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【番外編】卒業旅行→sideT 【完】

結局、人数分の魚はつれなかったが、その場で買った食材と一緒にバーベキューを楽しんだ。 康史と士龍でほとんど用意してくれたので、味付けも最高だった。 たぶん、これから先こんなゆっくり旅行なんかこれるかわからねえし、ちゃんと満喫しねーとな。 「ヤッちゃん、俺、来月入ったら予備校いくけど、やっぱり駅前のとこがいいかな?」 「ああ、まあシロなら大丈夫だろうけど、入校選抜あるからある程度は勉強してった方がいいよ」 焼いた肉をつまみながら、士龍は康史に相談している。 本気で進学するつもりらしい。 「真壁君は中学校の時はあまり授業でてないけど、常にトップだったよね」 東山は思い出したように言う。 「え、そうなの?!なんで東にいったんだ?」 「………………テッペンとるため、だろ」 ニヤリと笑い虎王がからかうように言いながら、士龍が焼いた肉をつまむ。 東山がビビッた表情をするのを、士龍はちがうちがうと手を横に振る。 「まさか、トール君が北に行くとか思わないし!」 「俺の存在を忘れてたのね、シロってばヒドイ」 「ちょっと考えたらそうだけど。ヤッちゃんは一高行くって思ってたしな」 「俺がトールと離れるわけないだろ」 俺は、康史の言葉に少しにやけたくなるのを我慢して、目の前の魚の塩焼きをモグモグと食べる。 いい塩加減でうまい。 「真壁君、進学してどうするんだ?」 「医者になる」 簡単に言ってのけるが、やっぱり病院の息子だしな。 親の稼業はつがんでもいいとは思うが、思うところがあるのだろう。 「なんか、スゲエな。東のアタマが医者になるとか」 誠士は驚きを隠せないようだ。 「だって、俺、たけおのナースすがたを……………ごふっ…」 「するか、ボケッ」 隣に座っている虎王に激しく頭を叩かれている。 まあ、あれだな。一緒に仕事もしてえってことだな。 もっと、長く康史といる選択もあったとはおもうが、行き先を失敗したとは思わない。 だから、一緒に暮らすことを選択したわけだし。 「なーに考えてんの?」 康史が俺を覗きこむ。 青い空に、綺麗な顔がうつりこむ。 俺は軽く頭を振って、その首に腕を巻き付けて唇を軽くくっつける。 「センセー、トール君がヤッちゃんにいかがわしいことしてまーす」 笑いながら士龍にからかわれて、ハッと笑い返し軽くブイサインをしてやる。 時が過ぎても、こんな時間がずっとすごせたら、いい。 そのためなら、俺は何を引き換えにしても構わねえから。 【卒業旅行 END】

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