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授業中の視界

【ジャスティンside】 結局あのまま後ろ姿を眺めながらのんびり歩いて、教室へと着いた。 前に座るダイスケのうなじから目が離せないまま、最初の授業が始まる。 「ではロー君。日本の風流です、わかりますか?」 「…この日はフルムーンだったんじゃないんですか?」 昔の日本人の言葉。わけがわからない。綺麗な月夜だからその感想を述べただけなんだろう? 「I love youという愛の言葉を、そのまま訳すのは恥ずかしかったんでしょうね」 「は?」 「日本人はシャイな人種なんですよ」 ますますわからない。なぜ素直に伝えないんだ?月が綺麗ですね?だから何だ? オレなら伝えるぞ。…ああ、もう言ったか。 じっとオレの視界を占めるその愛しい人を見ると、耳がまた赤くなっていたのは絶対に気のせいなんかじゃない。

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