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「神父さま、とりっくおあとりーと!」
ハロウィンの夜、古びた教会に、扉をノックする音と子供達の無邪気な声が響く。
予め用意しておいた袋詰めの菓子を手に取って、教会の扉を開けた。
扉を開くとそこには、可愛らしい仮装に身を包んだ子供達が数人。
子供達はもう一度「とりっくおあとりーと」と言って、私に籠を突き出してくる。
私はその籠に、菓子を入れてやった。
「神父さま、ありがとう!」
「ああ、気をつけて帰りなさい」
軽く手を振りながら、子供達は去っていく。
私は子供達の姿が夜の闇に完全に溶けるまで見守っていた。
「子供というのは、可愛いものだな」
そんな言葉が、自然に口から漏れた。
「へえ、アンタ、神父なのか」
ドアを閉めようとしたところで、突如背後から声が聞こえた。
教会には私一人で、他には誰も居ない。
ドア付近に居る私の後ろから声が聞こえるのはどう考えてもおかしい。
私は慌てて後ろを振り返った。
するとそこには、裸同然の格好をした不審な男が一人。
その男の頭には、大きな黒い角。
背には魔物のような羽。
耳は尖っており、尻には尻尾が生えていた。
その姿はまるで、聖書に出てくる悪魔のようだった。
「なんだ、お前は。ハロウィンの仮装か?」
「仮装?」
「生憎、教会に用意してある菓子は子供達の為のものだ。お前のような大人にやる菓子などない」
「違う違う。オレが欲しいのはそんなもんじゃない」
男はそう言うと、スッと私に歩み寄ってきた。
そして私の目の前まで来ると、胸の辺りに手を這わせる。
男の爪は真っ黒で、長く鋭く尖っていた。
その黒い爪で、私の胸の突起に触れる。
「いいか?オレが欲しいのはキャンディでもチョコレートでもない」
「な、何を……」
「オレが欲しいのは、アンタの精液だ」
カリ、と胸の飾りに鋭い爪を立てられる。
ゾクリと、全身に快感にも似た寒気が走った。
「精液?」
「オレはインキュバス。神父なら夢魔くらい分かるだろ?」
「インキュバスは女性の元に現れるのではないのか。男の元に現れるのはサキュバスの筈だ」
「悪魔にだって好みはあるんだよ。オレはアンタが気に入ったんだ、アンタの精液が欲しい」
私はふぅ、と溜め息を吐いて開けっ放しになっていたドアを閉めた。
教会のドアは錆び付いていて、ギィ、と嫌な音が鳴る。
「分かった、精子くらいいくらでもくれてやる」
「本当か!?アンタ、案外優しいな」
「ただし、私をちゃんと満足させられたらだ」
「ハハッ、オレを何だと思ってるんだ?インキュバスだぜ?」
「インキュバスだからセックスは得意だと?」
「ああ、勿論。ばっちりイかせてやるよ」
夢魔は私の首に腕を回して、ゆっくりと顔を近付けてくる。
そしてそのまま、私の唇に噛みついた。
唇を割って、ぬるりとした熱い舌が口内に浸入してくる。
「ん……」
唾液を啜られ、舌をしゃぶられ、口の中を犯される。
クチュクチュという唾液の混ざり合う卑猥な音が耳に届き、身体がじわじわと熱くなるのを感じた。
教会に一つだけ設置してある、古いベッドに押し倒される。
私を押し倒し、顔をまじまじと眺めてくるインキュバス。
そんな彼の胸に手を伸ばし、乳首に触れてみる。
彼の乳首には、リング状の金のピアスがそれぞれ左右に一つずつ。
私はそのピアスを、軽く引っ張ってみた。
「あン……」
すると、インキュバスの口から、わざとらしいくらいに艶めかしい声と吐息が漏れた。
「あ、あ、ソレ……きもちぃ……っ」
「私を良くしてくれるのではなかったのか?自分だけ感じてずるいぞ」
「だ、だって……ッ……んぅっ」
乳首に貫通したリングをぐいぐいと引っ張り続ける。
これで本当に感じているのか演技なのかは分からないが、なまめかしく悪魔は喘ぎ声を上げている。
甲高い喘ぎが煩わしくなって、ピアスを引っ張る手を止めた。
「あっ……な、なんで?」
夢魔は、切なげな顔で私を見つめてくる。
「なんでじゃないだろう。私を満足させられたら精子をくれてやるという約束だった筈だ」
「ちぇっ、分かったよ」
悪魔はやや不満そうな表情を浮かべながら、私の下半身のほうへと身体を移動させる。
そして私の股間をまさぐり始めた。
「気持ち良くさせてやるぜ、神父サマ」
ベルトを外し、ズボンのホックを開け、下着からまだ勃っていないぺニスを取り出される。
悪魔はぺニスの亀頭部分を数回指で撫でたあと、ソコに熱い舌を這わせた。
「…………ッ」
尿道を、舌でぐりぐりと刺激される。
敏感な部分を舐められ、自身が徐々に勃ち上がり始める。
「ふふ……」
夢魔は熱を持ち始めた私の性器を見て、満足そうに笑みを浮かべている。
そして亀頭を口に含み、じゅるる、と音を立てて勢いよく吸われた。
「くっ……ッ……」
自分の意思に反して、身体がビクリと跳ね上がる。
口淫の上手さは、流石インキュバスといったところか。
この夢魔はとにかくフェラに慣れていて、男の感じる部分を知り尽くしているようだ。
「ん……はあッ、うっ」
敏感な部分ばかりを激しく攻め立てられ、己の口かららしくない声が漏れる。
悔しいが、夢魔のフェラはとても気持ちが良かった。
自分の事は同姓愛者ではないと思っていたが、女とする行為よりも、ずっとずっと良く感じる。
その後も激しく攻め続けられ、私は悪魔の口の中であっけなく達してしまった。
悪魔はごくりと喉を鳴らして、口に放たれた精液を飲み込んだ。
「んっ、んん、はあっ、神父サマの精液っ、思った通り……最高だぜ!」
「そんな物が美味いのか」
「んんっ、さいこうっ……!」
夢魔は恍惚とした表情を浮かべながら、陰茎に付着した僅かな精子まで、ぺろぺろと舌で舐めとる。
その舌の感触が気持ち良くて、達したばかりだというのにまた勃起しそうだった。
「はあぁ~、満足したぁ~」
悪魔は口を拭いながら、深く息を吐く。
「神父サマの精液、本当に美味かったぜ。ありがとな」
「それは良かったな」
「ああ、じゃあ俺は帰るかな」
「待て」
ベッドから降りようとするインキュバスの腕をぐっと強く掴んで、ギリギリと締め付ける。
「いててっ、なんだよ?離せよ」
「まだ終わってない」
「はあ?…………んっ!?」
悪魔の身体を引き寄せ、深いキスをする。
「んっ……」
舌を絡ませ、唾液を送り、口内を滅茶苦茶に犯してやる。
──私は、悔しかったのだ。
一方的に快感を与えられ、一人でイってしまった事が、とにかく悔しくて情けなくて腹が立っていた。
このままこの悪魔を行かせてなるものか。ここからは私の番だ。
「うあっ!?」
唇を離して、悪魔の下半身に手を伸ばす。
黒い下着を乱暴に取っ払って、彼の性器に触れた。
「あっ、んあっ、神父サマっ……!」
「喜べ、犯してやる」
性器から徐々に手を滑らせ、後ろの穴に触れる。
つぷり、と濡れない穴に指を差し込んだ。
「あっ、あっ……」
温かい腸内で指を動かすと、悪魔は身を僅かに震わせ、甘い声を上げた。
アナルはぎゅうぎゅうと伸縮し、私の指を締め付けてくる。
「あっ、あっ、もっ、いいからぁ……早く神父サマのでっかいチンポ挿れてくれよぉっ……」
「ふふ、この淫乱め」
「ひあっ……!」
腸内から、ずるりと指を引き抜き、足を大きく開かせる。
そして素早く再び勃ち上がった己のぺニスを、アナルに宛がった。
「早く、早く犯してくれっ……!オレのケツマンコに神父サマのチンコぶち込んでくれ!」
「急かすな、淫乱」
ずぶり、と一気に穴を貫いた。
あまり時間を掛けて鳴らした訳ではないのに、彼の尻穴は私のぺニスを簡単に根元まで加え込んだ。
流石インキュバス。こういった行為は勿論初めてではないのだろう。
そんな事、分かりきっている筈なのに何故か私の胸は苛立ちに支配される。
その苛立ちは、嫉妬にも似た何かかもしれない。
私は、苛立ちに身を任せ、乱暴に腰を打ち付けた。
「ひあっ、神父サマ、激しい……!あっ、ああっ!」
「ドMなお前は、激しいくらいで丁度良いんだろう?」
「あっ、んああぁっ!」
神聖な教会に、肌を打ち付ける音と、ぐちゃぐちゃという卑猥な音が響く。
「あっ、あああっ、はあっ」
欲望のままに腰を動かして、悪魔に快楽を与える。
「ひあっああぁっ、気持ちいいっ、神父サマ、気持ちいいよォ……!」
「フッ……はははっ」
蕩けた表情を浮かべながら、甘ったるい声で「気持ちいい、気持ちいい」と繰り返すこの悪魔を愛しく感じてしまう。
この感情は、インキュバスの持つ魔力のせいなのだろうか。
「んあっ、あっ、あっ、あっ!」
「…………っ」
「ああっ、良いっ!神父サマのチンポきもちぃっ……!んあああっ!」
柔肉をぐりぐりと抉るようにぺニスを擦りつけ、快楽を貪る。
お互いに絶頂が近い事を察した私は、腰を動かすスピードを早めた。
「あっ、イクっ……!イクっ……!!」
「ふっ、私も……もうっ……」
「あっ、ああっ、神父サマの精子、またちょーだいっ!んぁっ」
「…………ッ!」
「あっ、ああっ、んあああぁっ!」
熱い腸内に、勢い良く精子を放つ。
ぺニスは白濁液を彼の中に注ぎながら、ドクドクと脈打っている。
「ほら、沢山くれてやったぞ。喜べ」
「あっ、ああ……美味しいよぉ、神父サマの精液、最高っ……ふああっ……」
精子を全て出しきってから、尻穴からずるりとぺニスを引き抜いた。
精液がねっとりと糸を引いている。
開いたアナルからは、とろとろと精液が溢れだしていて、なんとも淫靡だ。
「…………ふぅ」
行為が終わってすぐに、疲れからか体のだるさと眠気がどっと押し寄せてくる。
快楽の予兆に身を震わせている悪魔は、未だベッドに横たわったままだ。
私はその悪魔の隣に、そっと寝転がった。
そして、そのまま目を瞑る。
半裸のままで、ろくに後始末もしていないが、急激に押し寄せた異常なだるさと眠気にどうしても勝てなかった。
もしかしたらこの淫乱な夢魔に、精力を吸われたからかもしれない。
だからこんなに、身体が重いのかもしれない。
明日の朝起きて、もしまだこのインキュバスが隣に居たのなら、文句の一つでも言ってやろう……。
そんな事を考えながら、私は意識を手放した。
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