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バレンタイン

街中やテレビありとあらゆる場所でバレンタイン特集をやっている 今年も義理チョコが既に多く贈って来ている。 二人のを合わせると…家の部屋はきっとプレゼントたちで溢れるだろう… でも…せっかくだから今年も朝陽さんに俺からも何かあげたい でもあげられるものはもう何でもあげてしまったから特にこれと言った案が浮かばない 「せいくん」 「はい」 「今度…12と13て仕事?」 「いえ。何もないですよ」 「あのさ…また旅行いかない?」 「いいですよ。どこ行きます?」 「華陵院の別荘を使えるからそこに行こうかなって。近くに観光スポットもあるし」 「わかりました。楽しみですね」 そして、旅行当日を迎える 華陵院の別荘は思ったより小さかった 「珍しいですね。この規模」 「そうだねぇ。ここはね父のお気に入りなんだ」 定期的に清掃もされ、庭の手入れもされているようでとてもきれいだった 庭の片隅の黄梅がそこにひっそりと咲いていた 「黄梅好きなんですよね。俺。朝陽さんみたいだし」 「僕?」 「はい。控えめに花をつけるところとか。後は…優美っていう花言葉があるらしくて朝陽さんだなって」 「そう?」 そのあとぶらっと観光して早い時間に戻り今二人で料理をしている 二人の分だからそんなに時間も掛からずご飯もあっという間に終えた 二人で広い風呂に入り仲良くソファに座る 場所が変わっただけで普段と何も変わらない1日。 でも久しぶりに静かに過ごせた。 この辺りは民家もなく街灯もない。やたら静かに風の音だけが聞こえた 「静かですね」 「そうだねぇ。ねぇ。せいくん。話があるんだけど…」 「はい」 真剣な表情で朝陽さんが俺を見る… 「あのね…僕…赤ちゃん出来た…」 「え!!!」 「…喜んで…くれる?」 「はい!!わぁ…俺たちの…子供…」 「ん…」 「朝陽さん?」 「あのね…僕…仕事…休もうか辞めようか悩んでいて…」 「そうですね…一先ず休業してそれでやっぱり仕事続けたいなら生まれたあとにやればいいし子供と一緒にいたいのなら辞めたらいいと思います…俺としてはすぐに休んで欲しいです…男の妊娠はリスク高いし…」 「すぐにお休みしていい?」 「はい。養えるほどの蓄えはありますし仕事俺頑張りますから!!」 「じゃあ…甘えてもいい?」 「はい。任せてください!!朝陽さんはずっと頑張ってきたのだから休んでもバチは当たりません」 「ふふっ…せいくんが喜んでくれて良かった」 「そりゃあ嬉しいですよ!!」 「僕もとても嬉しい…」 ハラハラと涙を流す朝陽さんを抱き締める 「みんなで幸せになりましょうね?わぁ…とても楽しみ。予定日はいつですか?」 「10月頃だって」 「そうなんですね。ねぇねぇ朝陽さん!!立ち会いしてもいい?」 「え?!」 「だって一緒にいたいから。その瞬間に」 「お医者様に聞いてみるね」 「はい!!最高のバレンタインのプレゼントです!!無理だけは絶対しないで!!」 「うん。わかってるよ」 そして…時は過ぎ… 元気な産声をあげ小さな小さな命が産まれた fin.

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