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【番外編】卒業旅行→sideT

ホテルのフロントに荷物を預けてからモノレールで国際通りにきたが、かなり混んでいる。 オフシーズンとはいっても、観光地は混むんだな。 「で、どの店いくんだ?」 誠士を振り返ると、康史が女の子たちに声をかけられて足をとめているのに、フォローをしているようだ。 地元じゃ、康史にナンパするような女の子は滅多にいないが、観光地だとやっぱりいるんだな。 「おい、早くいこうぜ」 なんとなく、モヤモヤしながら戻ると、女の子たちが俺を見て声をあげる。 怖がられないのも珍しいな。 「すっごいイケメンばっかなんですね!!わたしたちも、沖縄初めてなんで。仲良し5人できたんだけど、一緒にまわりませんか?」 「ゴメンね。悪いけど、俺達もういくとこ決まってるからさ」 さらりと慣れた様子で康史が断わる。 遊園地の時も思ったが、ほんとにこういうのは慣れてるよな。 「え、大丈夫ですよー。わたしたち、行くとこ合わせますから」 めんどくせえな。 俺がイライラしはじめると、隣で士龍が声をあげる。 「!!あ、おなかいたい!!ちょっと、俺、おなかいたいから、早く店にいこうぜ」 「シロ!大丈夫か!!」 俺がビックリすると、士龍はたっと駆け出す。 弟は、はあっとため息を吐き出して、その後を追っていく。 「ゴメンね!友達が急患みたいだから。また、縁があればね」 康史は、頭をさげて俺の腕をひいて、士龍の後を追いかける。 それにしても、皆足が速いよな。 サッカー部の東山や、昔から速い誠士ならわかるんだが、士龍もかなり足が速い。 まあ、普通に喧嘩してたら追われるしな。 「シロ、大丈夫なのか?」 ようやく追いついて問いかけると、ニッコリと笑って首を横に振る。 「うそっこだよ!めんどくさくて逃げただけ!」 「わかりやすすぎるだろ!」 弟にツッコまれながら、めんどくさかったしーと嘯く士龍は、なんだか邪気がなくて癒される。 「ちょうど、目指していたタコス屋があった!まあ、昼は軽くタコスを食べようぜ」 タコスな。 あんまり味を思い出せないが、南国特有の食いもんかな。 毎食ゴーヤかと思っていたので、食事が楽しみになった。

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