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進撃(いや喜劇…いやいや悲劇!?)の学会10

 めくるめく大人のお医者さんごっこの妄想を無理やりに打ち消して、ホテルのキーと御堂の顔を交互に見比べてみる。 「飲み会で帰りが遅くなるから、周防の部屋を予約しておいたんだ。王領寺くんは、そこで待っていてもらえるかな? 飲み会が終わったら、周防を部屋まで送り届けてあげるから」 「分かりました。その代わり、タケシ先生に指一本触らないでくださいね!」  鍵を受け取りながら告げてやると、二枚目が台無しになるような変な笑みを浮かべた。その微妙すぎるほほ笑みに、嫌な予感しかしない。 「心の底から勉強が大好きな周防を可愛がるべく、教授たちがここぞとばかりに取り囲んでいるだろうし、俺としてもそんな鉄壁を乗り越えられるようなできた人間じゃない。絶対に手が出せない環境だと思うよ。だから安心してくれ」 「はあ……」 「ちなみに王領寺くんは、どうやって周防と恋人同士になったのかな?」  しげしげと自分を見つめる御堂から、思いっきり顔を背けてしまった。余計なことを喋ったなら間違いなく、タケシ先生に叱られるであろうと察知したからである。 「王領寺くんってば、すっごくつれないなぁ。俺がせっかくホテルの一室を予約しただけじゃなく、飲み会の雰囲気まで教えてあげたというのに」 「うっ……」  痛い場所を的確に突いてくるところなんて、タケシ先生にそっくりじゃないか。もしかして類友なんだろうか。 「これはもう、周防を俺の部屋に連れて行っちゃおうかなぁ」 「それはやめてください!」  背けていた顔を、思わず御堂に向けてしまった。すると逃がさないようにするためなのか、いきなり顎を掴まれた。 (至近距離で見つめ合う男同士なんて、傍から見たら絶対に可笑しいだろ)  嫌そうに眉根を寄せて御堂を睨んでやったがなんのその、ニヤけながら更に顔を寄せる。 「素直に教えてくれたら、解放してあげるよ。とっとと口を割った方が、身のためだと思うけどね」 「……分かりました。教えますから手を放してください」 『このバカ犬っ!』なんていうタケシ先生の怒号が頭の中で響いたが、背に腹は代えられなかった。しぶしぶ了承した俺を見つめながら、向かい合うように椅子に腰かけ、テーブルに頬杖をついた御堂の様子は楽しそうにしか見えない。 「済まないね。どうにもふたりの馴れ初めが気になっちゃってさ。うんと年下の王領寺くんが周防と付き合ったのが、どうしてなのかなぁって」

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