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「朱寧、ご飯」 上の空で窓を見ていた俺に柚葉が話しかける。 「ん、今日も天気いいから屋上な」 「寒いだろ」 「我慢しろ」 「はいはい」 屋上は立ち入り禁止だ。 もちろん鍵だってかかっている。 でも…この季節だけ担当している掃除のおばちゃんが優しくて、昼休みにだけ鍵を貸してくれていた。 屋上での二人っきりのお昼は好きだった。 何気ない会話をしながら屋上までたどり着くと、いつもの位置にお互い座る。 「今日の授業めっちゃ眠かった〜!」 とか 「ここの問題意味不明!!」 だとか……普通の男子高校生と変わらない会話をしていれば、いつの間にか食べ物は終わっていることが多い。 それだけで楽しかった。

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