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朝陽 27

目の前の人の視線が、甘く柔らかく僕の理性を絡め取ってゆく。 酩酊にも似た感覚に溺れない様に、合わせたばかりの着物の襟をつかむ指に力を入れた…けれど、 僕の名を呼ぶ少し掠れた声がますます身体を熱くさせ、自制心が大きく揺さぶられる。 「恵果さん、あなたは…何を望んでいるんですか?」

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