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第35話
「弥三郎、何をしておる」
「若」
盛継さんがいらっしゃった。
「その得体の知れぬ者にそんなに近づいて、何をしていると聞いておるのだ」
「若、これは、宮前殿の顔色が良く見えなかっゆえ近づいて確認したまでのこと。私は何もしておりませぬ」
「……そうか。では、それが真なら、今この場で私にいつもの様に奉仕せよ」
「若、それは……」
「拒むのなら、お主は私には言えぬ、やましいことがあるということだ」
「そんな、そのようなこと、まったくもってございません。私は、私には若だけです」
「ならば人前でお主の思いの丈を見せることなど、容易いことであろう、弥三郎」
「……はい……」
何が始まるのかと思っていたら、弥三郎さんが盛継さんの足元に跪き、下腹部の辺りに顔を埋めた。
僕の方からは、弥三郎さんが何をしているのか、良く見えない。
けれど、着物で顔が隠れていても、じゅぽじゅぽといういやらしい水音と、それに合わせて弥三郎さんのものらしき低いのに甘い吐息、目の前の弥三郎さんが大きな身体を揺らしている姿に、人前でするような行為じゃないことをしているのが分かって、それに気づいた時、途端にドキドキしてきてしまった。
「……っ、この淫乱め、人前でもこんなに美味そうに咥えるなど……っ、」
徐々に弥三郎さんの腰の動きが激しくなり、遂には盛継さんに頭を押さえつけられていた。
「んぐ……んぷ……っ、♡♡!!」
口が離れた時、盛継さんが僕を呼びつけた。
「真雪と言ったか、弥三郎はな、身も心も、全て私に捧げている男なのだ。お前ごときが気安く近寄れる存在ではない。いいか、弥三郎に用があるのなら、今後は私を通してからにしろ。分かったな?」
「は、はい、わかりました……」
今まで見た中で一番怖い顔で言われ、僕はそう言うしかなかった。
「弥三郎、お主の気持ちはよう分かった。今日の話は向こうで致そう」
「……はい、若……♡」
弥三郎さんは目を潤ませながら盛継さんの着物を整え、立ち上がると僕に一礼してから盛継さんに続いて僕から離れていった。
弥三郎さん、あんなにひどいことを言われたのに、あんなに強く押さえつけられていたのに、すごく幸せそうな顔をしてるように見えた。
ふたりにとって、あれが愛のかたち、ということなのかもしれない。
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