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第136話

保健医は顔を見ると今眠っていますとカーテンで囲われた一角を指した。 ツンと鼻の奥を刺激する消毒のにおい。 清潔感のあるそのベッドで亀田の言う通り顔色の良くない三条は静かに寝息をたてていた。 何故、朝気付かなかった… 何故、ちゃんと顔を見なかった… ……見れなかったんだ… 髪を避け額に手を当てると熱がある訳ではなく1つ息を吐いた。 「ん……、せん、せ…?」 「大丈夫か…?」 ぼんやりした目が自分を捉えた。 「すっきりした…」 その声に顔を覗かせた保健医は少し顔色良くなったねと言うからいたたまれなくなる。 どんだけ真っ青だったんだと握った平に爪が食い込む。 「10分も寝てないけどね。 どうする? 帰る?」 「平気です。 寝たらすっきりしました。」 何が平気なんだ… 「無理しちゃ駄目よ。 細いんだからしっかりご飯食べて、しっかり睡眠とってね。」 形だけ担任のフリをしてありがとうございましたと教室へ引率する。 室内でさえ寒い。 「長岡先生も、ご迷惑おかけしました…。 もう、平気です。」 なんで笑う 責めてくれ… 三条は頭を下げると逃げる様に教室へと消えていった。

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