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続・ひつじがいっぴき。 ③
まあ、僕ってば引っ込み思案だし、これといって面白い話もできないよ?
睡眠不足でできていた、みすぼらしい目の下のクマはなくなったけれど、顔そのものの作りは変わらないし、僕は特別可愛いっていうわけでもない。
だからきっとそういう対象じゃないんだろうなって思ったりする。
だったらどうして、新さんは僕を恋人として側に置くんだろう。
新さんはとてもカッコいい。
きっと彼なら、恋人だって選り取りみどり。
選びたい放題だ。
だからといって、別れるのはイヤだけどさ......。
『別れる』
そう思っただけでも、僕の胸はキリキリ痛むし、心臓はまるごと握られるみたいに苦しい。
――ううん、困っているのはそれだけじゃない。
僕、おかしいんだ。
おかしいっていうのは、つまり、新さんとセックスしたいっていう願望っていうの?
そういうのがあるんだ。
最近、立て続けに夢の中で新さんに抱かれる夢を見る......。
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