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高嶺の花

いつも本を読んでいる。伏せられた瞳が誰かを映すことはなく、結ばれた唇が綻ぶこともない。 「それ面白い?」 「······」 頬に流れる髪を耳に掛けページを捲るその指に触れてみたいと思う。 気だるげに見上げてくる瞳に自分の姿を見つける。 たったそれだけの事が心臓の音を速めた。

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