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第12話

 ぎゅうっと吸い付いた唇を離すと、ほんのり赤く付いた(あと)を指先でなぞって。そのまま指先をすうっと首筋から鎖骨に這わせる。  要は強張った身体を、びくっ、と一瞬動かしたが。大成の指先が胸元を這うと、大きく息を吐いて、身体の力を抜く。 「はぁ……んっ、そこはっ……」  しばらく胸元に指を這わせ、反対の手で色々な身体の部位を(いじ)ると。要は吐息に混ざって、子供のような鳴き声、でもどこか艶めかしい声を出す。  そうして、すでに張り詰めた要の屹立を、大成はやんわりと握った。 「……ひゃっ」  奇妙な驚きの声に、思わず握った手を離すと、その手首はがしっと掴まれた。 「初めて、そこ、触られて……大成さんの、手っ……びっくりした、だけです……」  頬を寄せて、耳元で拗ねたように囁く要の声色が、大成の本能に火を付けて。 「じゃあ、続けていいの?」  要の頬を両手で包み込み、優しく問い掛けると、要は視線で頷く。 それがまた欲望を刺激して。また要の屹立を握ると、掌全体で摩りながら、親指の先で先端を(もてあそ)ぶ。 「……あっ……やぁっ……はぁん」  ねっとりした愛撫に、ねっとりとした声が上がって。要はシーツをぐちゃぐちゃにしながら身悶(みもだ)えるが、反抗はしてこない。  舌でちろちろと(へそ)の辺りを舐めると、要は(あえ)ぎながらも、視線を大成に向けてくる。 (これ以上は駄目、かな?)  視線で大成は問い掛けると、なにか理解したのか、要は閉じていた脚を開く。 そして大成は、躊躇(ためら)いなくそこにある屹立を咥えた。 「っ、はぁっ……はぁ」  頭上から聴こえる苦しげな喘ぎに興奮して。熱心に首や舌を動かす(かたわ)ら、大成自身の屹立も自らの手で扱く。 「もう……やっ……ふっ、うぅっ……」  くしゃっ、と大成の髪の毛を撫でた要を上目遣いで見ると、気持ち良いのか苦しいのか分からない表情(かお)をしていて。 その涙目に誘われるように、大成はさらに激しく舌を這わせた。 「んっ! っふ……はぁっ……」  要の身体が一瞬強く震えると、大成の口の中に熱いものが発せられて、要が達したのが分かった。 「あぁ……ふぅ……」  ぐったりと息を切らす要の綺麗な身体を見つめながら大成も、自らの手でしごきながら達する。  しばらく、ベッドの上にふたりで寄り添って、息を切らしていたが。ゆるゆると下半身に手を伸ばしてきた要の手を大成は止めた。 「まだ……終わってないでしょ?」  ベッドから起き上がって、不安げに問い掛ける要の頭に掌を置いて、大成は微笑んだ。 「これから先は、また後にしようか。要は俺に触られて、気持ち良くなる事が出来たろ?」  こくり、と頷いた要の頭を優しく撫でながら、大成は言葉を続ける。 「俺も気持ち良かったよ。でもこれ以上は、勢いでやると、気持ち良いだけじゃなく、痛いだろうし……。あと、今日はコンドームも持ってきてないし」  そう言って笑うと、要も微笑みながら頷いて。 「こんな風に気持ち良くなるのって、恋愛なのかなぁ……」  大成の肩にぽすり、と頭を乗せて、そんな独り言を呟く。 「要はさ、俺以外の人間と、セックスしたいと思うか?」  髪の毛を弄りながら大成が訊くと、 「嫌だ。大成さんとじゃなきゃ、気持ち良くない」 要はきっぱり答える。 「そう言ってくれるとさ、要を好きな俺は安心出来るから。要が俺に恋愛してるか、そうでないかは、まだはっきりさせなくても良いんじゃないか?」  そんな風に諭す大成の身体に、要は頬を擦り寄せてきた。  少しは安心できたのか、まだ不安なのかは分からないけど。 (まぁ、俺だってそこまで安心してる訳じゃないし。ゆっくりやるしかないか)  そう思った大成は要の肩に腕を回すと、汗で濡れた身体をそっと抱き寄せた。 

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