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朝陽 35
「…すいません」
手を伸ばして唇の端に残ったそれを親指で拭い取ると、恵果さんが妖艶に微笑む。その瞳は僕の知らない欲に濡れているように見えた。
赤い舌が僕の指の腹を何度も撫でてゆく。さっき吐出したばかりの熱がまた躰の中で疼き出す気配がして身震いした。
雪の積もる音まで聞こえてきそうな位静まりかえった部屋で、そこが恵果さんを求めてずくずくと脈打ち始める。
さっきまで指先を舐めていた口が大きく開かれて恵果さんは再び僕の下腹部へと顔を近づけた。
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