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第1話
学校は極めて実力主義だった。だからうまく魔法が使えない生徒はいつまでたっても上に上がれない。そしてここは雲の上と言う隔離された空間のため、生活は寄宿舎が大前提だった。
季節はもうすぐ冬が始まろうとしていた。そして現在、文化祭前日。更科久弥(さらしな きゅうや)は、ほとほと困り果てていた。
この学校は本来十五歳からの高校生程度の生徒が学ぶ学校なのだが、上に上がれない生徒が結構いて、実際のところ高校なのか大学なのか分からない場所と化していた。だが在籍が許されるのは二十五歳まで。それまでに卒業出来なければ落第となり「魔法使い」とは名乗れない。
久弥は今年入ってきたばかりで初めての文化祭だった。だからちょっとばかり期待もしていたのだが、このていたらくはなんだろう……と今は思っている。
「辻さんっ! アランさんっ! 五十嵐さんっ! いい加減、働いてくれませんかっ?!」
言っているのは実行委員の面々に向かってだった。学年は三学年しかないくせに集まった生徒が大人過ぎる……。「今何歳?」と聞きたくなるのはおいておいて、実際問題動いてくれないのが悩みだった。
「やって」と言ったことが何ひとつ出来ていない。それに今日は文化祭の前日だ。アーチにつける花ひとつ付けられていないのはどういうことなのか。
久弥はとうとう堪忍袋の尾が切れてしまっていた。でも言われた先輩であるはずの三人は全然意に介していないのも事実で、それを目の当たりにしてまた苛つきが大きくなる。その返事に「何で?」と言ったのは、本に目を落としたままのインテリチックな辻さんだった。
「決まってるでしょ。もう文化祭明日なんですよっ?!」
「うん。分かってるよ」
「だったら!」
「あのさ、キュー君。ここ、どこだか分かっててそんなこと言ってるのかな」
「ここって……実行委員会でしょ!」
「じゃなくて、もっと大きい括りで」
「じゃあ学校っ!」
「だーかーら、ここ何の学校なんだよってことだよっ! お前、ちゃんと回り見てるかっ?!」とカッコつけの五十嵐が前髪を吹き上げながら立ち上がる。
「よーく思い出してみろっ。お前みたいにコツコツせっせと働いてるヤツいたかよ」
「えっ…と………」
「前日だって皆そんなに気にしてないだろ?」と再び辻さんが優しく話しかけてきた。
「ぁ、ま……まぁ……」
その他ひとり。アランは銀色の髪を西日で輝かせながら、自分の爪を磨くのに懸命になっているようで輪の中に入ってこようとはしない。そんな彼を横目に見ながら「だから何?!」とひとり納得出来ないでいる久弥だった。それを見透かしてか、五十嵐がこっちに近づきながら話を続ける。
「いいか久弥。文化祭ってのは今まで習った魔法の力を試される時でもある。ここは普通の学校で言う期末テストと同等の場所だと考えてもいい。言ってること分かるか?」
「分かりませんっ! だいたいそんな話聞いたことないしっ!」
「ばれたか」
「普通分かりますっ! ねぇ! じゃあ魔法でもいいから、ちゃんと実行委員としての働きをしましょうよっ!」
「えーーー」
これには大袈裟に両手を上げて五十嵐が拒否声を上げた。
「辻君、俺らが何故ここにいるのか、何故毎日何もしないのに通い続けたのかを説明してやってよ」
「……いいですけど。アラン」
もういい加減にしろよ、と声をかけて改めて三人が久弥と向き合う格好になった。
「そもそも。僕たちがキュー君をここに入れたいと思ったから実行委員を指名したんだ。去年は実行委員会なんてないし指名もないよ?」
「え、何それ」
「うーん。どう言ったらいいかな。君たち一年生はまだ年令的にもマトモな、ごく普通の生徒だ」
「そんなこと言ったら俺らがいかに駄目かってのを言ってるようなもんだろうがっ!」
「そうかな」
「お前的にはどうだか知らないが、俺的には侮辱された気分になるっ!」
「それは申し訳ない。では言い方を変えようか」
「変えろっ」
「僕たちは年令的にちょっとマトモじゃない」
「もっと酷いじゃないかっ!」
「……話が進まないから続けて行く。とにかく、言いたいのは。僕たちは君が入学してきた時から目をつけていた」
「ぇ、何? それって何かの物色? カツアゲ? あ、引き込みとか?」
「バカ! お前が可愛いからだろうが!」
五十嵐がそんなことを口にするので、にわかには信じられるはずもなく、信じたくもなかった。だから久弥から出たのは「ぇ…えーーーー」と苦虫を潰したような否定する声だった。「それ、すげー嫌だ…………」って顔をすると「露骨過ぎる……」とアランが初めて話に入ってきた。
「キュー。顔が凄く嫌っぽいから変えて」
「変えられませんよっ。元々僕はこういう顔ですからっ」
「じゃあ笑って」
「……はいはい」
言われて仕方なくニカッと作り笑いをすると「そう」とにこやかに親指を立てられてしまった。仕方ないので作り笑いのまま他のふたりをにこやかに睨む。
「言ってる意味が分かりませんっ!」
「うん。本当は明日言うつもりでいたんだけど……今日言おうか」と辻がもったいぶった物言いをする。
「何をです?」
「言っても大丈夫か?」と五十嵐が心配げに言う。
「時は満ちたからもう大丈夫だろ」とアランがそれに答えた。
「時?」 久弥が首を傾げる。
「そう、時」
辻がにんまりと笑ってから言葉を続けた。
「僕たちのこと、ここに来てよく分かっただろ?」
「…ええ。それはもう!」
「だったら話は早い。ここにいる三人の中で誰を取る? 誰が好き?」
「は?」
誰を取るとか、誰が好きとか、話が全然見えない。久弥は口元だけは笑顔を維持しつつも十分に顔を引きつらせていた。それを分かっているはずなのに辻は話を続けた。
「年明け早々に部屋替えがあるだろ? あれ、年功序列で同室相手ご指名システムあるって知ってた?」
「知りませんっ!」
「じゃあ、その前に唾付けあるのも知らないか」と五十嵐がつぶやく。
「何ですか、唾付けって」
「仮押さえってことだよ」
「仮押さえ?」
「まだ分からないのかよっ! こいつ、とことん天然じゃんかよっ! 大丈夫かよ」
「僕たちはキューのそんなところが好きなんだろ?」とアラン。
「まあそうなんだけど、ここまでとはね……」
三人が呆れたように顔を合わせる。
「あの、ちょっと! ホント言ってる意味が分からないんですがっ?!」
呆れた顔をされてもこっちが呆れるよ……とばかりに久弥が反論する。
だってそもそもこの集まりは文化祭の集まりじゃん?!
「それが今回のこととどう関係しているって言うんですか! それとあなたたちが働かないのとは全然関係ありませんよね?!」
「関係あるよ。だから僕たちがここに集結しているのは、君に誰かを選んで欲しいからに他ならない」
「だからー!」
「文化祭は関係ないよ?」
「ぇ……」
「名目は確かにそうかもしれないけど、これは事前打ち合わせって言うかな。事前に君の気持ちを確かめるための委員会だよ?」
「何それ……」
何だか考えていたものと方向性に違いがあるのをようやく理解した。久弥はちょっと信じられない気持ちでひとりひとりを見つめた。だったらこの二週間は何だったのかと問いたい気持ちでいっぱいだ。だけど向かい合っている三人は自分とは違う気持ちでいるだろうことは明白だった。目がランランとしている。
「…………それって、絶対に誰かを選ばなければならないってことなんですか?」
「出来ればこの中の誰かを選んで欲しいんだけど、他に凄く好きな人がいるから駄目って場合はまた考えるよ」
「だけどキューは好きな人いないよね? 仲のいい奴はいても『彼じゃなきゃ』なんて人いないよね?」
「そんなの調査済みだよ」とばかりに意味深な顔をするアランに反論出来ない。
この学校は全寮制なため男女別々の生活スタイルを取っていた。学校も違えば寮も違う。もう視界の中に写るのは同性ばかりで、異性はどう足掻いても恋愛対象にならない年上が数人いるくらいだった。だから生徒は身近な男で欲求を満たすのを普通にしていた。そして対象となるのは新入生や年下、体系的・性格的に適していると思われる者が女形として狙われる。久弥は自らを振り返り、自分がその中にバッチリ当てはまっているのを自覚してしまった。
身長163センチの55キロ。顔はゴツくなく、どちらかと言えば中性的と言おうか、ガキっぽい。優しくされるのは嫌いじゃないし、苦労するのも慣れてない。だけど男に溺愛されるのとはちょっと違う感じがしていた。
「そういうの……考えたことなかった…………」
「じゃあ試してみるといいよ」
「え?」
「自分を満足させてくれる相手がいるのかどうかっての」
「ええっ?」
試す?! 満足?! 満足……。満足…………。
ここに入ってから半年ちょっと。一年生ばかり四人相部屋で自分を満足させるのは、もっぱらベッドの中かトイレだった。そそくさと自慰をして納得させるしかなかったけれど、来年になればふたり部屋になる。その相手のことを彼らは言っているのだ。ある意味蜜月。やりたい放題の下半身に彼らは期待を持っている。それを聞いた久弥もやっと彼らの意図することを理解したのだった。
時間は午後六時。そろそろ校舎に鍵がかけられる。これからは寄宿舎に移動して十時までの間に食事と風呂を済ませて、十二時までには床に入る。それ以降に勉強したい生徒は学習室に移動して二時までは勉強出来るが、それ以降は絶対就寝しなければならない。それがここのルールだった。
「誰からにする?」
「俺、俺俺!」
「は? そういうのは公平じゃない。だろっ?」 五十嵐の言葉に辻が不満を口にいる。
「うん。それは公平じゃない」とアランが口添えをするのに「そんなの言ったもん勝ちじゃんっ!」と言い張る五十嵐。それに対し、辻がグーを作って相手の額に宛てがった。
「黙れ」
「ぅ…」
「これでは何のために今まで我慢したか分からないじゃないかっ」
「僕はキューが一番満足出来る相手を選んで欲しいな。順番じゃなくてね」
「…………」
どうやら三人は三人とも譲る気もないらしい。かといって我を通すだけが得策とも思ってないと言うのも分かった。
「僕、好きな人は自分で決めたいです。今好きな人いませんし、いないからと言って先輩たちと犯るってのはちょっと違うような気がするんですけど…………」
「……」
「それは何? 僕たちじゃ、ひとりエッチにも及ばないとか言いたいのかな」
不満満々でアランがそんなことを口にする。
「いや、そういうことじゃなくて……」
「いやいや。そういうことだよなっ?! 俺たちじゃ、お前の指に勝てないって言ってると同じだろう」
「そうじゃないですってばっ!」
「なら、試してもらおうか」
「う、うーん…………」
最後、辻に止めを刺されて返す言葉をなくす。久弥は蛇に睨まれた蛙のように冷や汗を流すしかなかったのだった。
●
食事は購買で買ってきたパンになった。しかもお預け状態で久弥は今、辻の部屋に引きずり込まれていた。
彼は二年生なのだが生徒会長なので特別に個室を与えられていた。個室を与えられた者はフロア責任者と言う役目も追うのだが、他に寮長や寮父と言う立場の人がいるので事実上あまりすることはない。いいなと言えるのはふたり部屋と同じスペースをひとりで使えることだ。それに関しては凄く羨ましいのだが、今置かれている立場は非常にマズいんじゃないかと思っている。
「さあ、始めようか」
「あのっ……」
「お腹空いた? 僕もだよ。だから早く済ませようね」
「えっと…………」
縦に細長い部屋は左側に造り付けの机スペースがあり、右側に二段ベッドがあった。この部屋はひとり使用のため上のベッドは使われていないようだった。
今久弥は下のベッドの奥の壁に背中をつけている状態だった。
逃げるに逃げられない。
連れて来られる時に逃げれば良かったのだが、三人に回りをガードされていてはそれもままならなかった。そして他のふたりの部屋もすぐ近くにあるため待機しているような状態だ。ちなみに各部屋シャワー・トイレ付だったりするので、食事を除けば不自由はなかった。辻はベッドに入り混むと仕切りカーテンを閉めて抱き着いてきた。ビクッとしながらも相手を払い退けることが出来ない。
「抵抗しないのかい?」
「……どうしたらいいのか分からない……から…………」
「ふっ……。だったら言いなりになってみるのも手だと思うよ? 僕たちはみんなキュー君のこと好きなんだから」
言いながら唇が近づいてきて重なる。
「んっ……」
軽いキスを繰り返されながら抱き着いてきていた彼の手が背中を這い回り、いつの間にか下着の中に入り込みお尻を触っている。久弥は辻が自分にこんなことをするなんて信じられなくて、されていても信じられない気持ちでいっぱいだった。
「腰を上げて」
「……」
言われるままに腰を上げるとベルトを緩められて下着ごと一気に脱がされてしまった。
「あっ……!」
ぷるんっ! と音が鳴ったかと思うほどの勢いで下半身が露になる。久弥は恥ずかしくて咄嗟に手で股間を隠した。そして「やめてっ」と言いたいのに言えない今にひとりうろたえるしかなかったのだった。
「怖い?」
「……怖いっ…か……どうかも…………」
出来れば単純に「怖い」と言いたいのだが、それとは違う未知の入り口に立っていると言う自覚に期待が高まってもいる。だからこの状況を簡単には無下に出来ない、なんて気持ちもあったのも確かで……。久弥はひたすら相手の出方を見守るしかなかったのだった。
「可愛いな、キュー君は。チン〇隠しても共同浴場で確認済みだからしょうがないよ?」
「そっ…それはそうだけどっ……!」
言われて振り返ってみると、実行委員会が発足された時に四人で風呂に入ったっけ……と思い出した。
それはっ……こういうことだったのかっ……!
久弥のチン〇は大きくもなく小さくもない、普通に普通サイズだった。形だって他の奴と変わりがあるわけでもなかったので、その点では安心していたのだが、まさか男に触られることになろうとは思ってもみなかった。辻は股間を隠している久弥の手を優しく解くと、まだ変化もしていないモノを握り、袋を握りしめて恍惚とした表情を見せた。
「ぁぁぁ………。やっと触れたよ、キュー君のモノ……………」
「ぁ………ゃ……」
「嫌? 嫌じゃないよね? これから味わったこともないような快楽を教えてあげるよ?」
「ぅ……ぅーん…………」
「ね?」
「ね? って……」 言われても…………。
普通じゃ味わえない快楽を目の前にして拒否るにはもったいなさ過ぎると判断する。だけど未知の世界への恐怖はひとしおで、体が勝手にブルブルと震えだしてしまったのだった。
「怖いの?」
「だ……って…………何されるか分かんないし………」
「大丈夫だよ? きっと好きになるから」
言われながらしごかれ、揉みしだかれる。久弥は力を抜いて身をゆだねるように言われると拒否することも出来ずに従っていた。
「目を瞑って……。気持ちいいこと考えて…………。気持ちいいだろ?」
「ぅ…………うん…………」
先っちょを親指でヌラヌラされて、指の一本一本で確かめるように袋を揉まれると、とても無表情なんかじゃいられないっ。
気持ちっ……いい……! ってか、上手い、この人っ………!
やり慣れていると言おうか、熟知していると言おうか。辻は久弥の下半身を弄びながらだんだん本丸に攻め入ってきていた。袋を揉みながら、時折余った指で秘所を探る。探りながら入り口を確かめて、久弥の放った先走りの汁を頼りに中に押し入ろうとしていたのだった。
「ぁ……ぁぁ……ぁ……」
「お尻っ。経験させてあげるね?」
ふふふっ……と含み笑いをしながら指がググッ! と押し入ってくる。
「ぅっ…!」と小さな声を上げながらも押し退けない。辻は潤いを借りて指を一本だけ入れてきた。だけどその一本はしっかりと根元まで入れられていて内壁を探り出す。
「は…ぁぁ……んっ! んっ! んんっ……! やっ……ぁ……だめっ………んっ……ん………!」
「感度いいね。やっぱり思った通りだよ」
「ふ…ぅぅ……んっ! んんっ……!」
ヌラヌラと親指の腹でモノの割れ目を触りながら、秘所に差し込んだ指の腹で内壁を確かめる。最初はそんなもんだったのが、徐々にそれだけじゃなくなってきて、彼の指が二本になり、モノを触る指も腹じゃなくて爪になってきた。
「やっ……! ぁっ…! あっ…! ああっ……! ぁっ!」
執拗に触られて攻められて、先走りの汁だけでは耐えられなくなって、ついに決壊してしまった。久弥は辻の手の中にドクドクッ! と勢いよく精液を放ってしまったのだが、その間にも秘所に突き刺された指は中で蠢く。
「ふっ……ぅぅっ……! ぅっ! ぅぅっ!」
泣き出しながらも気持ちいい。この気持ちが何なのかがよく分からないまま突き進んでいるような、そんな感じに久弥は嗚咽しか出なかった。
「ぅっ…ぅっ…ぅっ…………」
「可愛いよ、キュー君……。ああ可愛い…………。ちょっと食べちゃってもいいかな」
「ぅぅぅっ……」
何のことだか分からないでいると、触られ握られしごかれていたモノをパクッと口に含まれた。
「ぁっ…」
言葉を出すと同時に凄い勢いで舌技を使われる。ベロベロクチュクチュと巧みに舌を使いながら口を上下に動かし汁の味を確かめられる。これではもう吸い尽くされている感が半端ないっ! 久弥はもう平常心なんかじゃいられなくて、相手の髪をクシャクシャしながら腰をくねらせた。そして根元まで味わってもらえなくなると、ねだるように腰を相手に打ち付ける。だけどそうすると体の中に差し込まれている指が乱暴に出し入れされて、結局涙を流すはめになるのだった。
射精してからモノを嫌と言うほど味合われて仰向けのまま脚を肩に担がれ息を呑む。
「いい?」
「ぁ…………」
いいも何もない。問われてはいるものの、実はそれはもう決定事項で秘所に宛てがわれた勃起したモノは揺るぎなかった。入れるよ、との言葉もなしに指によって緩められているソコに押し進んでくる。久弥はそれを拒否ることなく受け入れるのが使命だとさえ思った。
「ぅぅぅっ…………」
「さすがにっ……初めてはちょっとキツいねっ……」
嬉しそうに口の端を上げながら辻が自らのモノを穿ってくる。彼は自分の下半身を露にすることもなく、まるで小便でもするかのごとくモノだけをズボンから取り出すと久弥の中に突っ込んできていた。
「ぁぁぁっ……んっ…! んっ! んっ! んっ!」
息も詰まるような、まったくそんな感じ。久弥は息も出来ないくらいの圧迫感に襲われながらも、それとは比べ物にならないような快楽感に酔いしれていた。誰にも何も言われなくても舌を出してキスをおねだりしてしまいそうになる。下から突き上げられると、その相手のモノをもっと奥まで入れ込みたくなる。知らず知らずの内に相手に抱き着いて腰に脚を絡めてしまう。
なんてはしたないコ。と言われても否定出来ないような格好だと自分でも分かっているのにやめられなかった。
「あああっ…んっ! あんっ! あんっ! あんっ! いいっ………!!!」
激しく腰を動かしながら言われた言葉に辻の顔が緩む。久弥は彼が動きを止めた後でも自らの腰の動きは止めることなく射精するまで相手を味わったのだった。
〇
「やっぱり君は最高だ」
そんな言葉を残して辻が久弥の体から離れると、すぐにアランが部屋に入ってきた。
「ハイッ、うまくいったみたいだね」
「…………」
にこやかに爽やかに言われても返事なんて出すだけの余力はなくて、辛うじて視界の中に相手を入れるのが精一杯だった。久弥の体は辻にされたままの姿で横たわっていた。精液で汚れていると言うのに、そんなこと気にすることもなくベッドスペースに入り込んでくる。アランは久弥に跨がると見せつけるようにシャツのボタンを外して見せた。そしてペロリと舌舐めずりをするとベルトに手をかけたのだった。
「次は僕……を楽しませてくれよ」
「ぁ…………」
今までじっくりと見たこともなかった彼のモノが下着の中から現れる。ソレはもうしっかりと勃起していて、すぐにも満足させなければならない状態だった。
「キュー君のソコは僕を満足させてくれるかな?」
「ぁ…………」
目の前で勃起したモノをしごいて見せられて小さく悲鳴を上げる。だけど肯定も否定もする暇もなく脚を持ち上げられると緩んだソコにモノを宛てがわれた。
「好きにして……いいよね?」
「…………ぃ」
はい……と言う言葉がはっきりと言えなかったけれど、代わりに大きく「うん」と頷く。それを見たアランは口の端を上げながら一気にモノを突き入れてきた。
「あああっ……!!! ぁっ! ぁっ! ぁっ! ぁぁっ!! ぁっ!」
最初からハイスピードでズブズブと出し入れをされて両方の脚を嫌と言うほど掴まれる。膝を折っている脚をまるでマニュアル車のチェンジを変えるように動かされる。下半身だけが繋がって激しく腰を動かされ、突き入れられて必死にシーツを掴んで耐える。
「尻の穴を他人に占領されるのはどう? 精液を注ぎ込まれるのは好き……だよね?」
「ぅっ…ぅぅっ……ぅ…………」
「はっきり答えなよっ。キュー君のケツはもう僕たち専用なんだからっ。試すとか考えた時点で他の生徒が入る隙はなくなってるんだよ?」
ふふふっ……と嬉しそうに笑われながらズブズブ出し入れされる勢いが増す。脚を掴まれていたはずの久弥の体は、いつの間にか四肢をストッキングで縛られて自由を奪われていた。抗おうにもどうしようも出来ない。出し入れされながら乳首を弄ばれて涙を流す。
「乳なんだからさ、こっちからもミルク出してみなよっ」
「むっ……無理っ!! そ……んなのっ!! 許し……てっ……!」
「雌豚のくせに生意気なヤツだなっ! ケツの穴、汁まみれのくせしてっ!!」
「ひっ! あっ!! ぁっ……許してっ……!」
「乳出せよっ! 下のモノからで許してやるからっ!」
「ぁっ…はいっ! ごめんなさいっ!! ……ですっ!!」
ズブズブプチュプチュと結合部分の音の大きさが増す。
僕はっ……この人を満足させない限り終わりはないんだろうなっ……!
言われなくてもそんなことを思う。とにかく日本人じゃない人のモノは一回りデカくて口がパクパクなってしまう。コロンッと転がされてうつ伏せになると出し入れされる角度がまた違って腰をくねらせる。
「あっ! あっ! あっ!」
「まったく、はしたないねっ! 初めてだって言うのに、こんなに腰をくねらせておねだりしてくるなんてっ……!」
「ごっ……ごめんなさいっ!! でも僕っ……!」
こういうの、好きなんですっ!!!
自分じゃないモノを体内に感じながら、同時に嬉しさも味わえる。こんなことがここで味わえるなんて思ってもみなかった久弥はもうガクガクと体を震わせるしかなかった。
「好き者っ……! メスブタっ! まったくだらしのないケツの穴だなっ! ここまで誰の者でもねなかったのが不思議だよっ! バージンだよなっ?!」
「はっ……はいっ! 僕のケツはっ……! まだ、誰のモノでもありませんでしたっ!!」
「じゃあ、これからは僕たち専用と言うことでっ……いいかな?」
「…はっ……はいっ! 是非っ……!」
突っ込まれて乳首をキュキュッと摘ままれると嫌でも「いいっ!」と返事をしてしまう。通常の判断なんて出来る場合じゃない時に決断を迫られて二人目の精液を中に収められる。そうしてからやっと束縛を解かれてグッタリとベッドに横たわる久弥だった。
〇
途切れ途切れの記憶しかないが、目を瞑って再び目を開けると相手が代わっていた。
「ぁっ…………」
「一番最後だってのには納得いってないからなっ! 今度は一番最初にお前のケツにぶち込むからなっ! せめて両脚を抱えておねだりくらいしろよっ!」
「す……みませ…………」
夢うつつの中でそんなこと言われて、久弥は慌てて自分の両脚を掴んで尻を差し出して見せた。
「あのっ……あのあのっ…………。僕の尻はグチュグチュですけど……五十嵐さんのモノを入れてくださると…とても嬉しく……。…………もっとグチュグチュにして、僕をダメにくださいっ!!」
最後はもうヤケッパチだった。それでも辻でもアランでもない精液を受け入れたかったし味わいたかった。久弥はケツの穴をヒクヒクさせながら「お願いしますっ!」とねだっていた。
「俺の汁は濃いぜ?」
「お尻に是非入れてくださいっ! そして僕を困らせてっ…………! おしっこなんかじゃなくてっ……お尻から精液垂れ流す姿っ……見て欲しいですっ…………!」
あああっ………。言ってしまった…………。
三人分の精液を尻に無理やり入れられて、我慢出来なくて放出する姿を想像する。洋式便座に和式便所でするみたいに便座の上で跨がってモノと袋を持ち上げる。そして尻からブチュブチュと放出される三人分の精液を覗き込まれるのを考えると、それだけで自分のモノがまた堅くなった。
「淫乱野郎っ!豚野郎っ!」
「ご…めんなさいっ!」
「尻軽めっ!」
「うっ!」
「尻に突っ込まれるのがそんなに好きかっ?!」
「すっ……好きですっ!」
いつでも入れていて欲しいくらいっ!
俺様な五十嵐に突っ込まれ罵られて締め付けを強くする。もうどうなってもいいっ! とか思ってしまうほど乳首やモノ・袋を摘ままれ弄くられて気絶寸前まで楽しまれた。
「噛むなよ」
「うっ…ふっ……ぅぅ…ぅ………」
そこいらじゅうを楽しまれて、もう触られるところがないんじゃないかと言うところで五十嵐は繋がったまま口の中に指を入れてきていた。それはまるで尻の中を探る指のような感じで、口の中も執拗に探られる。指の部分をガッポリと口に入れられて上の口も下の口も塞がれたような状態に入れられたソコがヒクつく。
「俺たちと交わった以上、ケツの穴からモノ、尿道、乳首や口内を自慰することは今後いっさい許されない。まあ、自慰するとしても俺たちの前でしか許されない。いいな?」
「……ぅぅ…………」
二週間と言う時間をかけて、ゆっくりと三人によって施された束縛の魔法は、すべての相手が同時に術を解くまで逃れることは出来ない。加えて「されれば快楽も伴うように心を込めておいた」と五十嵐が楽しそうに言う。
えぐられるように尻を楽しまれると、細い管を尿道に突っ込まれてビクビクッと体を震わせる。
「ぁぁぁぁぁっ…!!!」
「いい感触だろ? これからはこういうことも俺が教えてやるからな」
「がぁぁっ……!! ぁっ! あっ! ぁぁっ……!」
結合されたままグイグイと尿道を犯される。奥の奥まで入れられると勝手に尿が垂れ流されるのがまた恥ずかしかった。
「ぁぁぁ………」
バケツの中にチョロチョロと流れ出るおしっこを見られながら腰を打ち付けられる。
「ゃ…ぁ…ぁ……っ…………」
「やっぱ久弥は犯りがいがあるなっ」と笑われる。
「ふぅぅっ……ぅ…ぅ…ぅぅ………!」
一度味わった快楽は倍増されることはあっても、なかったことにはならない。射精したいのに出来ないままの久弥は自分の体を抱えながら、これからの学園生活を考えるしかなかった。
僕は……誰と一緒の部屋になるのかな…………。。
終わり
20171222
タイトル「専用男子」
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