担任の話しなんか右から左に抜けた。 オレの前に座る創のうなじを見つめると、襟に隠れるかどうかってとこに紅い痕が付いてる。 もちろん、昨夜オレが付けたんだけど。 「ほら次ー」 「あ、はい。渡辺創です。見て分かると思うけど、後ろの席の継とは双子で、おれがお兄ちゃんです」 ん、なんか自己紹介的なのやってんのか。創が椅子から立ち上がるので気付いた。 くるっと振り向いて、ふんわり微笑む。もちろん、オレに向かって。 「っ、よ、ろしく…」 「ふふ、一年間よろしくお願いします」 創に釣られて立ち上がってぺこりと頭を下げた。 ちらりと上目で創を見ると、くしゃくしゃと頭を撫でてくれる。 なんか女子の叫び声が聞こえた気がしたけど、まあいいや。