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【前編】 眺めるだけじゃ嫌かな

【登場人物】 ・青山コウタ(あおやまコウタ) 鉄道会社の車掌。 箱根旅行で響に想いを伝え、正式に付き合うことになった。 木田の元彼。 響からは「コウタくん」と呼ばれている。 《FiVE DrinK》 ・響ワタル(ひびきワタル) FiVE DrinKのセンター。 ずっと想い続けていた青山と、ついに恋人同士になった。 BLドラマ「フタツノ ヒカリ」で主演を務めた。 青山からは「ワタル」と呼ばれている。 ・黒川ジン(くろかわジン) FiVE DrinKメンバー。 長く響を想い支えてきたが、 今では青山を“推し”として慕っている。 ・押部リョウタ(おしべリョウタ) FiVE DrinKのリーダー。 明るくノリの良いムードメーカー。 騒がしいが、何気に周囲をよく見ている。 ・緑川コウヘイ(みどりかわコウヘイ) FiVE DrinKメンバー。 冷静そうに見えて、実は天然で子供っぽい。 メンバーの暴走に巻き込まれがち。 ・楓ユウサク(かえでユウサク) FiVE DrinKメンバー。 距離感が近く、人をイジるのが大好き。 特に黒川をからかって遊ぶ策士。 ・木田アスカ(きだアスカ) FiVE DrinKの敏腕マネージャー。 青山の元彼女で、 メンバーと青山を誰より理解している人物。 ・黒崎零(くろさき れい) 芸名RAY-K。 Crest Aster社長。 過去に青山に助けられており、 再会をきっかけに良き友人となった。 ・兎波奏(となみ かなた) VIRESTのセンター。 「フタツノ ヒカリ」で響とW主演。 共演をきっかけに響と親しくなり、 恋愛相談もする仲。 ━━━━━━━━━━━━━━ お互い告白をし、 正式に付き合うことになった オレとワタル。 こうやってワタルと 一緒に朝を迎えるのは もう何回目だろう? でも、今日は特別。 彼氏になった初めての朝。 こうして、 ワタルと二人の朝は穏やかに……、 ドンドンドンドンッ!! ドンドンドンドンッ!! 楓「コウタくーん!ワタルー!朝だよーー!! 朝食バイキング行くよーー!!」 いく訳ないよな……。 青山「ん……。」 扉を叩かれる音で起きる青山。 響「…………。」 微動だにせずに寝てる響。 青山「ワタル……、朝だよ……。」 響の髪を掻き上げ スヤスヤと眠るワタルの顔を眺める青山。 響「…………。」 微動だにせず、起きない響。 ブッブー、ブッブー、ブッブー 響のスマホが鳴る。 鳴りやむスマホ。 ブッブー、ブッブー、ブッブー……。 青山のスマホが鳴る。 《 楓 》 ピッ。 青山「おはよ。」 楓「おはようございます!」 青山「朝早くから、どうしたの?」 楓「朝食バイキング……、 一緒に……、行きたくて……。」 青山「誘ってくれてありがとう。」 青山「でもね……、 横の困ったちゃんが起きないのよ。」 楓「〇〇〇〇〇〇〇〇って 言ったら起きますよ。」 青山「OK 試してみる!」 楓「会場で待ってますね!」 ピロン。 こんなに横で電話してても 起きない困ったちゃんワタル。 ほっぺを摘む青山。 ぷにぷに……、ぷにぷに……。 思わず顔が緩む青山。 青山「フフ……可愛い……。」 指先で、ほっぺをツンツン……。 顎を掴み下へ動かし、 お口をパクパク……。 青山「ボク、響ワタルだよ!」 腹話術ごっこをする青山。 青山「プッ……。」 青山「無理……、オモロすぎる……。」 未だ微動だにしないワタル……。 青山「さて、流石に起こすか……。」 スーッ 息を吸う青山。 青山「ワタル!リハ始まるよ!」 バッ! 響「今行きます!!」 起き上がり、辺りを見廻す響。 青山「おはよ……。」 響「リハ……??」 青山「ここ、箱根だよ?」 少し考える響。 響「もう!!」 ベッドに戻り青山に抱き着く響。 響「リハは散々やったし……。」 青山「ん?」 響「今日から、本番……。」 青山「…………、そういうことね。」 ━━━━━━━━━━━━━━ --ビュッフェ会場 緑川「朝から〜イクラ〜♡イクラ〜♡」 押部「オレは、 焼き魚と冷奴と味噌汁だな!」 楓「ボクは、 パンとスクランブルエッグとベーコン♡ あと……紅茶♡」 黒川「………………」 木田「何しよーー?? こんな朝食ビュッフェとか いつぶりかしら〜〜悩む〜〜♡♡」 木田「あら、 ジンどうしたの?行かないの?」 黒川「……待ってるんだよ……」 木田「健気ねぇ〜〜♡」 と言い、皿を持ち食べ物を取りに行く木田。 トントンッ 肩を叩かれる黒川。 黒川「なんすか?黒崎さん」 振り向きもせず名前を言う黒川。 黒崎「分かった??」 黒川「分かりますよ……。」 黒崎「え?! やっぱりまだ、オレのオーラ残ってる?? まだやって行けるかなーー?!」 黒川「オーラ……?? 何言ってんすか?香水っすよ。香水。」 パシッ! 黒崎「嘘でも、ある。って言えよ」 軽く肩を叩いた黒崎。 黒川「おはようございます」 黒崎「おはよう。隣、良い??」 黒川「なんで隣なんすか?!」 黒崎「だって、コウタとワタル待ちでしょ?」 黒川「まぁ、そうっすけど」 黒崎「じゃぁいいじゃん!」 そう言い、黒川の隣に座る黒崎。 その黒崎と黒川が座るテーブルを見て キョトンとする木田、押部、緑川、楓。 押部「なんであの二人、 四人用テーブルで横並びで座ってんの?」 楓「朝からシュール過ぎない?」 木田「コウちゃんと、ワタル待ちだってー」 楓「あー……」 楓「あの二人のコウタくんへの熱量 バグってない?」 押部「振り切ってる感あるよな……」 木田「黒崎社長、 めちゃくちゃ黒川と喋ってるじゃん。 あんなフレンドリーな人だっけ??」 押部「オレ、めちゃくちゃ怖いイメージしか ないんだけど……。」 楓「あれって、黒崎社長が凄いのか? それとも、ジンちゃんが凄いのか?」 緑川「オレは黒崎社長とは 目も合わせられない……。」 木田、押部、楓「そりゃそうだろうな……」 三人に白い目で見られる緑川。 木田「あなたが、 アノ女にちょっかい出さなかったら、 こんなことにならなかったのよ!分かる?!」 押部「黒崎社長の視野に入るなよ。 お前絶対殺されるよ。」 楓「でも、相手は今や……。」 木田、押部「楓!シッ!!」 チラッ 四人の話し声が聞こえ黒崎が振り返る。 木田「美味しいね……」 楓「アフタヌーンティーって感じ……」 押部「バカッ!今はモーニングだろ! この焼き魚美味しい!!」 緑川「ブルブルブル……」 黒川「どうかしたんすか?」 黒崎「いや……何も」 首を元に戻す黒崎。 木田「あー、助かった。」 楓「心臓に悪いモーニング」 押部「アフタヌーンティーってなんだよ」 そして三人は緑川を見た。 緑川「ブルブルブル……」 木田、押部、楓「あ……」 押部「緑川! イクラ!イクラ!こぼれてる!!」 楓「もう!!何してんのよー」 木田「拭くもの持ってくるわね!」 と木田が立ち上がった時 響「おはよう!」 青山「おはようございます」 木田「うわ!眩しっ!!」 あまりの二人の清々しさに 目をやられる木田。 バッと立ち上がる黒川。 その横で肘をつきながら眠そうに こっちこっちと手を振る黒崎。 青山「零、おはよう」 黒崎「おはよ、コウタ」 黒川「おはようございます!」 響「おはよー」 青山「ジンくんもおはよう」 黒川「席取っておきました!」 響「マジーー!ありがとう! さすがジンちゃん!」 青山「ジンくんありがとう」 黒川「コウタさん!何食べます?」 青山「何があるんだろうね? ワタル、一緒に見に行こ!」 響「はーい!」 黒崎「オレはコーヒーあるからいいや」 青山「零!朝はちゃんと食べなアカンで! 零も行くよ!」 黒崎「お、おぉ……」 ━━━━━━━━━━━━━━ 黒崎「オレいつも、 朝はコーヒーだけなんだけど、 朝飯美味いな!」 青山「そうなん?! だから、いつもキリキリしてんじゃない?」 黒崎「うっせぇーわ。 明日から……、ちゃんとご飯食べるよ……。」 青山「たまに、朝飯一緒に食べに行こ!」 黒崎「それ最高な朝じゃん!」 響「どうしたのジンくん……」 黒川「なにも……」 青山「ワタル、 たまに零と朝飯食べに行ってもいい?」 響「いいよー」 黒崎「ありがと!ワタル!大好き!!」 響「怖いーーー」 楓「あの席いいなぁ……」 押部「オレもあの席行きたいー」 木田「ちょっと見てよ。 一人めっちゃ暗いわよ。」 楓「ジンちゃんどうしたんだろ?」 押部「腹でも壊したか?」 緑川「…………」 木田「緑川もあの席行く?」 緑川「え?オレに死ね。ってこと??」 スタスタスタスタ 兎波「あー!間に合った!!」 ウェイター「朝食券お持ちですか?」 兎波「朝食……券……??」 兎波「……………………」 兎波「あーー!!部屋だーー!!」 黒崎「うるせぇなぁ、アイツ」 青山「行ってあげなよ」 黒崎「はぁ……、しゃぁねぇなぁ……」 黒崎「あの、すいません。」 ウェイター「はい」 黒崎「私の連れなんですが、 後で朝食券持って来させるので、 通して頂けませんでしょうか?」 ウェイター「と言われましても……」 黒崎「お願いします!」 深く頭を下げる黒崎。 ウェイター「あの……、すいません、 もしかしてなんですが……、 違ってたらすいません。 REI-Kさんですか……?」 黒崎「あ、はい、REI-Kです。」 ウェイター「え? あの……REI-K……さん……」 アイドル顔をする黒崎。 黒崎「はい」 黒崎「あ!もし良かったら、 サイン書きましょうか??」 ウェイター「え?!いいんですか?!」 黒崎「いいですよ。 あとで朝食券持って行くので、 その時でもいいですか?」 ウェイター「あ……はい♡」 黒崎「じゃぁ、後ほど。」 そう言い兎波をテーブルに連れて行く黒崎。 響「ププッ」 青山「フッ……」 黒川「はぁ……」 兎波「お騒がせしてすいません」 頭を下げる兎波。 黒崎「全くだよ。椅子持ってこい」 兎波「はい……」 ギーーーッ 黒崎「引きずんな!」 兎波「すいません……」 カタン 兎波「…………」 ウェイター「あと10分で、 お食事を片付けさせていただきます。 まだお食事をお取りになるお客様は、 8時20分までにお取り下さい。」 兎波「嘘でしょ?」 響「かなたー大丈夫??」 青山「あと10分だって」 兎波はスグに席を立ち、 食事が並ぶテーブルへ向かった。 黒崎「はぁー……」 頭を抱える黒崎。 響「てか、あの寝癖、 どうやったら付くの?」 青山「誰も言わないんだね……」 響「コウタくんだって……」 黒崎「ほっとけ!」 悲しい顔をして戻ってくる兎波。 兎波「…………」 心配する青山、響、黒崎。 目線を皿に向けると……、 響「めかぶ……」 青山「ブロッコリー……」 黒崎「ジャム……」 響、青山、黒崎 「え?!どういう食べ合わせ?!」 兎波「だって、 これしか残ってなかったの!!!」 すると、黒川が席を立った。 黒川「かなた、これ食うか?」 兎波「え?」 黒川「今日なんか食欲ないからやるよ。」 そう言い、皿に乗ったクロワッサンを 兎波へ差し出した。 それを見た響、 響「かなた!これあげる!」 響はトマトときゅうりとハムを差し出した。 青山「じゃぁオレは、 このヨーグルトあげよっかな」 黒崎「良かったな。かなた。ほらよ。」 黒崎はバターを兎波の皿に置いた。 スタスタスタスタ 楓「もうー、可哀想だなぁ、 ベーコンいる?」 緑川「ご飯食べかけだけどいる??」 押部「食べかけなんかあげんなよ! 味噌汁、一口しか付けてないから、 いるか?」 緑川「お前も……」 黒崎「ププッ」 緑川「黒崎さん、 その節はすいませんでした!!」 黒崎「え?何が??」 緑川「え?」 黒崎「……ん? お前……、どこかで見た事、あるような……」 黒崎「あ!思い出した!あの時の!」 黒崎「あ、気にしてねぇよ。 もう、終わった事だし。」 緑川「え?」 押部「良かったな!」 兎波「みんな……、みんな……、 ありがとう!!!」 押部「一緒に食おうぜ!!」 緑川「イクラもいる?!」 楓「紅茶まだポットに残ってるから飲む?」 兎波「うん!イクラ欲しい! 紅茶あるの?!飲みたい!」 兎波を中心に賑やかになるテーブル。 すると黒川は、皿を下げに行った。 黒川「ごちそうさまでした。」 ウェイターに皿を渡す黒川。 ウェイター「ありがとうございました」 そして向きをテーブルの方へ戻すと、 青山「ジンくん、ありがとう」 ポンポン……。 頭をポンポンされる黒川。 黒川「…………」 泣きそうになる黒川。 黒川「ごめんなさい……」 青山「ん??」 黒川「コウタくんに……、 避けられてるのかと思ってた。」 青山「え?」 青山「オレがジンくんを避ける??」 黒川「うん。」 青山「それは絶対ない。 有り得ない。一生ない。」 青山「何を思ったのかは知らないけど、 そんなこと絶対ないから。」 黒川「分かってる……、だけど……。」 青山「分かった。 そう思ったんなら、 オレがそんな態度取っちゃったんだな。 こちらこそごめんなさい。 ねぇ、帰りはジンくんの隣に座るから、 それで許してくれる?」 黒川「ホントに?」 青山「オレが嘘ついたことある?」 黒川「ない……」 青山「だから、それまでお楽しみに。」 黒川「うん……」 スタスタスタスタ 響「ちょっとぉーー、 そこで二人でなにコソコソ話してんのー?」 青山「なにもーー」 黒川はサッと立ち去った。 青山「ねぇ、ワタル、アスカは?」 響「え?いなかった??」 青山「さっきまでいたよな……、 どこ行った??」 ロビーの壁に隠れる木田。 木田(食べ終わった後で、 私何もあげるものがなかった! あのままいたら、 あの子達に何を言われるか……、 部屋に戻ろ。) ━━━━━━━━━━━━━━ --午前10時 チェックアウトの為、全員が集まる。 木田「お世話になりました」 楓「ありがとうございました」 緑川「イクラ美味しかったです!」 押部「めっちゃリラックスできました! ありがとうございました!」 響「ありがとうございました」 青山「また来ます」 兎波「今度はちゃんと朝起きて、 ちゃんとビュッフェ食べます!」 黒崎「お騒がせ致しました」 女将「是非、またいらしてください」 手を振る女将。 それに応えて手を振り返す 木田、青山、響、黒川、 押部、楓、緑川、兎波。 軽くお辞儀をする黒崎。 響「もう帰るだけ?」 木田「んー、まだ時間あるから、 どこか行こうと思えば行けるわよ」 楓「せっかくみんな仲良くなったんだし、 みんなでどっか行かない?」 押部「たまには良い事言うじゃん!」 兎波「オレももっと皆さんと話したいです!」 青山「零は?帰る??」 黒崎「そんなこと、言われたら……、 行くしかないだろ」 響「コウタくんと一緒に居たいだけでしょ」 黒崎「うるせぇ……」 木田「でも、どこ行く??」 青山「芦ノ湖行かない??」 響、楓、緑川、押部、木田、兎波 「芦ノ湖??」 黒崎「なんで芦ノ湖??」 青山「え?ダメ??」 青山「湖の辺(ほとり)で バーベキューとか?」 響「え?めっちゃいい!」 黒川「バーベキューか……」 緑川「バーベキュー?!」 押部「おい!緑川!よだれ!!」 楓「えーー、蚊に刺されるじゃーーん!」 木田「そんな都合の良い所、 ある訳ないでしょ!」 兎波「バーベキューいいじゃん! ね!社長!」 黒崎「…………」 青山「どうしたん?零?」 木田「3日前に予約しないとダメだってー」 響「じゃぁ、ダメじゃん!」 全員「…………」 黒崎「あーー!分かったよ!!」 スマホを取り出し、誰かに電話をする黒崎。 黒崎「もしもし!阿川? 今箱根にいるんだけど、 芦ノ湖の別荘、今から使えない?!」 木田「べ……別荘……?」 青山「そりゃ、社長だもんな」 緑川「箱根に別荘とか何者?」 押部「社長だよ!」 楓「別荘とか絶対、蚊いるじゃん!」 兎波「なら、最初からそこに泊まれば……」 木田、青山、響、黒川、緑川、押部、楓 「シッッ!!!」 兎波「ごめん」 黒崎「あー、分かった。 はい。OKよろしく。 あ!あと、バーベキューしたいから、 バーベキューの準備頼めるか? 食材はこっちでなんとかするから、 道具とか一式手配して欲しいんだけど。」 黒崎「あ? オレがバーベキューして悪いかよ」 黒崎「さっさと手配しろ!頼むぞ」 ピッ 黒崎「今、管理してくれてる不動産屋に 鍵とか手配してもらうから ちょっと待ってて。」 青山「ありがとう、零」 黒崎「いいよ。 滅多に行かない別荘だから。 たまに使わないとな。」 楓「もう!絶対蚊に刺されるじゃん!!」 黒崎「嫌なら帰るか?!」 楓「行きますよ。行きますぅーー!」 黒崎「さて、場所は決まった。 道具も手配した。あとは食材だけ!」 緑川「肉買いに行くぞー!!」 押部「お前、朝あんだけ食べたのに?!」 楓「もうすぐアリーナツアーあるから、 それ以上太るなよ?」 兎波「このメンバーでバーベキューとか、 絶対楽しいやつやん!」 黒崎「木田さん、ちょっと」 木田「あ、はい」 響「バーベキュー楽しみだね」 青山「オレもいつぶりだろ?」 黒川「コウタくんインドア?」 青山「どっからどう見てもインドアでしょ!」 黒崎「コウタ!響!」 響「え?何??」 青山「ん?どした?」 黒崎「ちょっと手伝って欲しいんだけど」 響「手伝う??」 青山「何を?」 黒崎「ま、まぁ……、 とりあえずオレの車に乗って」 青山「わ、わかった」 木田「緑川、楓、押部、 黒川、兎波くんは、こっちよ!」 緑川「肉グループ!」 押部「何この班分け?」 楓「向こうがいい」 兎波「オレもこっちなんすね」 黒川「ちっ……」 緑川、押部、楓、兎波、黒川は、 大人しく木田の運転する車に乗った。 そして、青山と響は、 黒崎が運転する車に乗った。 ━━━━━━━━━━━━━━ --黒崎の別荘 黒崎「着いたぞ」 ガチャ 車を降りる青山と響。 響「マジか?」 青山「ここ……?」 木に囲まれた広い広場 その中心には立派なコテージが立っていた。 そして、コテージの先には 芦ノ湖の湖畔が見えた。 黒崎「約100m先に赤い杭がある。 そこまでがオレの土地だから」 青山「え?」 響「100m??」 黒崎「オレは、 今から管理してくれてる人の所に 鍵を取りに行くから、 二人はここで待ってて」 青山に近づく黒崎。 トンッ 青山の肩に軽く手を置き耳元で囁く黒崎。 黒崎「舞台は整えた。 あとはお二人さんで、ごゆっくり……」 青山「あ……そういうこと……」 黒崎はウインクをし車に乗り込む。 バンッ 遠ざかる黒崎の車。 取り残される青山と響。 響「行っちゃったね。 黒崎さん何て言ってたの?」 青山「舞台は整えた。 あとはお二人さんでごゆっくり。って」 響「キザだよねー」 青山「恥ずかしいんだよ。きっと」 響「でも、いきなり二人きりにされても……」 青山「だね。」 青山「とりあえず歩く?」 響「うん。湖の方行ってみよ?」 青山「いいよ。はい……」 青山は響に手を差し出した。 黙って差し出された手を握る響。 会話はない。 ザッ……、ザッ……、 ミシ……、ミシ……、 木の枝を踏む二人の足音。 チュン、チュン、チュン、チュン。 鳥のさえずり。 サワサワー、 風で木の枝が揺れる音。 ━━━━━━━━━━━━━━ --芦ノ湖湖畔 青山「だいぶ開けて来たね」 響「ねぇ、あそこにベンチがあるよ」 青山「行こか」 響「うん」 手を繋いだまま、ベンチに座る二人。 ザー……、ザー……、 湖の小さい波の音が二人を包む。 青山「良い眺めだね」 響「うん」 湖と空を見ていた青山。 その視線を響に移す。 すると響は、青山を見ていた。 響「めっちゃ良い眺め……」 青山「どっち見て言ってんの?」 響「ずっと眺めてたい……」 青山「オレは眺めるだけじゃ嫌かな」 そう言い、響に口付けした。 重なる唇と唇。 手は次第に解け、抱き合う二人。 だんだん激しくなるキス。 響「うっ……」 青山「ごめん。大丈夫??」 響「気持ち良くて声出ちゃった。」 見つめ合う二人。 もう今の二人には言葉はいらなかった。 お互い強く抱き締め唇を重ね合う。 ザー……、ザー……。 つづく

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