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俺の嫁入り

浴びせられる怒声を無視して玄関を開けた。 踵は踏んだままがむしゃらに走る。 理解してもらいたい訳じゃない。 否定されたい訳でもない。 ただ知っていて欲しい。 あなたたちの期待には沿えない、孫は抱かせてあげられないことを。 「どうした、こんな時間に」 「別に」 しがみついた男の香りに胸が締め付けられた。

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