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6. the Way You Are - side K - 3
「見て。お似合いのカップル」
「本当だ。美男美女だね」
すれ違いざまにそんな会話が聞こえてきて、七瀬が俺の腕を取りながら嬉しそうに笑った。
「カイくんと俺のこと、カップルだって。ふふ」
けれど心なしかその眼差しは愁いを帯びている気がする。何だか様子がおかしいなと思いながらも俺は七瀬に導かれるままに別棟へと入っていった。
文化祭で使われることのない視聴覚教室へと俺を押し込んだ七瀬は、後ろ手に扉を閉めて舌舐めずりせんばかりにあやしく微笑んだ。
「カイくん、エッチしよ?」
様子がおかしいだなんて思った俺がバカだった。
外見は女の子にしか見えなくても、中身は間違いなくいつもの七瀬だ。
「お前、もうすぐ集合時間じゃないのか」
呆れてそう言えば、うるうると瞳を揺らしながら泣きそうな顔で訴えてくる。
「だって、緊張してムラムラしてきたんだもん。早く挿れて早く出してくれればそれでいいから!」
「アホか」
こんなにも立派な変態なのに、無駄にかわいい。全くこの世界の歯車は歪んでいる。忌々しく思いながら七瀬を壁に押しつけて額に軽く口づけた。
わ、カイくん、と小さく呟くその唇には艶やかなグロスが塗られている。これからコンテストに出るのにこれが取れたら塗り直す時間はないかもしれない。
スカートを捲り上げれば下着はちゃんと男物で、そのことに俺は安堵する。
「ほら、手伝ってやる。俺はいいからお前だけ出せよ」
「え、えっ」
下着の上から手を挿し入れて昂ぶるそこを握りしめれば、手の中でビクビクと大きく蠢く。なんで何もしてないのにこんなことになってるんだ。全くタチが悪い。
「ん、カイくん……」
緩々と扱き始めると、両腕を首に絡ませてしがみついてくる。見た目は女の子なのに掌に触れる部分は間違いなく男の象徴で、妙にいけないことをしてる気分になる。
すぐに滲み出てきた先走りを親指で掬い、それを広げるようにまた上下に擦れば七瀬は腰を揺らしながら耳元で切なげな声をあげた。
「や、ダメ……あぁ、カイく……あッ」
ガクガクと崩れ落ちそうになる身体を押しつけてくる七瀬は、もはや腹が立つほどかわいい。この格好を大勢の前に曝すつもりかと思うと無性に苛立つ。
人前に出させたくないと俺が思うこと自体、間違ってるのはわかってる。わかってるからこそ、余計に焦燥感が募る。
「ダメって、お前がムラムラするって言ったんだろ」
「……ちが、制服、汚れる…っ…あぁっ」
瞳を潤ませながらそう訴えてくる七瀬に、そう言えば手ぶらでここへ連れて来られたことに思い当たる。
クソ、と心の中で悪態をつきながら、俺は目の前で縋るように見つめてくる小さな顔を覗き込んだ。
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