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第6話
楽しい夏休みも疾うに終わった10月。
あんなにも暑かった夏も嘘の様にぐっと気温が下がった。
秋の終わり。
駅はまだ暖房が入ってなく待ち時間が寒いので、三条はそれまで教室で暇を潰していた。
友人達は走って行った為、教室には自分以外誰もいない。
飲みかけのペットボトルに口を付け中身を呷る。
窓の外は、段々と色を赤く染めていく。
空も教室の中も真っ赤だ。
ガラッと音が聞こえて振り返れば後ろのドアから長岡がこちらにやって来た。
先生すら真っ赤になる教室にドキドキと心音が響く。
あの目で見られている。
「先生…?」
ぞくりと何かが背中を走った。
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