雨の中、俺を待っていたと言う洵也は酷くずぶ濡れで、なんでそこまでしてと正直思った。 それに、 俺は出来れば、もう二度と会いたくないと思っていた、のに。 「………こんなとこで待っていたって俺はおまえに用はない。風邪ひくから早く帰れ。」 「俺……ちゃんと謝りたくて。」 「だから、謝られるようなことされた覚えないってさっきも言ったよな？俺に関わるなよ。」 「違うんです！俺は先生のこと……。本当は………別れたくなかった。」 ぎこちない敬語と降りしきる雨。 それだけでも耳障りだと言うのに…… 俺の心臓はありえないくらたい早く脈打っていた。 何を今更、ふざけるなと呆れる反面で……頭の中が真っ白になる。 「桐谷先輩……あなた、今更何を言っているんですか？」 そして俺が言葉に詰まらせていると横から星川の鋭い言葉が聞こえてきた。 「お、おいっ、星川！」 「先生は黙っててください。」 「おまえ、誰？つか……」 洵也の視線が星川と俺たちの繋がれた手元に注がれ、慌てて手を振りほどこうとしたけど、その手を星川は更に強く握りしめてくる。