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プチ番外編 ハロウィン2
「う……、ん……」
妙に身体が熱くて首を振って薄く眼を開けた。
ぼんやりとした視界。
アレ俺いまどこにいる。寝てたのか?
暗い室内に状況がわからず不思議に思った途端、視界がさらに暗くなって唇に温かいものが触れた。
ぬるりとしたものが咥内に這ってくる。
一瞬身体が強張ったけど、本当に一瞬のことだ。
俺の舌を絡め取る舌には覚えがあるというより、もう身体が覚えてる。
「っ……ぁ……とも……き……さ……」
キスの合間にとぎれとぎれに呼ぶ。
それに応えるようにキスを深くしながら俺の身体に触れてくる指。
さっきまでとは違う意味でぼんやりしている頭でいま自分が脚を開いててその間に智紀さんがいるだろうことを知る。
指は下肢に触れてきて。
さっきまで寝てたはずなのにしっかり反応してしまってる俺の半身にズボン越しになぞってくる。
「……ん……っあ」
気持ちいい。
まだ寝ぼけてるのかそんなことを素直に感じてしまって―――でもなんで俺寝てたんだろうとゆっくりと思考が巡り、
「ちょ、ちょっ、ストップ!!」
息継ぎの瞬間にハッとして智紀さんの肩を掴み押した。
「なんで? 気持ちよさそうな顔してるのに」
顔は判別できるくらいの薄暗い室内で、俺の上にいるのは当然やっぱり智紀さんだ。
智紀さんは眼鏡をかけててそして白衣を着てて笑いながらまた俺の口を塞いでくる。
手がズボンの中に滑りこんできて直接俺の半身を―――。
「っ、待てって!!」
「えー、待てないよ、ちーくん」
「だ、だって、みんなはっ」
さっきまでハロウィンパーティをしてたはずだ。
楽しくみんなと喋って飯食って酒飲んで。
そうだ、智紀さんだけでなく優斗さんや松原さんにも勧められていつもよりかなり酒飲んでしまった。
それで途中から記憶がない……。
「もうとっくに解散したよ。ここは俺が別に取ってた部屋」
「……そ……うなんだ」
智紀さんならみんなの目を盗んでスイートルームにあった寝室にでも連れ込みそうだと思ったんだけど、さすがにそれはないか。
ほっとしていたらぎゅっと俺の半身が握りこまれて上下に擦られた。
「っぁ」
「ちーくん酔いつぶれて寝ちゃうし。俺寂しかったんだよ? みんなといるときはイチャイチャ禁止令も出てたから我慢してたし」
「だからって……」
首筋に顔を埋めて智紀さんが囁いてくる。
甘い声は寝起きにはキツイ。
寝こみ襲うなんてって怒るか呆れるかしたいけど、首筋を這って耳を食む唇とその吐息と、そして半身に快感を送ってくる手に俺はしがみつくように智紀さんの背中に手をまわすことしかできなかった。
くちゅくちゅと微かに聞こえてくる音に、もう先走りまで出てるのかと顔が熱くなりながらも与えられる刺激に目を閉じる。
耳元でふっと笑う気配がして、
「千裕」
と呼ばれた。
「trick or treat」
そう言って智紀さんが浮かべる笑みは普段の爽やかなものと違って、男くさくて色気を孕んでいる。
「……お菓子いまないです」
イタズラするっていうんだろうな、と思いながらも、たぶん俺は拒否できないし、パーティ中のようにそっけなくもできない。
「ここにあるでしょ。俺にとってはあまーいお菓子」
ぺろり、と智紀さんは目を細めて俺の唇を舐めた。
「……キザですね」
「ドキドキした?」
「……別に」
ほんの少しだけさりげなく視線を逸らし言えば、吹きだされ、噛みつくようなキスと俺の半身を絶頂に追いやるように手が激しく動き出す。
「……っ、んっ……」
熱に巻き込まれて、堕とされる。
「美味しく食べてあげるよ」
「……その格好で言われると……っ……怪しすぎです……っ」
「エリート医師、可愛い患者さんに悪戯しちゃう……ってAVみたいだね」
くすくす笑う智紀さんに俺は呆れた表情を作ろうとしたけど快感に耐えるのだけで精いっぱいでできなかった。
そうしてその夜は食い意地のはったエセ医者に俺は起き上がれなくなるくらい食い尽されたのだった。
【END】
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