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第51話
風呂を済ませ冷蔵庫からビールを取り出す。
帰宅してビールを飲む時間が唯一の楽しみだなんて大人はつまらないと思っていたが、自分もつまらない大人になったものだ。
首にかけたタオルで滴る水滴を乱暴に拭いながら、ドサッと行儀悪くソファに腰を降ろすと両足をのせ胡座をかく。
カシュっと爽快な音を立てプルタブを開け黄金色を喉に流し込んだ。
「あー…」
風呂で火照った身体に冷たいビールが染み入った。
賑やかしに点けたテレビでは日本シリーズが放送されている。
夢が叶ったから頑張れるのか、夢があるから頑張れるのか。
接戦だ。
もう一口喉に流し込んでいると、ローテーブルに放っておいた携帯が着信を知らせた。
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