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第1話

 都内の大学に受かり一人暮らしを始めた僕は、夏休みを利用して久しぶりに実家に戻ってきていた。部屋でだらだら過ごし、ふと机の引き出しを開けると、忘れ去っていた鍵があった。 それは、去年、祖父の書斎から見つかった遺品だった。 本棚の隅の、さらに古臭い蔵書の中に埋もれていた。 しかし、これが何の鍵なのかは分からなかった。 僕は何かヒントが見つかるかもしれないと思い、久しぶりに書斎に入ってみた。 鍵を見つけた本棚を探る。すると、鍵が挟まっていたと思われる蔵書が、実は祖父の日記であることに気づいた。 きっと、この日記の中に鍵の秘密が隠されているに違いない。 そう思い、生前祖父が座っていた椅子に座り、パラパラとページを捲りだした。

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