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第8話

「あさ、っ――――」  グイッと学の襟首を掴み、唇を塞いでいた。そして、そのままの勢いで学を後ろのベッドの上へ押し倒した。学の足がローテーブルの角に当たって、ガタンと大きな音を立てた。旭の手から落ちたプリンと共に、コロコロと3個のプリンが床に転がる。 学は驚いていた。何が起っているのか分からないのだろう。受け身も何も取ることが出来ずに、ただ固まっていた。その唇を、旭は貪った。少しかさついた肉厚の唇に、自分の唇を押しつけた。僅かに震えているのが分かったが、それを無視して、旭は舌を差し入れた。ピクリと学の指先が震えた。嫌がるように顔を背けようとする学の顎を無理矢理掴んで、舌先で上顎を擦る。 「っ、」 学の瞳が揺れた。 可愛い。普段の冷静な学はいなかった。初めて見る怯えた学の姿に、旭は興奮した。ただ衝動のままに差し入れた舌は、学の気持ちも感覚も無視して、勢いのまま腔内を犯した。互いの唾液が混ざり、グチュッと水音が鳴る頃になって、熱い息を吐きながら旭は唇を離した。 「はぁ…がっくん…」 「…っ、…あ…さ、ひ…?」 いつの間にか涙は止み、興奮して赤くなった旭の顔とは対照的に、学は青ざめていた。けれど、お構いなしに旭は学を抱きしめた。恋い焦がれ拗れた感情が、現実を見えなくさせていた。 旭の右手が、学の股間へ落ちる。 ズボンの上から萎えたままの局部を触られ、さすがに学が声を荒げた。 「ひっ!あさっ、旭、どこ触って…っ」 学の腕を掴み、そこから離させようとする。しかし、その声を無視して、旭は熱い舌で学の首筋を舐めて「がっくん、がっくん」と譫言のように呟きながら、ジーンズの前を開こうとした。 「っっ、や、めろっっ!!」 ドンと強く胸を押されて、痛みに旭が咳き込むと、その隙をついて学は旭の腕の中から逃げた。そして、そのまま学は部屋から走って出て行った。 今度は旭が呆然としていた。自分が何をしたのか、分からなかった。学に押された時の顔を思い出す。痛々しそうに自分を見ていた。 (がっくんを傷つけた…。嫌われた…) 学に踏まれて潰された箱の横で、旭はただ自分の行ったことを悔い続けた。

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