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第424話
白いサテンの生地の上に畏まって乗っていた、少し小さいサイズの指輪を受け取り、手袋を外した智の左手をそっと恭しく捧げ持つと、小刻みに震える薬指に挿し通した。
するりと元あった場所に収まったそれは、キラリと美しい光を放っている。
智は深呼吸すると、俺の指輪を受け取り、未だ震える手で俺の薬指に惑うことなく挿し入れた。
凛が静かに見守ってくれている。
「それでは、結婚証明書にサインをお願い致します。」
白いレザーの表紙のそれに、順番に二人の名前を書き添えた。
「誓いのキスを…」
俺は片手で智の腰を引き寄せ、顎を少し上にあげ、引き寄せられるように唇を合わせると…想いを込めて長い、長いキスをした。
名残惜しげに唇を離した俺達に
「これをもちまして、お二人の結婚を宣言致します!」
再び聖書の一部が朗読され、讃美歌が流れ出す。
見つめ合ったまま、指を絡ませ繋いだ智の手は震えたままだ。
愛おし過ぎて今すぐ抱きしめたいのを必死で我慢した。
パッヘルベルのカノンが流れ始めた。
それを合図に、俺は智の手を繋いだまま、凛を呼び寄せると小さな手を握りしめ、三人で真っ直ぐに胸を張って歩き出した。
扉が開いた瞬間
「 おめでとーー!」「congratulationses!!」
様々な祝福の声とフラワーシャワーが降り注ぐ。
隼人さん、遙さん、式場のスタッフさんが勢揃いで、アーチを作って待っていてくれていた。
「これは…?」
戸惑う俺達に
「スタッフ一同の気持ちです!本当におめでとうございます!」
隼人さんが微笑んだ。
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