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「ねぇ、朱寧……思ってること俺に教えて?全部受け止めるから……っ」 抱きしめる力が強くなる。 俺の好きな匂い…… 柚葉からする優しい春の匂い。 懐かしくて、あったかくて、どこか儚くて。 俺を柚葉でいっぱいにするのには充分だった。 「柚葉……柚葉……っ……俺……っ!」 「うん…」 「……っ……死に、たくない……ッ!」 余命宣告されてから初めて言葉にした。 「……誰だって死にたくないよ。俺だって死にたくないし、朱寧にも死んでほしくない」 「もっと一緒にいたかった」 「俺もだよ」 「もっと……もっと…もっと一緒にいたかったのに」 「俺も同じだから」

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