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第1話不良生徒×俺様教師
季節は巡り回って春夏秋冬と過ぎていく。
春は、出会いの季節と同時に別れの季節でもある。時が経つのは早いものであいつとの別れが今日が終われば来てしまう。
別れがくることなんて分かっていたんだからもう少しラブラブしたかったななんて。
無理だってわかってるあいつは同年代の女の子が好きでそんな君に片想いするしかないんだから。俺もいつかこの恋をしてよかったなって思うようにと思っていた。
「おーい。先生。俺が卒業するの悲しくないのかよ?」
「そりゃあ寂しいよ。あーんなことやこんなことした仲だもんな。」
「してねぇよ。そんなこと。」
「それはそうとここに何で来たんだ?」
「先生に会いに来たんだよ。」
「今日で終わりだからか?」
「それもそうだけど、俺先生が好きだったんだ。嫌われたくなくて思いは伝えられなかった
けれど、授業を教えてた先生も、こんな風に冗談もいっている先生も全部好きだった。」
「ありがとう。俺も好きだったんだ。お前の事が。だけど俺は先生だし、お前は今日までは生徒だろ?だったら最初から気持ちを伝えていればよかった。お前が好きだってわかっていたんならデートとかシたりとか…」
「じゃあシますか?思いは実ったし、一応卒業したし、俺様な先生がそんなに弱気になって好きな人から好きなんて言われたらシたくなっちゃうし。そりゃあ男ですからね。」
「ちょっと待て。心の準備してからするから。」
「はーい。先生。待ってます。」
こいつ昔からこんな感じだったか?
まぁ、出会ったのは三年前だからその前の事は知らないけども少なくとも不良でこいつには何回も生徒指導をしたのを覚えてる。
そんなこいつが俺の事を好きだなんて冗談だろ?だったら何回も言うがもう少し早く気持ちを伝えてほしかった。片想いして、好きという気持ちを隠していた俺がバカみたい。そんなネガティブな言葉ばかり頭を駆け巡ってしまう。
どうもこいつといると俺様じゃなくて弱気になってしまうみたいだ。でも今伝えよう。シタイという気持ちを。
「先生まだですか?」
「雅シよう。ってやっぱり恥ずかしいな。こう言うのは。」
「先生でも恥ずかしがるんですね。可愛ーい。」
「そりゃあ恥ずかしがるよ。俺だって男だし人間だし恥ずかしがらない訳がないだろ?」
俺が先生を好きになったのは説明した通りの事ともうひとつ訳がある。
先生は不良だった俺を途中で投げ出すこともなく丁寧に指導をしてくれて、何よりも進路が決まっていなかった俺にいろいろおしえてくれたり感謝してもしきれないことをしてくれたからっていうのもあるかもしれないけど普通の先生以外には感じない感情を覚えた。
そう、いわゆる恋愛感情という気持ちに、最初の頃は、先生なんかに恋なんかしていいのだろうか。とか男の人である先生を好きになってしまっていいんだろうか。とか自分は男で男を好きになってしまっていいんだろうか?とかいろんな感情、気持ちが俺の心を掻き乱していた。
こんなに恋をすることで深く悩んでこの想いを隠したまんま卒業していけば、振られることもないし、傷つくこともないから。なんて好きになった当時は思っていたのに。
ある日のこと、いつものようにサボろうとしようとしようとしてた時だった。どうせ誰も来ないし、別に誰も気にも止めようとしないし、屋上にいたときのことだった。
「おーい。雅いるんだろ?」
声から、先生だって分かっていたけれど行ってしまったらいるのがバレてしまう。って多分バレてるんだろうけれどどうしても出たくなかった。
「早く出ないとお仕置きしちゃうぞ?いいんだったら出なくてもいいけど…。」
お仕置きがどんなものか分かんないけれど、出なくちゃヤバイことは分かっていたからさすがに返事をした。
「先生。すみません。」
「普通にしてれば素直なんだから無理しなくていいのに。後、お仕置きっていうのも嘘。
教師だからそんな事出来ないだろ?」
その言葉は本当の事で、そうだ。
俺と先生は一緒になれないんだ。いくら好きでも先生と生徒という関係は切れないんだって
思い知らされた出来事だった。
当たり前の事だけど、好きな人と一緒になれないってこんなにもこんなにも胸が痛いんだって
苦しいんだって自分の立場が違ったらいいのにだなんて思っていた。
「そうですよね。」
「でも、好きだよ。お前のそういうところ。だから自分を偽らなくてもいい。俺の前だけでは素直でいてくれ。」
先生にとっては何気ない言葉だったと思うけれど、俺にとってはとても大切な言葉だ。
その出来事でもっともっと好きになったんだ。
先生大好き。これからも好きでいるから。
俺も雅が好きだった。
ずっとずっと好きだった。もっと語りたい、デートしてみたい。これからも好きでいていいのなら恋人同士になれるならなりたい。
大好きな雅と。
思いが募った俺達がその後愛し合ったのは言うまでもない。
学校から卒業できても先生からは卒業できないみたいだ。
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