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「ねぇ、ナナちゃんさー」 「んー?」 高校の夏休みが始まって三日目のこと。 まだまだ長い夏休みを前に、学生たちが開放感と期待に浸る幸せな時間。 俺は、居間で浅見(あさみ)さんとテレビゲームをしていた。 今の時代よりちょっと古いゲーム機で専用ソフトも中古でしか買えないけど、まだまだ現役で動くし、みんなが使っているからソフトは結構集まっている。 俺はこれでみんなと遊ぶのが好きだ。 対戦だったりアクション系ボードゲームも。みんなと盛り上がりながらするのが好きだ。 大抵は俺に手加減してくれる傾向があるけど、浅見さんは違った。 負けると自分が勝つまでやめさせてくれない。 飄々とした大人の皮を被っていても、ガキみたいな負けず嫌いを発揮する。 俺より16歳も上なのに。 大人って、包容力とか余裕とかに溢れてるものじゃないの? ま、これが浅見さんだから仕方ない。 「これ勝ったら浅見さんの言う事きいてほしいんだけど」 「勝ったらって、勝つまでやめさせてくれないじゃん」 「次負けたら潔く退くから」 言う事ってなんだよ。 浅見さんのことだから今日のおやつ譲れとか、夕飯のおかず好きなの寄越せとか、なんか奢れそんなもんかな。 「俺が勝ったら?」 「ナナちゃんの言う事なんでもきくよ」 「んー···」 「ああ、でもナナちゃんにとっては負けても罰にはならないかも」 「え、なんで?」 訊いても浅見さんは意味深に笑うだけ。 それだけなのに、無駄に顔がいい。 おっさんのくせに。

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