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第5話

「なんで猫山は、猫になったんだ?」  翌朝、猫山はやっぱり猫耳と尻尾をつけたままだった。 「おれの将来の夢だから」  猫山はトーストをかじりながら言った。  やっぱり猫舌なのか、熱いと言って上手く食べられないでいる。 「ああ、小3の時に言ってた、アレか」  小学校の作文かなにかだっただろうか。  小学生とはいえ、3年生になる頃には、もうみんな「ヒーロー」や「お姫様」の夢を諦めている。  そんな中で猫山は、頑なに猫になることを主張していた。 「なんでそんなに猫になりたいんだ?」  たしかに、日がな一日眠ったり、愛でられたり、のんきに気ままな生活は憧れるところもある。  でも、猫山のように、耳や尻尾を生やしたいとは思わない。 「宇久井(ウグイ)が言ったから」  猫山が俺をじっと見て言った。 「え? 俺が? なんて」 「猫がほしいな、って」  そうして彼は、10年かけて、夢を叶えたのだ。 終わり

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