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最終話
僕は暗闇に包まれていた。光もない音も聞こえない、痛みも苦しみもない。
目を開ければシュウがその金色の眼差しで僕を見ていた。
「人間は生まれた時には既に人生の青写真っていうのが決まってるって言っただろ? でも、言い換えれば青写真しか決まっていないんだ」
そして僕を抱き締め髪を梳きながらまた耳元で呟くように言う。
「浩太ほどの魂なら周りに人が絶えない人生だったろうに……好きになってごめんって言わないといけないのは俺の方だね」
心地よいまどろみの中、シュウに抱き締められながら目を閉じる。
でも僕は不思議とやっと自分が自分でいられるような気がしたんだ。
ここにいれば苦しみも悲しみもない。疎まれる事も、心を傷める事も。
シュウから与えられるものだけで僕は僕でいられる。
「シュウ。おまじないして」
キスを強請ればシュウは微笑み、僕の唇に口づけを落とす。
「あと、おまじないの先も……もっといっぱいして」
傷付いた心を癒して欲しい。もっと僕を必要として。
「浩太が望むことならなんでもする。これから永遠に……」
欲しいものだけを与えられ、僕は何処までも深く深く、堕ちていく。
終
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