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第7話

早いものでもう週末、俺たち写真部は浅草に来ている。 そう、写真部が来ているはずなのだが… 「なんでお前がいるんだよ」 集合場所には何故か帰宅部の濱まで来ていた。大方、畑中にでも聞いて勝手に着いて来たのだろう。 「いーだろー別に。部活の邪魔はしねーからさ!」 部長は了承しているのか、と部長の方を見るが特に気にした様子もなくニコニコしていたのでまあいいか、と思った。 そして濱の隣には二階堂がいた。白い無地のTシャツに黒のジャケット、グレーのスラックスがシンプルなのに二階堂らしく決まっていて格好いい。 そういえば、私服姿見るの初めてだな、と思わず緩みそうになる頬を抑えた。 じゃあ皆集まったしとりあえず行こうか、という部長の一言で皆一先ず雷門を目指して歩き出す。というか俺が最後だったのか、なんだか申し訳ない。 部員一同が移動を始めると俺と二階堂は自然と隣同士で歩き出した。学校でもここ三週間ですっかりこのポジションに落ち着くようになっていた。 二階堂の隣はドキドキするけれどそれと同時に何故だかとても落ち着いて居心地がよかった。きっと二階堂と居る時は自分が男を好きであるということをどう思われるか、ということを気にしなくていいと無意識のうちに安堵しているのだろう。 確かに友達や親は皆理解を示してくれているが、それでも何処か俺は他の人とは違うと疎外感を感じることが多々あった。でも今はこうして身近に俺の性的指向を完全に理解してくれる人が居て、とても心強いな、と思う。 自分のセクシャリティを恥じることもせず堂々としている二階堂の姿は眩しく、同時に俺も見習わなければなと感じる。そして、そんな二階堂が好きだな、と日を増すごとに思う。 そんな自分の想いが見せる幻想なのかは分からないが、ここ数日はもしかして二階堂も少しは俺のこと気にしてくれているのかな、と思う時がある。 「浅倉、私服すげー似合ってる」 例えばこんな時。 優しく人当たりも良いから誰にでもそういう事言うんだろうなとずっと思っていたのだが、どうやらそういう訳でも無さそうだ、とここ数日で気づいた。 いやでも俺がクラスの中で一番仲がいいからってだけかもしれないしな。他の人にもそういう態度をとらないイコール俺に気があるというのは俺の願望混じりの考えに過ぎない。 「…二階堂の方が似合ってるっしょ。」 とりあえず俺の想いが少しでも伝われば、と二階堂に俺の素直な感想を伝え、二階堂の姿を横目で確認する。 その時、二階堂の頬が少し赤い気がしたのも多分、俺の願望混じりの錯覚だろう。

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