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第2話:【可愛いは正義?】馬鹿ですか阿保ですか。その目はお飾りですか。
「うはぁ!可愛い。可愛すぎると思いませんか?思いますよね。思わないなんて脳みそ昆虫以下ってことを告白しているようなものですもんね。可愛いって思うでしょう?萌え萌えですね。ぐふふふ。」
眼鏡越しに丸い瞳を輝かせる姿は無邪気で可愛らしい。
これが女であれば兄崎は飛び切り甘い笑顔で「君のほうが可愛いよ、さぁ帰ろうか」と肩でも引き寄せるのだが、ハイテンションではしゃいでいるのは可愛い顔をしていても男なのだ。
春日以外の男を引き寄せる気にもならないし、飛び切り甘い笑顔とやらを作ることも無理だ。
寧ろ笑顔が引きつる。いうべき言葉が見つからない。
兄崎は五十嵐の買い物を手伝ったことを心底後悔した。
生徒会室で飲む茶が不味いので在庫が無くなり次第、別の茶を購入しに行きたいと五十嵐が言いだした。これと言って特に業務もなく暇だった兄崎は五十嵐について行き茶菓子なども購入することにした。と、言うより、五十嵐に春日に自作のエロ本を渡すのを控える様にそれとなく注意したかったのだ。すると今日も今日とて生徒会室に遊びに来ていた会長大好きフレデリックは、春日絡みの話をするなら俺も行く。と何故かついてきた。要するに彼も暇だったのだ。
因みに春日は家の用事で、会計の朝比奈は愛しの錦お兄様とデートの為不在だ。
「五十嵐、お願いだから、ね、もう帰ろうな…」
「そうだ、そうだ。買い物は済んだだろ。何だよクマの縫いぐるみなんてどうでも良いだろ。」
「フレディ君は馬鹿ですか阿保ですか。その目はお飾りですか。僕の眼鏡貸してあげる。屈んでくださいよ。身長差いくらあると思ってんですか。」
背伸びしてフレデリックに外した眼鏡を掛けようとしているが、大きな手に頭を掴まれ拒否される。
「五十嵐こそ目が悪いんだろ。眼鏡新調すれば。」
「視力矯正って淫靡な響きですよね。」
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