかすかな音が漏れた。
モノ惜しげなそれを、聞こえなかったフリしてやるが、そこはヒクヒクと動いてる。
(身体は素直なのな……)
「待ってな。すぐに入れてやる」
手早く服を脱ぎ捨て、すでに先走りを零す屹立を、押し当てた。
先端をなじませるようにこすりつけると、彼の腰はブルリと震える。
挿入に、これほど心躍るのはいつぶりか。
ここにきて、彼が受け入れる顔を見たくなった。
必死に隠そうとするその顔を。
「なあ、ちょっと横になって」
体を折りたたむように、彼の足を持ち上げた。
のしかかり、正面から覗き込む。
ルシアンは余裕がないのか、されるがままだ。
「しっかり見とけよ。アンタの初めてを貰う男なんだから」
素直に青い瞳が向けられた。
ニヤリと笑って腰を進める。
「っ……」
切っ先が、ズズッと埋まった。
十分に解したおかげか、ほとんど抵抗はない。熱い内壁は絡みついて、もっていかれそうになる。
その上、まっすぐに目を向けられるものだから、堪らない。
(くそっ、……色っぽい顔しやがって)
簡単に煽られる自分が情けない。
「く……っ」
彼の口からも声にならない息が漏れる。
じわりと奥まで押し込めば、形のいい唇がわななく。
引き抜けば、毅然としていた眉がわずかに下がり、何かを言いかけた口が、すぐに閉じられる。
(……その顔、見せていいのかよっ)
眉を寄せながらも、視線は逸らされない。
さっきまで頑なに隠していたくせに、ロイの言葉を守っているのだ。
心が疼いた。
思わず彼の唇に顔を近づけた。
それが自然に思えたから。
だが、ふいっとそらされた。
自分に苦笑した。
(……そうだったな。お貴族様との距離を思い出させてくれてありがとよ)
自分を戒めるように、彼のモノを握り込んだ。
「おい……」
「大丈夫だ。うまく飲み込んでる。初めてにしちゃあ上出来だ」
「そうではなく……くっ……」
手で扱きながら、ゆっくりと腰を前後させた。
動かすほどに彼の息が大きくなる。
「っ……もっ、……と」
思わず漏れたであろう小さな言葉に、ルシアンの顔が真っ赤になった。
形のいい唇がきつく噛みしめられた。
「おい、それやめろ」
噛ませまいと口中へ手を伸ばす。
「切れちまうだろ」
「っ、うっ……」
途端に抑えられていた声が漏れ出した。
また隠そうとするような仕草を見て、口がついて出た。
「我慢すんなよ。欲しいなら欲しいでいいだろ」
信じられないと言うような顔が向けられる。
ロイ自身がそんなことに口を出した自分が信じられなかった。
相手は貴族様だ。世話を焼ける相手じゃない。
「わりー。違うんだ……。いいとこ突いてやるから。もっとリラックスしてなって、言いたくて……」
しどろもどろな言い訳をしたのだが……。
「お前は?」
「へ?」
変な声が出た。
「……お前はいいのか?」
「なにが?」
返答に困っているのか、視線を彷徨わせている。
(もしかして、コイツ、オレの心配したのか?)
ロイが平民であることなんて、すでにわかっているはずだ。なのに気遣ってくるとは。
噂通り、平民だろうと関係なく気を遣う男。
「ははっ……」
乾いた笑いが漏れた。
汗に濡れた尻を両手でワシ掴む。
めいいっぱい開かせて、一気に深くまで突き入れた。
彼が驚き、肩をつかまれる。
「アンタはただ感じてろ。オレの心配なんて、しなくていい」
「う、っ……」
ゆっくりと内壁を摺り上げると、肩に置かれた指が食い込んだ。
ぎゅうっと後ろが締まっていくが、構わない。前立腺めがけて腰を振る。
「待てっ……これは……」
「いいんだよ」
逃げるように尻が上へとずり動いたが、さらに追って腰を押し付ける。
「……っ」
ジュブッと、音を立てさせながら、根元まで収めて、また引き抜く。
彼の目か硬く閉じられ、快感から逃れるように頭を振っていた。
そして、うめきながらも手が伸ばされる。
止めるのかと思いきや、濡れた青い瞳と視線が合う。
(なんだ……。なんでそんなに見てくるんだ)
切なげに眉を寄せているのに、それでもルシアンは目を逸らさない。
最初は、自分が見ていろと言ったからだと思ったが、どうも違う。
見られてるのだ。
ロイの姿を望んでいる。
知らず頬が緩んだ。
(本当に……反則だ……)
「っ……な、大きくなって……」
「今のはアンタが悪いだろ」
分かっていない本人の尻を抱え込んで、腰を動かす。
(ゆっくりこするのが好きなの、もうバレてるぞ)
本人はまだ隠しているつもりらしい。
だが、言葉を聞かなくとも、何を望んでいるのかもう分かる。
(……いいぜ。言えねーんなら、俺が勝手にかなえてやる)
自分のその思考に苦笑した。
死ぬほど気持ちよくしてやる。
この夜が忘れられないほどに。
「くっ……またっ……」
「ああ……。っ、オレもだ……ッ」
きゅうっと、締まった腹に絞られるように白濁を放った。
どくどくと、大量に出る。
ダメ押しのように中に擦り付けると、彼が震える尻で迎え受けた。
さらに良くしてやろうと腰を引いたのだが……。
「ん……?」
くらり、と彼の体が傾いた。
「おい」
受け止めた体を揺するが、返事はない。
「まじかよ……」
まだ、存分に抱いてやるつもりだった。
不完全燃焼だ。
呆然としつつ、ズルリと自身を引き抜いた。
「どうすっかな……これ」
未だに元気な自身を見てロイは苦笑した。
※
薄っすらと空が明け始めた空の下。
湖の中へ入り体を清めた。ついでに息子も鎮めて、小屋へと戻った。
情事後と丸わかりのムッとした空気の中、ルシアンは相変わらず、場違いなほど静かな顔で眠っている。
ため息をついて抱きかかえ、後処理してやる。
床に寝かせると、ブルリと震えたので自分の上着を掛けた。
顔に貼りつく髪まで、かきあげてやって、はた、とした。
(オレ、何やってんだ……)
いままで、こんなことをしたことがあっただろうか。
情事の末、気を失った相手をそのままに、帰ることだってあったはずだ。
そんなことを考えながら、床を拭いていると小さなうめきが聞こえた。
長いまつげが震え、やがて、青い瞳が覗いた。
視線が宙を彷徨っている。
「起きたか……」
彼は一瞬で状況を理解したようだった。
「……どれくらい寝てた?」
「たいした時間じゃねーよ」
「そうか」
体を起こすのを手伝ってやる。
バサリと落ちた黒騎士の上着が掴まれる。
何故か恥ずかしくなり、「寒そうだったからな」と、ぶっきらぼうに言って服を取り上げた。
彼の目が優しげに緩んだ。
「礼を言う。……助かった」
本心からと分かる言葉に居心地は悪い。
「アンタ、人を信用しすぎじゃね?」
「そうか?」
「そうだよ」
「だが、お前は信用できるだろう」
「…………」
そんなことを貴族から聞くなんて思っていなかった。
純粋な目から、顔を背けられない。
「この借りは返さないとな。望みはあるか?」
言葉がでなかった。
抱く前であればもらったかもしれない。だが今は不思議と何も望んでは居なかった。
恩を売る絶好の機会だというのに。
「いらねーよ」
「しかし――」
「オレも楽しんだ。貸し借りなしでいいだろ」
もう終わりだとばかりに後片付けを再開する。
ルシアンはそれ以上は何も言わなかった。
そして当たり前のように床を拭こうとしたので慌てて止めた。
本当にコイツには調子が狂う。
朝日が昇り始めた頃、来た時よりも綺麗になった小屋を後にした。
「で、その呪い。これで終わりなのか?」
気になっていたことだ。
苦情を申し出た住民たちは『夜な夜な苦しげに呻く霊が湖畔に現れる』と苦情を入れていた。
彼は平然と応える。
「いや。暫くすれば、また起こるだろう」
「……また?」
「ああ」
本当に厄介な呪いを受けたらしい。
「次はどうするんだ」
「いつも通りだ。ここで一人で――」
「やめとけ」
言葉を塞ぐ。
自分でも、何を言おうとしているのかと額を押さえた。
だが、いくら考えても同じセリフしか頭にない。
「……次もオレを呼べよ」
「お前を?」
「今回で勝手も分かったし。秘密を知ってる人間を増やす必要もねえだろ」
彼が押し黙った。
(平民が馴れ馴れしかったか……。いや、コイツに限ってそれはないな)
「アンタまた変な気遣いしてんだろ。いいからオレを頼れ。市民の為にあるのが黒騎士団だ。だろ?」
自身の胸を強く叩けば、彼の顔が眩しそうに微笑んだ。
「分かった。その時は頼む」
(だから、その顔、反則だ……)
近くにある肩に手を回しそうになるが、すんでのところで留まった。
彼は同僚じゃない。まして恋人なんかでもない。
それでも、この時間を終わらせたくなかった。
「よし。飯、食いに行こーぜ。腹減った」
「なら、せめて奢ろう」
「いいぜ。この時間に開いてる、いい店を知ってる」
その日、大通りの食堂は異様な盛り上がりを見せた。
皆が平静を装いながらも、「噂の白騎士団長」の登場に沸いたのだ。
『きゃー、こっちを見たわよ』
ルシアンが視線を動かすだけでも、黄色い声が上がった。
「わりー。店を間違えた」
ロイは自身の浅はかだった考えを悔いた。
「かまわん」
彼はやはり嫌な顔一つしない。
「次は静かな所を探しておく」
自然と次を話してしまったのだが、ルシアンが微笑んだ。
それを直視した給仕がめまいを起こし、運ばれていく。
罪な男だ。そう思いつつも、彼の青い瞳から視線を逸らせなかった。
(完)
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