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そこに愛があるなら→sideT
誠士が夕飯時を食って帰った後、なんとなく空気が重くて気まずい雰囲気になってしまった。
俺は気をそらすためにソファーへと移ってタバコを吸ってぼんやりとテレビを見ていた。
誠士が、夏休みのことを話したと言っていたから、それを康史のことだからひきずっているのかもしれない。
まあ、気にしてたのもあるし、俺も言いにくくて話を逸らしてしまって、そのままにしちまったので仕方がない。
「トール、あのさ、誠士から聞いた。俺、最初はトールのこと、無理矢理……だっ……たって……」
康史は、さっそく俺の前にコーラを置いて、つまみのポテチをテーブルの真ん中に置くと、俺の隣に腰をおろす。
今更、そんなこと言われてもなあ。
すっかり済んだ話で蒸し返すもんでもないだろうが、康史にとっては重要なことだろう。
どう返したらいいんだろうな。
「…………ま、殴られてスタンガンやクスリも使われたし、無理矢理だったかもしれねーけどよ。まあ、そんで、イヤなら今ここにいねーんだから、こまけえ話、気にしてんじゃねぇよ」
タバコを灰皿に押し付けて、康史の肩を抱き寄せる。
「細かくなんかねえよ…………」
まだ記憶がねーから、色々不安になっちまってるんだろうな。
どんな風に付き合ったかなんて、ホントにロマンティックなもんなんかカケラもなんもない。
でも、俺がココにいる、それ以外の理由なんかないだろ。
「それとさ、トール、俺たちどんなセックスしてたんだ?こないだも、あんなに無理させたのにもっともっとって思っちまうんだ」
こてんと頭を俺の胸元に押し付けてくる仕草が、不安気で可愛くて仕方ない。
今までされたことに比べたら、あんなの無理に入らないのだが、誠士にも言われたように、俺たちの普通はもはや普通じゃないかもしれない。
「ヤスの好きなようにしていいんだぜ。まあ、動けるようには加減はしてくれっとありがてーけどさ。頑丈だから、大体のことは問題ねーよ」
「昨日の我慢できないって顔のトールは、すっごく可愛かったな。あーゆうのたまんなくなっちゃうな」
へらりと笑う康史の顔は、俺を好きだとこころから言っていて安心する。
柔らかい茶色の髪を指先ですいて、俺は目を伏せる。
そういや、康史はハメ撮りとかを結構してたような気がする。
意識がある時は消せって言えたけど、頭ぶっとんでて、消せって言えない時も結構あったし。
俺は、視線を康史の携帯に向ける。
「あ、俺らがどんな風にしてたか、多分あん中に残ってんじゃないか。パスワードとかはわかんねーけど」
康史は無造作に携帯を手にすると、タンタンとタップして、弄りまわしはじめる。
しばらく画面をいじりまわしてじっと画面を見ていたが、俺を欲情したような目で見上げてくる。
「ん?なんだよ」
「こんなことしても、本当にいいの?」
画面を覗きこむと、目隠しされてM字開脚でバイブとプジーぶっさされて顔射後のひどく朦朧としきった俺の画像が映っている。
結構きれいに撮れてるなとか感心して眺めていると、携帯をテーブルに置いて康史は俺の上に跨ってくる。
「こんなにされてるの見せられたら、たまらないよ。ヤッたのが自分かもしれないけど、記憶がないから、嫉妬でおかしくなりそうだ」
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