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第14話
一度目よりも二度目、そして三度目のほうが上回る快感。
いたずらに這う指や舌に、そして俺の中をかき回す動きに頭の中が熱く溶けていく。
揺さぶられながら、無意識のうちに俺も腰を揺らしていた。
「千裕、気持ちいい? 俺はすっごく気持ちいいよ?」
目を細める智紀さんは息をのむほどの色香が漂っている。
その目が最初よりもさっきよりも余裕がなくなっているような気がして凝視してしまう。
「なに考えた? いきなり締まったけど」
おかしそうに笑う智紀さんがいきなり俺をひっぱりあげると膝の上に抱える。
対面する体勢は初めてじゃないけれど、挿った状態では初めてだ。
体重がかかったせいで深く突き挿って悲鳴じみた声を上げる俺をやっぱり笑う智紀さんに下から徐々に激しさを増し突き上げられて目の前がチカチカしてきた。
「ぁっ、っ……く」
腰を支えられて揺すられていくうちに増していく快感に身体の底からじわじわと波が押し寄せる。
覚えのあるそれは二度目にイかれさたときの感覚に似ている。
前後を弄られながら吐精してしまった二度目。
射精感だけでない、認めたくないけど後孔からくる快感が混ざってイってしまったんだ。
同じように絶頂が遠くないところにあるような感覚になってくる。
でもさっきといまで違うのは俺のが放置されたままだってことだ。
対面座位だから俺と智紀さんの腹部に擦れるようにぶつかったりする。
けどそれだけじゃ全然足りない。
はっきりとした刺激が欲しくて少しだけ智紀さんに身体を密着させる。
「どうしたの?」
薄い笑みを口元に浮かべた智紀さんが俺の顔を覗き込む。
視線を逸らせると、不意に俺のものに触れてきた。
「っん」
「もしかしてこっちも触ってほしかった?」
「……べつ……に……」
「そ? じゃあ、触らないね」
「……っ」
思わず視線を合わせてしまう。
きっと俺の目は恨めしくなってしまってるだろう。
でも正直、いままで散々好き勝手に触れてきたのに、と思ってしまう。
「だってもう二回もイってるし、三回目なんて身体きつうなっちゃうでしょ。俺の優しさ」
ね、と一瞬触れるだけのキス。
「……智紀さん……って」
「なに?」
「……なんでも……っ」
意地悪ですよね、なんて言えるはずないけど―――まるで俺の考えを読み取ったように口角を上げると智紀さんは急に突き上げを速めた。
下から激しく突き上げられて、そのたびに前立腺も突かれて身体がびくつく。
「安心しなくても最初から後だけでイクことなんてできないだろうし、あとでちゃんと触ってあげるよ」
あとで、というより、もういまでも限界だ。
俺のものはひくついて先端から先走りを溢れさせてる。
あと少し、直接的な刺激があったら。
「……っ智紀さん」
「ちーくんの物欲しげな顔もそそるね。でもせっかくだから俺と一緒にイこうよ。俺がイキそうになったらたっぷり触ってあげるから」
にっこり笑いかけられ、かわりにキスしてあげる、と唇を塞がれた。
それから智紀さんの言葉通りしばらくの間俺のものは放置されたままだった。
自ら触れようとすれば手をつかまれて、激しく突かれる。
対面から四つん這いにされて後ろから腰を打ちつけられ、ギリギリまで追いつめられるのに―――達せない。
「く……っあ、……も……う……っ、智紀、さんっ」
強すぎる快感が苦しくて苦しくて俺はたまらずに後手に俺の腰を掴んでる智紀さんの手を掴んだ。
瞬間反転されて正常位に戻されて、
「なに?」
意地悪な眼差しが俺を見る。
羞恥とかもう感じる暇もなく、触ってほしい、と言った。
ありえないくらい切羽詰まった顔をしていると思う。
でももう本当に無理ですがるように見つめた。
「―――いいよ。じゃあ、一緒にイこうか?」
「……ッ!! あ、はっ…」
ふっ、と智紀さんが眼差しを和らげ、濁った先走りを垂らしていた俺のを触れ扱いてきた。
同時に止まっていた律動が再開される。
あっという間に射精感が込み上げて目の前が真っ暗になった。
引き攣った声を上げながら二度目の比じゃない絶頂に持ち上げられて身体中が痙攣した。
熱い飛沫が散って、自分の後孔が締まったのと智紀さんの呻くような声が聞こえたきがして、俺を貫くものの質量が増した。
ゴム越しに熱が放たれているのを感じながら息もできないような絶頂に囚われる。
長い余韻に浸る中でしばらくして俺の中から智紀さんが出ていくのを感じた。
"ちーくん"
と、智紀さんの声がして額に触れてくる指。
目を動かそうとしたけど強烈な倦怠感と睡魔に襲われて、俺は動くことができず。
俺の顔を覗き込む智紀さんを見たのを最後に意識はフェードアウトしていった。
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